TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加中の勝田貴元が、9月4日(金)から6日(日)にかけて、エストニアで開催された、FIA世界ラリー選手権(WRC)第4戦ラリー・エストニアに、コ・ドライバーのダニエル・バリットと共にヤリスWRCで参戦した。勝田は競技2日目のデイ2で経験豊かな強豪を相手に総合5番手につけるなど健闘したものの、SS13でコースオフを喫し、完走を果たせなかった。
(以下、チームリリース抜粋)
新型コロナウイルスの世界的な蔓延により、2020年のWRCは3月の第3戦ラリー・メキシコ終了後、しばらくシーズンが中断していました。多くのイベントが中止や延期となった結果、勝田の参戦計画も変更されました。そして、シーズン再開後の初戦となるラリー・エストニアに、勝田はヤリスWRCで出場することになりました。
WRC初開催となるラリー・エストニアのコースは、地理的に比較的近いフィンランドと似た特徴を持ち、非常にハイスピードなグラベル(未舗装路)ステージが連続します。勝田は以前にR5カーで2回出場経験がありましたが、WRカーでの出場は今回が初めてでした。今年のラリー・エストニアには全部で11台のWRカーが出場し強豪が揃いましたが、勝田は序盤から良い走りを続け、大部分のステージで6番手タイムを記録。ステージによってはトヨタのチームメイトを上まわる好タイムをマークし、最長の1日となったデイ2最後のSS11では5番手タイムを記録。総合5位で1日を終えました。しかし、最終日デイ3の2本目、SS13で勝田はコースを外れ横転。残念ながらリタイアとなってしまいましたが、そこまで全力でトップの選手と戦い続けたことにより、これまでとは違うレベルの経験を蓄積し、非常に有意義な1戦となりました。
勝田貴元
土曜日はかなり自信を持ってドライブすることができましたし、ステージを重ねるごとにどんどんフィーリングが良くなっていきました。そして、いくつかのステージでは、世界最高のドライバーである、トヨタのチームメイトに近いタイムを刻むことができました。同じクルマで、彼らと自分を比較することができたのは本当に有意義でした。また、路面のコンディションが安定していたので、しっかりとグリップを感じて走ることもできました。日曜日は路面の変化が激しく、一晩中雨が降っていたので、かなり滑りやすいコンディションでした。僕がクラッシュしたコーナーは、ペースノートに記していた角度よりも少しきつかったのですが、それはレッキでの自分の判断ミスです。スピードが高すぎて側溝にはみ出し、3、4回転してしまいました。大きなクラッシュでしたが、ダンも僕も無事でした。チームには本当に申し訳なく思います。彼らは素晴らしいマシンを作ってくれましたし、アクシデントが起こるまでは走りを楽しんでいました。この週末に得た多くのポジティブな学びが、将来僕をより強くしてくれると確信しています。
ヤルッコ・ミエッティネン(インストラクター)
金曜日から土曜日にかけてタカは速く、コンスタントで、本当に良い走りをしていました。特に土曜日の走りはクリーンで迷いのない運転をしているように見えましたし、間違いなく今までで最高のパフォーマンスでした。日曜日の朝のSS12を終えた時点で彼は総合5位につけ、トップとの差は1kmあたり0.41秒でした。この差は予想よりもはるかに小さく、1kmあたり0.81秒差だったラリー・スウェーデンと比べても、大きく改善されています。タカとダンのラリー・エストニアは少し早めに終わってしまいましたが、彼らのパフォーマンスは強力でした。ラリーを学ぶ過程においては、ポジティブな学習曲線を描きながらも、時々壁にぶつかることもあるのです。
■結果
1 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒュンダイ i20クーペ WRC) 1h59m53.6s
2 クレイグ・ブリーン/ポール・ネーグル (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +22.2s
3 セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア (トヨタ ヤリス WRC) +26.9s
4 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン(トヨタ ヤリス WRC) +41.9s
5 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ ヤリス WRC) +1m18.7s
R 勝田貴元/ダニエル・バリット (トヨタ ヤリスWRC)
■次回のイベント情報
勝田の次戦は、10月8日から11日にかけて、イタリアのサルディニア島で開催されるWRC第6戦「ラリー・イタリア」です。ラリーは本来6月の第1週目に予定されていましたが、新型コロナウイルスの蔓延により開催時期が秋に移りました。勝田はこのラリーにR5カーで過去3回出場していますが、WRカーのヤリスWRCでの参戦は今回が初めてです。イタリア・サルディニアは狭く高速なグラベルステージが多く、道の表面は細かな砂状のグラベルで覆われています。しかし、何台かのラリーカーが走ると下層の石や轍が露出し、路面はどんどんと荒れていくため、クレバーなアプローチが求められます。