2020年の世界ラリークロス選手権は8月22〜23日、スウェーデンのヘリェスでようやく開幕を迎える。
新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの影響でシーズン開始が遅れたうえ、開催中止のラウンドも相次いだ結果、今季の世界RXは、ダブルヘッダー戦3戦を含む7大会10戦での構成となる。
最初の大会となる今回のヘリェスでは第1戦と第2戦が行われ、各日に予選、セミファイナル、決勝が行われる。併催のヨーロッパ・ラリークロス選手権とプロジェクトEは通常どおり、土曜日に予選を2回、日曜日にさらに2回の予選を行った後にセミファイナル、ファイナルと、2日間をかけて一戦を行うスケジュールが組まれている。
世界ラリークロス部門には、昨年11月に南アフリカ・ケープタウンでの最終戦で三つ巴のタイトル争いを制して2019年王者の座を射止めたティミー・ハンセンが、このヘリェス戦にディフェンディングチャンピオンとして登場。今季も弟のケビン・ハンセンとともにチーム・ハンセンからプジョー208をドライブする。
17人の名前が並んだエントリーリストには、ハンセン兄弟とタイトル争いを展開したアンドレアス・バックラッドに加え、2017‐2018年と選手権を連覇したヨハン・クリストファーソンも登場。2年前にシリーズ参戦で使用したフォルクスワーゲン・ポロをドライブする。
KYBチームJCは、ドライバーに予定していたジャニス・バウマニスがCOVID-19の影響による予算の問題で、直前に参戦を断念。代わりに、2016年チャンピオンのマティアス・エクストロームを起用する。エクストロームのチームメイトとなるのは、2019年のヨーロッパ王者ロビン・ラールソン。
昨年の世界RXヘリェス戦を制したセバスチャン・エリクソンは、オルスベルグMSEホンダ・シビックでイベント連覇を狙う。Ferratumチームは今季全戦にエントリー。ドライバーにはフィンランドのヤニ・パーソネンを起用する。昨年3勝を収めたGRXタネコは、今季もニクラス・グロンホルムとティマール・ティマラザヤノフがドライバーを務める。スウェーデンでは、GRX SETからヨーロッパ王者のクリスチャン・ザボが3台目のヒュンダイi20をドライブする。
Unkorruptedがエントリーする2台のルノー・クリオをドライブするのは、フランスのゲラン・シシェリとリトアニアのロカス・バチウスカ。ティモ・シャイダーは今季もALL-INKL.COM ミュニッヒ・モータースポーツからエントリーする。チームが今季は規模を拡大し、2代目のセアト・イビザをレネ・ミュニッヒがドライブする。GCK ビルシュタインは、ルノー・メガーヌを1台のみエントリー。アントン・マルクルンドがドライブを務める。モンスターエナジー・GCK RXカルテルもメガーヌを使用。バックラッドとライアム・ドーランがドライブする。
このヘリェスでは、電動マシンも初めて世界RX戦に登場する。2020年から始まるフル電動マシンによる国際ラリークロスシリーズ、プロジェクトE(Projekt E)は、スウェーデン、ラトビア、ベルギー、ドイツを転戦する。チームが、幅広いレンジの量産モデルを使用してマシンを製作できるようにすることで、これまでの価値を維持するプロジェクトEは、オーストリア拠点のSTARDが開発したバッテリーとパワートレーンの使用が指定される。このキットは、3つの電力モーターを、ふたつはリヤアクスル、ひとつはフロントで使用し、1000Nmというトルクと450kWを発生する。
このマシンの初実戦では、3台がエントリー。米国のスタードライバー、ケン・ブロック、英国のナタリー・バラット、オーストリアのラリーチャンピオン、ハーマン・ニューバウワーは、いずれもフォード・フィエスタベースのマシンをドライブする。一方、マッズ・オストベルグがドライバーを務めることが発表されていたシトロエンC3 WRXのデビューは、次戦のリガに延期された。
舞台となるヘリェスは、スウェーデンのバームランド地方に位置する。待望の今季最初の世界RX戦だが、COVID-19パンデミックに鑑みて、無観客での開催となる。
競技の模様は、世界RXの公式Facebookページや公式YouTubeチャンネルでライブストリームで中継される。