ヒュンダイ・モータースポーツは、ステイホームキャンペーンの一貫で展開している「ホームシェイクダウン」のインタビューとして、オィット・タナック編を公開した。
エストニア出身のタナックは、少し長めの休暇を郊外にある自宅で過ごしているという。夫人やふたりの子どもたちとの貴重な時間を楽しむ一方で、家事を手伝ったり、バーチャルレースにも参戦。またインタビューの中では、まだ3戦しか経験していないがすでにポディウムフィニッシュを2回献上した、ヒュンダイ・モータースポーツの印象についても触れている。
(エストニアは3月12日に緊急事態宣言を発令。5月に入ってからは近隣国間の移動制限が緩和されるなど段階的な出口戦略が計画されている)
ーーー
2020年からヒュンダイに加入したタナックは、初戦のモンテカルロでいきなり劇的なリタイアを喫してしまったが、その後のスウェーデン、メキシコでは2戦連続でポディウムフィニッシュを決めている。
今回のロックダウンで、タナックには通常の選手権シーズンの間は滅多に取れない家族と楽しむ時間が多く取れるようになった。一方で、ラリーがない期間を埋めるためにシミュレーターを購入。しかし、実際のラリー競技で経験するスリルや興奮には勝てないと語っている。
オィット、元気にしていた?
「すべて順調だよ、ありがとう。この期間も忙しさは変わらず、不満もないよ。気候がよかったし、自粛しながらでもできることはたくさんある。森の中に広い土地を持っているので作業がたくさんあるし、庭仕事もやっているよ」
ラリーがないことに対しては、どのように対応している?
「ラリーがなくて、本当に寂しいよ。正直、シミュレーターを投入してから、余計に寂しくなった。何度か使ったが、実際のラリーとは違う。森の中で経験できるようなものではないんだ。チームと毎日、一緒に作業をすることもないしね。ヘルメットを被った時のスリルや、ラリーで味わう興奮には及ばないよ」
そのほかは、どんなことをして時間を過ごしていた?
「このブレイクは、実はそれほど悪いものではないと思ってる。毎日、日常で何が起きているのかを見ることができる。プライベートの、自分の家族のこともね。ラリーは忙しい仕事だから、あまり余暇がない。旅をしたいとも、あまり思わない。移動なしで競技を再開できる場所がないか、方法を模索しなくてはならないね。たとえば指をならしたら、ポルトガルでもスペインでもラリーがある場所ならどこでも行けるとかね!」
ヒュンダイに加入後のイベントについてを振り返ると?
「ヒュンダイ・モータースポーツでの自分の滑り出しは、予想よりもよかった。ティエリー(ヌービル)が長年チームにいることは、誰もが承知している。彼はスタードライバーだ。同じような待遇をされることは期待できない環境の中に飛び込んだわけだが、チームの対応はとても大人で、ここ数年で比較してもとてもいい滑り出しだった。すごくポジティブな意味でアプローチには驚かされたし、休暇明けに再開した時はリザルトに表れると信じている。チームといい関係を築けていれば、結果につながるものだよ」
チームのメンバーとは連絡を取りあっている?
「連絡は続けているよ。アンドレア(アダモ)やエンジニアたちとね。序盤の3戦を振り返る時間が得られたし、経験や学習したことを今後のためにまとめている。 マルティン(ヤルベオヤ、コ・ドライバー)に連絡することもあるよ。彼のことは、この3年間、毎日見てきたんだ。家で過ごす時間も楽しんでいるようだけど、僕と同じくらい、ラリーがなくて寂しがっている。また一緒に戦う準備はいつでもできているよ」
特に出たいと思っているラリーはある?
「自分の好きなラリーのひとつはニュージーランドだ。今年、参戦できたらいいけれどね。開催できるかどうか、僕らにはまだ分からない。その他に大好きなのはポーランドだ。今はWRCのカレンダーには入っていないけどね。フィンランドも、まだ開催の予定になっていて、自分が心から楽しめるラリー。マシンやタイヤには厳しくないけど、ドライバーにはハードだ。まさにドライビングの芸術、という感じ。着地して、また跳ぶ。的確なスピードで正確な姿勢を保たなくてはならない」
最後にメッセージを。
「いま、みんなが最優先にしなくてはならないのは、ステイホームで安全を保つこと。でも、同時に、自分たち自身でプッシュも続けている。たくさん学んだことがあったし、競技が再開した時には、体もしっかりでき上がって、アタックできる準備はできているよ」