WRCエストニア プレ会見トヨタ編:選手権首位のオジエ「ジャンプのマネージメントが重要なラリー」 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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WRCエストニア プレ会見トヨタ編:選手権首位のオジエ「ジャンプのマネージメントが重要なラリー」

©Toyota Gazoo Racing WRT

WRCラリーエストニアのシェイクダウン後に行われたプレイベントカンファレンス、トヨタ勢の内容(抜粋)。
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大防止の対策として異なるグループ間の接触をできるだけ抑えるため、出席者はチームごとに分けて登壇。限定メディアがZoomを通じて質問、それ以外のメディアは配信動画で視聴する形式で行われた。
最初に壇上に登場したのはトヨタ勢。選手権首位でシーズン再開を迎えるセバスチャン・オジエは、エストニアのジャンプの攻略が重要なポイントになると分析した。性格が似ていると言われるフィンランドのジャンプの性質とは異なるという。

Jarek Joepera / Red Bull Content Pool

●WRCプレイベントカンファレンス出席者
トヨタ・ガズー・レーシングWRT

セバスチャン・オジエ(SO)
エルフィン・エバンス(EE)
カッレ・ロバンペラ(KR)

Q: WRCは、シリーズ初開催のラリーエストニアでシーズンを再開した。競技復帰だけでなく新しいイベントを迎えるというのは、さらにモチベーションが高まるものか
SO: 本当にブレイクが長かったので、どちらにしてもモチベーションは高まっているよ。本当によかった。新しい場所で新しい道を模索するのはいつも楽しいし、それに新しい仲間に出会うこともね。いまは、人と接するのは少し難しいかもしれないけど。道は素晴らしい印象。レッキで道を見て、みんな同じ意見だと思うけど、こういう道をドライブするのは楽しいが、しっかり自信を持っていなければならない。自分たちが一番ラッキーだったのは、2週間前にテストイベントに参戦できたこと。とても役に立った。今は、真剣勝負を始めるのが楽しみだ。

Q: 今回は“ジャンプのマネージメント”がとても重要になるだろうと話していた。“ジャンプのマネージメント”とはどういうことか、もう少し説明してくれないか
SO:基本的には、このラリーはたくさんジャンプが出てくる。フィンランドもジャンプはたくさんあるが、ほとんどがフラットだから、とにかく全開で踏み込み続けるだけ。でも、ここは違う。格段に大きいジャンプもあるし、人工的に作られたものもあってマシンがどのような反応をするのか分からない。リヤからキックバックがあるかもしれないし、ハードに着地するところもあるかもしれない。昨年は残念ながら、エルフィンがジャンプの反動が悪い形に出てしまった。こういうタイプのジャンプでは、完璧に適した速度でコントロールしなくてはならない。もちろん、抑えすぎてはタイムをロスする。でも、速度が高すぎることにもなりやすく、そうなれば着地が激しくなり、マシンにも自分にもダメージがあり、クラッシュにさえつながってしまう。だから、自分としてはリズムをつかむためにはジャンプが大きな要素になると思っている。

TOYOTA / McKlein

Q: Mr.タナックには明らかに母国ラウンドとしてのアドバンテージがあると、ほとんどの人が見ている。当然、ここの道で何度も参戦してきたからだ。今回のラリーで、そういったアドバンテージが出てくると思うか、それとも自分とバトルになると思うか
SO:彼はすでに2週間前にその答えを見せていると思う。今日のシェイクダウンでもね。彼が飛び抜けて速いだろうということも、今回、彼と戦うのはビッグチャレンジになることも分かっている。でも、先のことは誰にも分からない。特に今回は、リピート走行が少しトリッキーになると思う。かなり荒れる道がありそうだし、このコンディションなら大きな石も出てくるかもしれない。彼はとても速く走れるし、ハードにプッシュしてくることは分かっているが、こういったコンディションではトラブルも避けなくてはならない。自分もマシンがいい動きをしている手応えがあるので、ここでいいパフォーマンスを披露できる道具は揃っている。明日は、先頭走行のコンディションがいいことを願うばかりだよ。シェイクダウンでもそうだったので、明日はあまり砂利掃きをしないで済むといいね。でも、1日の終わりの方になれば、チャンスも出てくる。もちろん、地元出身なら地の利も少しあるだろう。2年前のモンテカルロでギャップに着いた時、自分はみんなよりも少し状況を理解していた。いつもこうしたアドバンテージは少しはあるものだ。お互いの差はとても小さいので、不可能なことは何もない。

Q: エルフィン、セブが少し触れたが。昨年のジャンプでクラッシュ、2週間前のルーナエスティラリーでもコースオフを喫している。ネガティブな話はしたくはないので、アクシデントが起こる前のマシンのフィーリングはどうだったのか。2週間のアクシデントまでの走行には満足していたか
EE: ラリーに参戦できるチャンスを得るまでにいいテストができていたので、それを確認するには絶好の機会だった。正直、マシンのフィーリングはすべてかなりよかったよ。だから今回、自分たちに何ができるかという点では楽しみにしている。言ったようにマシンの動きはいいし、これまでの走行もいい内容だった。満足しているし、実戦に向けての準備はできている。

Toyota Gazoo Racing WRT

Q: 今回はアイテナリーが短くなって、ステージ距離は合計で233kmだ。速度域が高いが、スプリント戦でもある。スタートから全開で行くのか、それともほかに戦略を立てているか
EE: もちろん。みんなが最初からハードにプッシュしてくるのは言うまでもない。通常よりも1日少ないけど、土曜日と日曜日は、かなり激しい展開になると思う。だからいつもとそれほど違わないんじゃないかな。でも、セブも言ったとおり、トラブルに遭いやすい場所もある。特にジャンプだね。ここで差をつけることもできるし、抑えすぎたらかなりロスもしてしまう。でも、常にダメージのリスクはあるからね。リスクと得るもののバランスの問題だ。

Q: 今季は素晴らしい滑り出しを見せている。もちろん、スウェーデンでの優勝もあるが、どのイベントも全体を通して安定感を見せている。このエストニアは自身90回目のWRC参戦。今回はどのような内容を期待しているか
EE: 期待するのはいつも同じ、ベストのパフォーマンスを披露することだ。もちろん勝ちたいとは思うが、それはみんなもそうだろう。タフな戦いになることは分かっているので、今回もベストの走りをしたいし、その上で日曜日の午後にはどんな結果になるかが分かる。

Q: カッレ、君はエストニアの道を得意としている。(2週間前のサウス)エストニアでは見事なリザルト(総合2位)を収めた。どんなイベントになったか
KR: いいテストイベントになった。マシンにまた乗れて、ラリーの雰囲気を味わえたことがすごくよかった。自分的には、マシンからは常にいいフィーリングが感じられたし、テストでもそうだったので、今回も同じフィーリングになるはずだと思うよ。

Q:スウェーデンではWRC初ポディウムをマークした。SNSやジャーナリストの間では、今回のダークホースはロバンペラでもしかしたら優勝もあり得るのではと話が盛り上がっている。その可能性はあると自分では感じるか
KR: 自分たちが目指しているのはそこではないと思う。まだそれほどラリーをたくさん経験していないからね。もちろん、常に成長したいと思うし、とにかくクリーンなラリーをして、少なくとも5、6戦は経験を積むことに専念しなくてはならない。でも、このラリーは自分が楽にペースをつかみやすいイベントのひとつであることも分かっている。もちろん、ポディウムに上がれるか、その争いに加わるチャンスがあればいいなとは思う。自分がハッピーになれるのは、それくらいが精いっぱいだと思うよ。

Toyota Gazoo Racing WRT

Q: WRC最年少ドライバーとして、このオフシーズンの間、マシンに乗ることもできず、順調な滑り出しを見せたシーズンを進めることができなかったのは、どれくらいフラストレーションが溜まることだったか
KR: もちろん、すごく辛かった。シーズンの滑り出しはよかったから、それを続けられたらよかっただろうね。もちろん、最初はちょっとした休暇ができてよかったな、という感じだったが、それがあまりに長く続き過ぎたから、とにかくラリーマシンに戻りたかった。

メディアからオジエに質問
ラファエル・ペルティエ(フランス)
Q: 6カ月のブレイクができたことで、今シーズンが終わった後のプランについて考え方が変わることになったか
SO: 答えはふたつある。ラリーを退いて別のことをする時期にはあると思う。正直、ブレイクもとても満喫していたからね。でも同時に、このような奇妙で短いシーズンで現役を終えたくはない。もう1年、いつもと同じようなシーズンをフルで戦えたらいいなと思う。契約はまだ何もしていないが、そういった願いはチームと、自分の両方にある。近いうちにまとめられればいいね。



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