新春特別インタビュー:勝田貴元 後編「GRヤリスは楽しいクルマになりました」 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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新春特別インタビュー:勝田貴元 後編「GRヤリスは楽しいクルマになりました」

©Hiroyuki Takii

2020年シーズンに臨むTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのドライバーに話を聞く特別インタビュー企画。勝田貴元の後編では、セバスチャン・オジエとのエピソードや、GRヤリスの印象をお伝えする。


──トヨタのワークスドライバーは、ラインナップが総入れ替えとなりました。各ドライバーとは、どんな話をしましたか?
「もともと繋がりがある選手が多いのです。これまであまり話をしたことがないのはセブ(セバスチャン・オジエ)ですが、それでも去年WRカーで出場したドイツでけっこう話しかけてくれたりしていたので、加入後も違和感はありませんでした。エルフィン・エバンスも、僕のコ・ドライバーのダン・バリット(*編集部注 かつてエバンスのコ・ドライバーを務めていた)の繋がりで、何年も前から時々メッセージをやりとりをしていました。カッレ(・ロバンペラ)とは仲が良くて、食事も一緒に行ったりします。チームのクルーは総入れ替えになってしまって、残念だったり寂しい気持ちもありますし、驚きもしましたが、違和感なくうまくやっていけるような気がします」

──オジエにカーナンバー#17を取られてしまったようなのですが、次のカーナンバーは何番になりましたか?
「#18になりました。取られたというよりは、セブが元々#17を使っていたということを僕はまったく知らなくて(*オジエは2019年はチャンピオンにリザーブされた#1を使用)。まさか、被るなんて思いもしませんでした(笑)。でも、セブ本人から直接『#17を使ってもいい?』というメッセージをもらったんです。そればかりか、『どうしても#17を使いたい理由があるのであれば、僕が違う番号を探すから』とまで言ってくれて。そんなやりとりがあっての流れでした。僕からすれば、周りから『(セブが)#17を使うと思うよ』という話を聞いた時点で彼は#17を選ぶだろうと思っていたので、もう違う番号を考え始めていました。まさか本人からそんなことを言ってもらえるなんて驚きましたが、とても気持ちも良かったです。そこまでしてもらわなくても、まったく問題なかったのですが、そういう人柄の方なのかなと思いました」

──思いやりがあるのですね。
「そうですね。僕は育成の身で、ワークスで戦っているわけでもないので、彼からすれば気にかける必要はないのかもしれませんが、こうしたことまで気にしてくれて、とてもうれしかったですし、良い意味でちょっとビックリしました」

──では、#18を選んだ理由は?
「僕が、いままでのカートからのキャリアでチャンピオンを獲ったのが#9を付けていた時だったので、最初は#9を考えていたのですが、“苦”につながるのであまり良くないのかなと……そういうのはけっこう気にしてしまうので。オィット(・タナック)さんが#8でしたし、#18にしておこうかな、と。特にこれという理由はなくて、1と8を足すと9になるし、割とあっさり決めました(笑)。よく見たら、(セバスチャン・)ローブ選手が#9をつけていますし、そちらとかぶらなくて良かったなと思っています」

Hiroyuki Takii / RALLY PLUS


──東京オートサロンで世界初披露となった新型GRヤリスの印象を聞かせてください。
「自分は、TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL(2019年12月15日に富士スピードウェイで開催)の時にプロトタイプで走らせていただきました。でも、それ以前、開発の初期段階から携わらせてもらっていて。言っていいと言われているので明かしてしまいますが、最初は『これで大丈夫かな……』と思いました(苦笑)。3年前に初めて乗った初期のクルマは正直な話、『このままでは売れないよね』と。父(*全日本ラリーチャンピオン経験もある現役ドライバーの勝田範彦)にも相談したくらいでした。自分がこうした開発に携わるのは初めてでしたが、最初はいろいろ問題があって。でも、エンジニアや開発の人たちの情熱と、とにかく良くしたいという熱い気持ちが、とても良く伝わってきました。

半年おきくらいに乗せていただいていたのですが、その間も並行してテストが続けられていました。レーシングドライバーの石浦(宏明)選手や大嶋(和也)選手などがサーキットでテストしたり、グラベルはフィンランドに持ち込んでグラベルテストをしたりするなかで、乗るたびにすごく進化を感じていました。それは1ステップ、2ステップではなく、毎回3ステップくらい進化していったので、これならイケるのではないかな、と。そして、2019年の夏にフィンランドで、年末にTGRFで乗った時には『こんなに楽しいクルマになったんだ!』って、すごくビックリしました。

これは本当に素直な気持ちで、あの車重であれだけのパワーがあればすごく振り回すことができますし、TGRFで久しぶりにターマックで乗ったのですが、最初のコーナーに差し掛かった時点で自分の思うように操れる感じがあったので『これは面白い!』と思って。その場で『買おうと思います!』と言いました(笑)。自分が関わったからというわけではなく、いま、こういう楽しいクルマが本当にないので。乗っていて楽しめるクルマだな、と率直に思いました。自分はPRをさせてもらう立場でもありますが、本音の気持ちとしてそれを皆さんに伝えたいと思います。実は、いまも開発は続いているので、発売までにさらに良くなっていくと思います。発売された後、どのようなモデルチェンジがあるかは分かりませんが、確実にすごい勢いで良くなっていくと思うので、最初のモデルを早く自分のものにして、いじくり倒してみたいな、と思っています(笑)」



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