FIAのラリーディレクター、イブ・マトンが、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック以来、初めて公式な声明を発表した。自粛期間中、関係各者が絶え間ない努力を続けてきたことへの感謝と賛辞を述べる一方で、2020年のWRCカレンダーはまだ再編成が行われている途中であることも明かした。
(以下、声明全文)
大切なラリーファミリー、仲間のみなさんへ
6月19日、異例のタイミング、異例の方法ではありましたが、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックを受けて、FIAワールドモータースポーツカウンシルのメンバーがリモートで集まりました。
このバーチャルでの会合を終えて、FIAタイトルのラリー競技がこの数週間、数カ月のうちに再開できる希望に向けて前進していく、とお伝えできることを、うれしく思います。
この期待を念頭におき、我々全員にとって非常に難しい時期を過ごしていた間にも、支援と揺るぎない注力を続けてきてくれたFIAのラリーコミュニティに心からの感謝と賛辞を送りたいと思います。
通常の状況なら、今ごろは2002年以来となるWRCとしてのサファリラリーの準備をしているはずでした。残念ながら、カレンダーの復帰は2021年まで待たなくてはならず、他の多くのラリー同様、今年のサファリラリーは、COVID-19の影響により開催キャンセルを余儀なくされました。
しかし、多くの国で制限が緩和されるようになり、またラリーを再開できるようになる望みも高まってきましたし、FIAラリー部会も、活動再開に向けて動き出す主催者やコンペティターが必要とするあらゆる支援を行っていく体制を整えています。
もう3カ月以上もラリーが開催されていませんが、その間も舞台裏ではFIAや世界各国のASNが作業を止めることはありませんでした。一丸となって取り組んできた自分たちの努力を誇らしく思います。
こうした取り組みは、今後の規定が、それぞれの選手権やマシンカテゴリーの成長につながるようにするためのものです。さらに、より継続しやすくコスト効率のよいアイデアを形にする作業も止めることはありませんでした。世界中のASNのグラスルーツ競技に参戦する主力選手を後押しするFIAラリースターのような我々のプロジェクトは、ロックダウンや世界経済による影響によって状況は難しくなっている中でも、一切、その勢いを衰えさせてはいません。
これを書いている今、2020年シーズンの残りのWRCカレンダーの作成は、まだ完成していません。タイトルを与えるに相当と思われる戦数、最低でも7戦を開催することを目指しています。各国のASN、ラリー主催者、FIAラリー部会、WRCプロモーターのすべてがこの目標に向かって一丸となって努力していけると、自信を持っています。
しかし、このためには柔軟な対応が必要となりますが、このことが一歩引いて物事を考えるきっかけにもなり、より改革的に、将来我々がどのようにラリーを開催していくかという、先を見据えた考え方をできるようにもなります。
地域ラリー選手権のカレンダーは、COVID-19の影響が大きく、多くのイベントが開催キャンセルに追い込まれました。こうしたイベントの主催者のみなさんにとって、2021年に復帰するためのモチベーションを見いだすことができることを願っています。そして、開催延期となっている多くのイベントが、キャンセルするのではなく日程を変更して開催する決意を持っていると聞き、本当に喜ばしく思っています。
COVID-19は、クロスカントリーにも大きな影響を与えており、FIAクロスカントリー委員会の取り組みがまだ結果につなげることができず、悔しい思いをしています。しかし、このカテゴリーでの興味は高まり続けているので、9月からイベントが開催されることを楽しみにしています。
最後に、FIAラリーコミュニティの中で、COVID-19への対応にかかわっているすべての方々への感謝を述べたいと思います。それが本職である方、ボランティアで参加している方、勤務先の会社が必要とされる製品やサービスを供給するなどのかたちで参加している方、#RaceAgainstCovidのオンラインオークションにアイテムを寄付してくれた方、みなさん本当にありがとうございます。
FIAラリーディレクター
イブ・マトン