WRC第2戦スウェーデンは、競技2日目となる2月15日(土)の競技を終えて、トヨタのエルフィン・エバンスがリードを拡大し、首位の座を盤石なものとしている。2番手にはヒュンダイのオィット・タナック、3番手にはセバスチャン・オジエ、4番手はカッレ・ロバンペラと、前日に続きトヨタ勢が上位を占めている。
この日のコースは4SS(SS5、SS6、SS7、SS16)、計63.68kmを走る。コースは前日と同じだが、コンディションは刻一刻と変化し、ドライバーたちを悩ませる。平均スピードが非常に高く、またSS距離が短いということは、ミスを取り返すチャンスが非常に限られるということだ。幅の狭いスタッドタイヤでのアタック自体は全員イコールコンディションとはいえ、ドライバーに高い集中力を要求する。
そんななか、首位に立つエバンスの勢いはこの日も健在。エバンスはオープニングステージのSS5で、SS2番手のタナックに対し3.2秒の差をつけるベストタイムをマークし、差を拡げにかかる。このSSで3番手タイムを刻んだオジエは今ひとつスピードに乗り切れていない感はあるものの、SS5終了時点で総合3番手を走るロバンペラの0.1秒背後に詰めよってみせた。
続くSS6ではエバンス、タナック、オジエ、ヒュンダイのティエリー・ヌービルと、SS5と同じトップ4が名前を連ねた。エバンスはタナックに3.6秒の差をつけるハイペースでフィニッシュし、さらにリードを拡大。0.3秒差でSS3番時計となったオジエは、アンダーステアに悩むロバンペラを総合順位で逆転、総合3番手に浮上している。また、総合6番手のヌービルは2SS連続の4番手フィニッシュで、前を行くエサペッカ・ラッピ(Mスポーツ・フォード)との差を0.8秒にまで縮めることに成功した。
SS7は、一部は氷が融けてグラベルがむき出しになる難しいコンディション。ここでもエバンスはベストタイムをたたき出す快走を見せ、タナックに対しマージンを築いていく。そしてSS2番手タイムをマークしたのはロバンペラ。ロードセクションでの小変更が奏功したか、総合順位でオジエをかわし、再び総合3番手に返り咲いてみせた。また、総合5番手を争うラッピとヌービルの戦いは、ラッピがSS4番手タイムをマークし、ヌービルとの総合タイム差を4.9秒にまで押し戻している。この日の前半3SSを終えた段階で上位陣のオーダーに変化はないが、ロバンペラとオジエによる総合3番手争いが1.3秒差と目の離せないものとなっている。
この日の最終SSは、前日と同じく雪のない観戦用ショートステージのSS18。ここでは総合6番手のヌービルがベストタイムをマーク。総合5番手のラッピはSS3番手タイムで差を詰めさせず、ヌービルに対し4.5秒のリードをもって最終日に臨む。ロバンペラとオジエの総合3番手争いは、このSSで2番時計をたたき出したオジエが再逆転。0.5秒という僅差ながら表彰台圏内につけた。
競技2日目を先頭走者として走った勝田は、コース表面に乗ったルーズスノーのグリップ変化に苦労しながらもきっちりと対応。すべてのSSを走り切って総合9番手を維持してみせた。SS18では5番手タイムをマークし存在感も見せている。
ここまでを終えて、首位エバンスと2番手タナックの差は17.2秒とやや開いており、勝負の趨勢は決したかに見える。このままエバンスが逃げ切れば移籍後初勝利、キャリア2勝目となるが、20km以上ある最終SSをフィニッシュするまでは何が起きるか分からない。一方、6連覇王者オジエvs19歳ロバンペラという、チームバトルの行方にも注目したいところだ。
ラリー最終日は、同じコースを2度走行(SS17/SS18)する予定が組まれていたが、15日の段階で主催者は路面コンディションの悪化を避けるためSS17の走行をキャンセル。最終日は21.19kmのパワーステージひとつのみという異例の事態となった。SS18は日本時間16日(日)20時18分スタート。
WRCスウェーデン SS16終了後暫定結果
1. E.エバンス(トヨタ・ヤリスWRC) 1:00:38.9
2. O.タナック(ヒュンダイi20クーペWRC) +17.2
3. S.オジエ(トヨタ・ヤリスWRC) +28.8
4. K.ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC) +29.3
5. E.ラッピ(フォード・フィエスタWRC) +34.7
6. T.ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC) +39.2
7. C.ブリーン(ヒュンダイi20クーペWRC) +49.7
8. T.スニネン(フォード・フィエスタWRC) +1:14.8
9. 勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC) +1:37.4
10. J.フッツネン(ヒュンダイi20 R5) +3:39.1