ERC第4戦ラリーハンガリー(ターマック)は11月8日、最終日となるレグ2の走行が行われ、初日を首位で終えたアンドレアス・ミケルセン(シュコダ・ファビア・ラリー2 EVO)が、優勝を飾った。
この日は、ニーレジハーザのスーパーSSを1本挟んで、3SSを2ループする計7SS・69.78kmが設定された。
2020年、初めてのラリー参戦を初めてピレリタイヤを履いて臨んだミケルセンは、計7本のステージウインを獲得し、2位以下に1分半以上の大差を築いての勝利を飾った。
「これで2020年はここまで負けなしだよ!」とおどけてみせたミケルセン。
「とてもいい週末だった。ここのところコンペティティブな戦いができていなかったし、ご存じのとおりテストしか行っていなかった。ここ2年ほどはターマックで苦戦してきたし、もうミケルセンはターマックでは走れないんじゃないかと思った人もいたと思う。だから、ここに来て、まだ自分たちは速いんだということを見せられてよかった。このマシンで僕を走らせてくれたTopp-Carsチームに、心から感謝したい。マシンは週末を通してまったく問題がなかった。それに、シュコダにも、こんなに素晴らしいマシンを作ってくれて感謝したい」
「2017年にこのマシンを試した時にもとても気に入ったが、それ以来、本当にたくさんの改良が施されて、今はさらによくなった。とてもドライビングがしやすかったし、何より自信を持てた。ラリーをうまくコントロールできているという手応えを感じていた。とてもいいフィーリングだったよ。クレバーな戦略で戦い大きすぎるリスクは負わなくてもかなり速かったから、すごく楽しかった」
ノルベルト・ヘルチグ(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5)は、2SSを残した時点で3番手につけていたが、SS15でパンクを喫し、母国でのポディウムを逃した。「本当に悲しい。慎重に走っていたのに、なぜパンクしたのか分からない。ポディウムを逃してしまい、期待してくれていたみんなに申し訳ない。でも、これが人生というもの。次を目指す」とヘルチグ。
ヘルチグの後退により、グレゴワール・ミュンスター(ヒュンダイi20 R5)が2位に入り、ERC1ジュニアでは2戦連続で部門優勝をマーク。ミュンスターにとって、総合順位では自身の自己ベストのリザルトとなった。
エフレン・ラレーナ(シトロエンC3 R5)も同じく3位に浮上。2019年のERC3ジュニアチャンピオンのラレーナにとってもキャリアベストリザルトとなった。さらに、前日、2回のパンクに見舞われ9番手に沈んでいたオリバー・ソルベルグ(ポロGTI R5)はこの日、猛烈な追い上げを見せ、ヘルチグの不運もあり4位に順位を上げてのフィニッシュとなった。ソルベルグは、ERC1ジュニアのタイトル争いではミュンスターに首位を譲ったが、その差はわずか1ポイントだ。
選手権リーダーのアレクセイ・ルキヤナクは、前日、タイムコントロールに早着するという痛恨のミスで5分のペナルティという大量ロスを背負い、18番手からこの日をスタートした。しかし、この日は全開のチャージを見せてステージウインを4本奪取。13位でフィニッシュし、貴重な選手権ポイントを3ポイント獲得した。今季のERCは、上位15位までポイントが与えられる。ルキヤナクは、最終的にミケルセンに4分53.5秒遅れでフィニッシュしており、ペナルティがなければと思わずにはいられないだろう。
前日を2番手で折り返していたクレイグ・ブリーン(i20 R5)はポディウムフィニッシュに向けて前進していたが、SS12でメカニカルトラブルによりリタイアとなった。
「この日3本目のステージ、フィニッシュまで数kmというところで、エンジントラブルが発生した」とブリーン。
「少しずつ警告灯が点灯し始めたが、たぶんダメージはもう起きていたのだと思う。正直、これ以上できることはなかった」
ERC2は、地元ハンガリーの英雄、チボール・エルディ(三菱ランサーエボリューションX)が、前日の首位を守り切って母国優勝を飾った。
激戦となったERC3/ERC3ジュニアでも、エストニアのケン・トーン(フォード・フィエスタ・ラリー4)が首位を守り切って今季3勝目をマークした。一方、フィアット124アバルトRGTのワンメイクシリーズ、アバルトラリーカップでは、金曜日のSS1をサスペンションの不調でデイリタイアを喫していたアンドレア・マベリーニが逆転優勝を飾っている。
ERCの次戦、第5戦ラリーイズラス・カナリアス(ターマック)は11月26〜28日、スペイン領のカナリア諸島で開催される。
ERCハンガリー 最終結果
1 A.ミケルセン(シュコダ・ファビア・ラリー2 EVO) 1:48:31.1
2 G.ミュンスター(ヒュンダイi20 R5) +1:32.3
3 E.ラレーナ(シトロエンC3 R5) +2:00.3
4 O.ソルベルグ(シュコダ・ファビア・ラリー2 EVO) +2:04.8
5 N.マイヤー・メルンホフ(フォード・フィエスタR5 MkII) +2:08.2
6 N.ヘルチグ(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5) +2:31.4
7 C.デバイン(ヒュンダイi20 R5) +2:50.3
8 E.カイス(フォード・フィエスタR5 MkII) +3:24.3
9 M.グリエベル(シトロエンC3 R5) +3:32.4
10 A.ハディク(フォード・フィエスタR5 MkII) +4:13.6