4月中旬に開催延期を発表していたERCラリーリエパヤ(グラベル、ラトビア)は、8月14〜16日に日程を変更することで開催の調整を行っていることを発表した。
ERC屈指の超高速グラベルラリーで知られるラリーリエパヤは、ラトビアのタルシが拠点。当初の2020年カレンダーでは、5月29〜31日に開催を予定していたが、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大防止のためラトビア政府が国内の活動制限を指示したことを受け、4月中旬に開催延期を発表していた。
一方、同じくERCのラリーポーランドは、当初予定していた6月26〜28日からの日程調整に向けて奔走していたが、COVID-19のパンデミックの影響でカレンダー内に調整可能な日程を確保することが困難となり、残念ながら今季の開催を中止することを決定した。イベント主催者のPZM(ポーランド自動車・モーターサイクル連盟)とERCのプロモーターであるユーロスポーツ・イベンツは2021年の会期確定に向けて作業を始めている。ラリーポーランドは歴史の古いイベントで、2021年が開催100周年の節目にあたる。
ERCコーディネーターのジャン‐バティスト・レイは「ラリーリエパヤに関して会期の見通しが立ったことを大変うれしく思う。実現に向けて尽力してくれたすべての関係者、特にFIAに感謝している」とコメント。
「今年、シリーズがポーランドを訪れることができないのは、言うまでもなく残念だ。開催に向けて努力を続けていただき、例年、温かく迎えてくれるイベントだ。しかし、第77回目の開催となるラリーポーランドを2021年に迎えることを、今から楽しみにしている。PZMとともに100周年の節目を祝いたい」
「COVID-19の流行が始まった時から、我々は一貫して当初のカレンダーに含まれていたすべてのラリーをできる限り開催する方向で進んできた。状況が刻々と変化しているなか、もちろん試練はこれからも続き、政府の制限を尊重していかなくてはならない。健康と安全はこれからも最優先であり続けるし、この点については一切、妥協はしない。
一方で、ERCのすべてのファミリーは、COVID-19の被害に遭われた方々と、そのご家族に思いを寄せている。多くの人が職を失ったり、非常に厳しい状況に追い込まれているなか、公共に向けての指針に従うことは何よりも重要だ」
ラリーリエパヤのプロモーター、RAイベンツのライモンズ・ストロクスは「今、我々が生きている時代は、大きく変化している。COVID-19による世界的なパンデミックに関することや、各国がどのように感染を抑えているかなど、本当に多くのニュースが入ってきている。このため、状況や国の制限が急変することもある」とコメント。
「主催者として、我々はその中心にいる。公共の健康を守る一方で、大きなスポーツイベントを開催するための方法を模索している。以前にも表明した通り、我々はコンペティター、観客、そのほかの関係者の健康や安全を後回しにしてラリーを開催するためにいるのではない。我々のパートナー、ユーロスポーツ・イベンツ、FIA、ラトビア政府、開催地であるリエパヤ市、タルシ市とともに取り組み、ラリーリエパヤを8月に開催することを目指して調整した。状況によっては数週間、先送りになる可能性もあるが、2020年にラリーリエパヤを開催するためにあらゆる選択肢を模索していく。
これまで、全関係者がラトビアでの開催に向けて必死の努力を重ねてきた。今後も作業を続け、専門家の意見を仰ぎながら、状況が通常に戻ってみんながラリーの現場に戻れるようになることを願っている。しかし、今はまだその時を待っている状態。みなさんが今いる場所の指示に従ってください。そして、一日も早い状況改善に向けてがんばりましょう。Stay Safe.」
開催中止を決めたラリーポーランドの主催者、PZMの総裁、ミハエル・シコラは「ラリーポーランドは毎年、最も重要なイベントのひとつだ。モータースポーツだけでなく、ポーランドの国にとって、1年のうちの一大行事なのだ」とコメント。
「これほど大掛かりな国際イベントの準備にはほぼ1年を費やす。ラリーにはポーランド国外から大勢のファンが集まってくるし、壮大な自然の中で行われるため、現状の活動制限がどこまで続くかの見通しが立たないなかでの開催は不可能だ。コンペティターや観客の安全は何物にも変えることはできず、一切妥協はできない部分だ。パートナーたちとともに幾度も話し合いを重ねた末、第77回ラリーポーランドは2021年に延期することが賢明という決断に至った。
来年、ERCの一戦としてこのラリーを開催することをすでに表明した。開催地のミコワイキや、景観豊かなマスリアン湖水地方も引き続き開催地となる。我が国の名門ラリーとしての100周年をここで祝いたい」
なお、ERC1ジュニアとERC3ジュニアは、ERCポーランド戦の代替を振り替えないため、このタイトルは全5戦での構成となり、ベスト4戦のポイント合計で争われることになった。