WRC第13戦ラリースペインは10月25日、競技初日を終えてセバスチャン・ローブ、ティエリー・ヌービル、ダニ・ソルドとヒュンダイがトップ3を独占。このスペインで優勝すればドライバーズタイトルが確定するチャンスが浮上しているトヨタのオィット・タナックは、5位につけている。
レグ1はSS1からSS6の計6SS、129.70kmのグラベルステージ。先頭走行で砂利履きを背負う選手権リーダーのタナックは、この日のステージを首位ローブに21.7秒差でまとめた。しかし、ポイントでは最も僅差でタイトルを争うセバスチャン・オジエのシトロエンC3 WRCに、SS2でステアリングの油圧パイプが緩むトラブルが発生。パワステなしの状態での走りを強いられたオジエは、19kmのステージで4分近くのタイムロスを喫したのだ。SS1ではトップタイムをたたき出していたオジエがトラブルに見舞われたことで、タナックがタイトルを争う相手はヌービルひとりとなった。SS2で首位に立ったヌービルも、この日は走行順3番手。SS3では、地元スペインからの熱烈な応援を受け走行順10番手からスタートしていたソルドにかわされる。ソルドはこの後、3本に渡ってラリーリーダーに立ったが、この日最後のステージでは、ローブが38.85kmのロングステージ、2回目の走行で2番手に8.9秒差をつけるベストタイムをマークし、この日4人目のラリーリーダーとなった。
「最後のステージでは、限界ギリギリまでプッシュした」と語るローブは、現在45歳。SS3までは6番手につけていたが、3本のステージウインを奪取し、WRC9連覇王者としての貫録を見せ付けた。
「グリップはとてもよく、スタートから最後の1mまでハードに攻めた。上位にチームの3台が並んでいるのは、素晴らしいね。スタートした時は自分たちはそんな展開は信じられない気持ちだったし、自分がリードするなんて思っても見なかったよ」
ヌービルはこの日をノーミスでまとめ、唯一、陽が落ちる頃に日差しで視界が悪化したことに苦戦する程度だった。ヌービルがタイトルへの可能性をつなぐためには、今回は優勝以外の選択肢はないが、それでもタナックの順位次第という厳しい状況は続く。
この日の最終ステージを前に、ソルドはヌービルに5秒近くの差を築いていたが、このSS6ではパワーが上がらず、ローブに21.7秒の遅れを喫し、ヌービルにも順位を譲っての3番手でこの日を終えた。
シェイクダウンでトップタイムをたたき出していたトヨタのクリス・ミークは、午前終盤にバンプに弾かれて2輪で着地する場面もあったが、この日はソルドに5.4秒差の4番手で折り返した。さらに8.7秒差で続くのがタナック。トヨタのヤリ‐マティ・ラトバラは徐々にペースを上げ、最終ステージで順位を6番手に上げて、トヨタ勢は4−5−6番手に並んでこの日を終えた。7番手はMスポーツ・フォードのエルフィン・エバンス。前戦GBで負傷から復帰したが、エンジンの不調でペースを落とした。チームメイトのテーム・スニネンが後に続き、トミ・マキネン・レーシングからトヨタ・ヤリスWRCで2度目のWRカーでのWRC参戦に挑んでいる日本の勝田貴元が9番手と健闘を見せている。WRC2プロ最上位のマッズ・オストベルグ(シトロエンC3 R5)までがトップ10を構成している。
一方、タイトル7連覇に最後の望みをかけてスペイン戦を迎えたオジエは、この日17番手。SS2でパワーステアリングにトラブルが発生し、次のロングステージを前に、リエゾンでチームから携帯電話で指示を受けながら応急処置を施した。日中サービスで問題は修復されたが、上位成績は絶望的となった。シトロエン勢にとっては厳しい1日となり、チームメイトのエサペッカ・ラッピもエンジントラブルによりラリーリタイアを余儀なくされている。
チームはこの日のステージを終えて、サービスでは75分に拡大されたサービスタイムでマシンのスペックをグラベルからターマックに変換。デイ2からのターマックステージに向けて備える。
競技2日目はSS7〜SS13の計7SS、121.72km。3SSを2回ループした後、本拠地サロウのシーフロントに設定される2.24kmのショートステージで1日を締めくくる。
SS7は日本時間10月26日(土)16時00分スタート。
WRCラリースペイン SS6後暫定結果
1. S.ローブ(ヒュンダイi20クーペWRC)1:21:24.7
2. T.ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC) +1.7
3. S.ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC) +7.6
4. K.ミーク(トヨタ・ヤリスWRC) +13.0
5. O.タナック(トヨタ・ヤリスWRC) +21.7
6. J-M.ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC) +30.1
7. E.エバンス(フォード・フィエスタWRC) +44.0
8. T.スニネン(フォード・フィエスタWRC) +51.8
9. 勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC) +1:50.3
10. M.オストベルグ(シトロエンC3 WRC) +2:59.8
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17. S.オジエ(シトロエンC3 WRC) +4:01.4