記憶に残るこの一戦:2011年サルディニア、MINIのデビューとVWの参戦表明 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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記憶に残るこの一戦:2011年サルディニア、MINIのデビューとVWの参戦表明

©Naoki Kobayashi

今週末は本来であれば、WRC第6戦ラリーサルディニアが開催されていたはずだったが、主催者は新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大から延期を発表。さらに現時点で、続く第7戦サファリ、第8戦フィンランド、第9戦ニュージーランドは中止が決定している。トップドライバーがたたき出したタイムに熱狂するはずだったラリーウイーク。この企画では、ラリーが通常どおり開催されるその日まで、WRCカレンダーに合わせて、“記憶に残る一戦”を取り上げていく。第2回目は2011年の第5戦、ラリーサルディニアだ。

2008年シーズンを最後にスバルとスズキがWRCから去り、WRCに参戦するマニュファクチャラーはシトロエンとMスポーツ(フォード)のみとなっていた。“マニュファクチャラーチーム”として、ストバートやミュンヒス、ペター・ソルベルグ・ワールドラリーチームが参戦していたものの、トップカテゴリーのマシンは実質的に2車種のみという厳しい状況は変わらなかった。そんななか、この年のサルディニアではWRCに明るい話題が訪れた。

ひとつはヘッドクオーターの置かれたオルビアで華々しく行われた、フォルクスワーゲンのWRC参戦発表だ。会場にはカラーリングが施された「ポロR WRC」のモックアップも展示。プレゼンテーションにはダカールラリーで活躍していたカルロス・サインツやナッサー・アル‐アティヤも列席した。この時点では、2013年開幕戦でのデビューのみが告知されており、ドライバーラインナップは未定とされていた。

Naoki Kobayashi


しかし、皆さんは予告された未来をご存知だ。2012年シーズンを充実のテスト期間にあてたフォルクスワーゲンは、セバスチャン・オジエ、ヤリ-マティ・ラトバラ、アンドレアス・ミケルセンという完璧な布陣で、2013年から2016年までWRCを制圧。マニュファクチャラーズ選手権4連覇、さらにオジエがドライバーズ選手権も4連覇を果たしている。

そして、もうひとつのトピックが、MINIのデビュー戦である。

真紅にチェッカーフラッグをあしらったカラーリングのマシンは「MINIジョン・クーパー・ワークスWRC」。SUVモデルである「カントリーマン」をベースに、2008年までスバルのワークス活動を担っていたプロドライブが開発を手がけた。WRCにとっては久々に登場した、真の意味でのマニュファクチャラーだった。

Naoki Kobayashi


デビュー戦となったこのサルディニアでは、クリス・ミークがスロットルトラブルなどに見舞われてリタイアに終わったものの、堅実に走り切ったダニ・ソルドが6位に入賞。「小さなトラブルはいくつかあったけれど、大きな問題には見舞われなかったし、このクルマは大きなポテンシャルを持っている」と、ソルドは明るい展望を語っていた。

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スバル後期は苦戦を強いられたとはいえ、高い技術力を持つプロドライブ。そして、MINIブランドを保有するBMWというビッグカンパニーによるサポートさえあれば、シトロエンとMスポーツの2強に食い込む日もそう遠くはないはず。さらに2013年にはフォルクスワーゲンもやってくる。ファンやWRC関係者の多くは期待を持っていた。事実このシーズン後半には、ソルドが2度のポディウムフィニッシュも記録している。

しかし、終末があまりにも早く訪れたことを、やはり皆さんはご存知だろう。2012年開幕戦モンテカルロは、幸先よくソルドが2位表彰台を獲得するが、直後にプロドライブとBMWの資金関係が破綻。「WRC参戦開始前から両者の関係はかんばしくなかった」と後々囁かれていたが、4番目のマニュファクチャラーであるフォルクスワーゲンが加わる前、よもやMINIが去ってしまうとは、誰も考えていなかった。

Naoki Kobayashi

ちなみに、往年の名チューナーであるジョン・クーパーの名を関した「ジョン・クーパー・ワークス(JCW)」は、今もMINIのスポーツモデルの名前に使用されている。あれから約10年、再びラリーに映えるこの英国ブランドが、WRCに帰ってきてくれることを願ってやまない。

ラリーはセバスチャン・ローブがスタートから3日間、先頭走者のハンデを跳ねのけて優勝。Mスポーツ・フォードのミッコ・ヒルボネン、シトロエンDS3 WRCを駆るペター・ソルベルグを従えてシーズン2勝目を飾ったのだった。

Naoki Kobayashi

2011年ラリーイタリア・サルディニア 最終結果
1 S.ローブ/D.エレナ(シトロエンDS3 WRC) 3:45:40.9
2 M.ヒルボネン/J.レーティネン(フォード・フィエスタRS WRC)+11.2
3 P.ソルベルグ/C.パターソン(シトロエンDS3 WRC)+23.8
4 S.オジエ/J.イングラシア(シトロエンDS3 WRC) +1:31.5
5 M.オストベルグ/J.アンダーソン(フォード・フィエスタRS WRC)+2:42.6
6 D.ソルド/C.デル・バリオ(MINIジョン・クーパー・ワークスWRC)+3:27.6
7 O.タナック/K.シック(フォード・フィエスタS2000)+7:10.9
8 J.ハンニネン/M.マルックラ(シュコダ・ファビアS2000)+7:37.6
9 M.ウィルソン/S.マーティン(フォード・フィエスタRS WRC)+8:00.4
10 M.プロコップ/J.トマネク(フォード・フィエスタS2000)+11:28.2
R. K.ミーク/P.ネイグル(MINIジョン・クーパー・ワークスWRC)メカニカル



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