ヒュンダイ・モータースポーツのカスタマーレーシング部門は、プライベーター向けに新たに開発したi20 Nラリー2を発表した。ヒュンダイは2015年にカスタマーレーシング部門を立ち上げ、2016年にi20 R5を投入。現時点では詳細なスペックは明かされていないが、今回の新型モデルには、この5年間に積んだ経験を基に、パッケージのあらゆる部分を改良したという。
ベースとなる新型i20 Nはi20レンジにハイパフォーマンスブランドであるNブランドを初めて与えたモデルで、モータースポーツでパフォーマンスを発揮するために適したハッチバック車だ。i20 Nラリー2は、ヒュンダイの新しいアイデンティティである『官能的なスポーティさ』の一部であるダイナミックな外観をもつこのモデルをベースとしており、そこにはモータースポーツの世界で刺激を受けた要素もふんだんに盛り込まれているという。
現行i20 R5の5速シーケンシャルギヤボックスはこのモデルでも継続されたが、i20 Nラリー2ではそれ以外のほぼすべてのパーツは1.6リットルターボエンジンを含めて一新された。デザイン作業は2020年1月から開始したという。
5年間に渡るi20 R5のプロジェクトでは、常に開発作業を続け数々のアップデートも行われており、その結果、ハンドリングとパフォーマンスが向上した。i20 Nラリー2の投入にあたってもこうした強化部分を継承した一方で、新しいシャシーがベースとなることで、マシン設計のほぼすべての側面で大きな前進ができたとしている。
新しいサスペンションコンポーネンツとダンパーにより、すべての路面においてハンドリングはよりドライバーに馴染みやすくなった。これは、WRC2、WRC3をはじめ、多くの国内選手権、FIA地域選手権の主流カテゴリーであり、プロやプライベーターの両方が選択肢とするラリー2(旧R5)では非常に重要な部分。2016年後半のデビュー以来、i20 R5はスペイン、ポルトガル、ポーランドで国内タイトルを獲得するなど、多くのカスタマーが選手権を制しており、新型i20 Nラリー2でも、i20 R5でのこうした成功を引き継ぐことを目指している。
ヒュンダイは、今月下旬にもi20 Nラリー2の大規模なテストプログラムを開始するとしており、FIA公認の取得と供給の開始は2021年の夏を予定しているとのことだ。
ヒュンダイ・モータースポーツのチーム代表、アンドレア・アダモは「i20 R5は、ヒュンダイ・モータースポーツ・カスタマーレーシングの最初のモデルだった。そして今回の新型i20 Nラリー2では、この部門の設立以来、5年間の成長を見せることができるだろう」とコメント。
「この新型モデルでは、デザイナーとエンジニアの専門チームによる設計作業の努力により、すべての領域が改良された。ここから我々はこのマシンのテストに専念し、それぞれの領域の開発をさらに進めてパフォーマンスと信頼性の両方を改良させていく。また、すべてのカスタマーが来年、i20 Nラリー2で参戦を始められるようになった時、それぞれが最高のリザルトを獲得できるようにするために、このモデルのハンドリングを煮詰めていく」