2020年世界ラリークロス選手権は8月23日、スウェーデンのヘリェスで第2戦の競技が実施された。ダブルヘッダー開催の2日目となるこの日のファイナルでは、2017王者のマティアス・エクストロームが優勝。KYBチームJCにとって初の世界RX勝利を献上した。
このファイナルをセカンドローからスタートしたエクストロームは、ラップ1でジョーカーラップを選択。このラップ終盤でモンスターエナジー・GCK RXカルテルのアンドレアス・バックラッド(ルノー・メガーヌ)をかわして2番手に立った。エクストロームのチームメイトで地元スウェーデン出身のロビン・ラールソン、ALL-INKL.COM ミュニッヒ・モータースポーツのティモ・シャイダー(セアト・イビザ)は続くラップ2でジョーカーラップに入り、これでジョーカーを残すのは、前日の第1戦のファイナルを制し、このファイナルもリードに立っていたヨハン・クリストファーソン(フォルクスワーゲン・ポロ)だけとなった。
ここから、エクストロームは必死でプッシュをかけてクリストファーソンを追う。ヘリェスでのダブルヘッダーを通してファステストラップを獲り合ってきた両者。しかし、最終ラップでクリストファーソンとの差を詰めたエクストロームは、クリストファーソンが最終ラップまで残したジョーカーラップに入るとここで首位に浮上。クリストファーソンは最終コーナーまでプッシュをしかけるが、エクストロームが逃げ切りトップフィニッシュを果たした。
さらにドラマは続き、2番手でフィニッシュしたクリストファーソンには、ジョーカーラップでのカットによりペナルティが科され3位に降格。この結果、チーム・ハンセンのケビン・ハンセン(プジョー208)が2位でフィニッシュすることとなった。シャイダーは4位、好スタートを決めていたラールソンはパンクを喫して5位でのフィニッシュ。この日はファイナル進出を決めた強豪のバックラッドは、トラブルによりスローダウンを喫し6位でのフィニッシュとなった。
この日、11度目の世界RX勝利をマークしたエクストロームは「今回の参戦が直前で決まり、すぐにコンペティティブな走りができて、自分にとって信じられない週末になった」とエクストローム。
「ファイナルは最高の形で進んだ。ヘッドセットからの無線でクリストファーソンとの間にギャップがあることは分かっていたので、必死でプッシュしなければならないと自覚していた。トップでフィニッシュすることができて、最高にうれしい。EKSとともにマシンのダンパー開発に尽力してくれたKYBに心から感謝している。おかげでJC Raceteknikも、この素晴らしい気持ちを共有することができた。このファイナルを制し正々堂々とヨハンに競り勝ったことは、この上ない気分だよ」
一方、3位フィニッシュとなったクリストファーソンだが、前日の好パフォーマンスが活かされ、ドライバーズ選手権では首位を維持。前日の開幕戦に続き、今季から創設されたファスト・スタート賞も獲得している。
「1日を通して素晴らしい内容になった。ファイナルではロビンが絶好のスタートを決めたので、自分は序盤は少し彼の後ろでウロウロした感じになった。そこから、気持ちを落ち着かせて、ラップタイムに集中した。マティアスも同じで、無線で超接戦になっていると伝えられた。ある時点ではジョーカーに入っても十分なギャップがあったので、ラップ5でジョーカーに入っていれば逃げ切れたかもしれないが、自分が(ラップ6で)ジョーカーに入った時に彼にパスされた。自分はジョーカーを全力で抜けたのでペナルティを受けてしまったが、それでも選手権では首位に立っているので素晴らしい週末になったし、(次戦の)コウボラを楽しみにしている」
第1戦ではファイナルに進出したGRXタネコのニクラス・グロンホルム(ヒュンダイi20)は、セミファイナル2が4位に終わりファイナルの第1リザーブに終わった。2019年チャンピオンのティミー・ハンセン(プジョー208)は、ドラマの連続となったセミファイナル1のラップ5でバックラッドと接触。このレースで失格となった。フランスのゲラン・シシェリ(ルノー・メガーヌ)は、中間リザルト13位と、あと一歩のところでセミファイナル進出を逃した。
世界RX選手権第3戦・第4戦は次週、8月29‐30日に、フィンランドのコウボラでダブルヘッダーで開催される。
世界RXヘリェス(第2戦) ファイナル結果
1 M.エクストローム(アウディS1) 4:28.907
2 K.ハンセン(プジョー208) 4:31.936
3 J.クリストファーソン(フォルクスワーゲン・ポロ) 4:29.101
4 T.シャイダー(セアト・イビザ) 4:33.522
5 R.ラールソン(アウディS1) 4:39.490
6 A.バックラッド(ルノー・メガーヌ) 5:00.856