波乱の連続となっている2020年のWRCだが、このままシーズンが終わるかもしれないという懸念が現実味を帯びてきた。先日、イープルラリー・ベルギーが開催キャンセルになったことにより、今季の残るWRCイベントはラリーモンツァのみとなった。しかし、イタリアの調査によれば、10月下旬に新型コロナウイルスの感染者数がモンツァのあるロンバルディア地方だけで1日7500人を突破したことが明らかとなったのだ。
もしモンツァが開催されなければ、2020年のWRCは当初予定されていた14戦の半分以下、6戦のみということになる。これ以上、開催できるラリーがなくなれば、エルフィン・エバンスがドライバーズタイトルを獲得することになり、ヒュンダイはマニュファクチャラーズタイトルを防衛、ポンタス・ティデマンドがWRC2、マルコ・ブラシアはヤリ・フッツネンを2ポイント抑えてWRC3タイトルを決めることになる。ジュニアWRCでは、ラリーエストニアで部門優勝を飾ったマルティン・セスクが、2018年のERC3ジュニアの栄冠に加えてJWRCのタイトルを獲得することになるだろう。
エストニア、イープル同様、モンツァも再編成のWRCカレンダーに追加されたばかりだったが、ラリーの開催はひと筋縄ではいかない模様だ。イベントと強いつながりを持つイタリア拠点の情報筋によれば「ロンバルディアには厳しい制限が多く行われており、大人数で集まる機会を減らし、レストランの閉店時間を早め、人々には午後11時〜午前5時までは家に留まるなどの対策により感染拡大を止めることを目指している」という。
「モンツァのラリーは無観客で開催される予定になっているが、10月中旬に開催された自転車のロードレース、ジロ・デ・イタリアでは大人数が観戦に訪れるためコントロールが厳しいと政府にとって大きな懸念となった。この地域では、クリスマスのマーケットにも多くの人々が訪れるが、この30年で初めて行われないことになった。その状況の中で、どうすればラリーを開催することができるだろうか?」
(Graham Lister)