WRCモンツァ:イングラシア「エストニアでのセブのペースには驚いた」イベント後記者会見 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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WRCモンツァ:イングラシア「エストニアでのセブのペースには驚いた」イベント後記者会見

©TOYOTA

WRCラリーモンツァのフィニッシュ後に行われたイベントカンファレンスの内容(抜粋)。激動のシーズンを終えて、7度目の戴冠を果たしたオジエとイングラシア。3月のメキシコ以降、シーズンは中断を余儀なくされたが、9月のエストニアでいきなりオジエが見せたペースには、長年相棒を務めてきたイングラシアも、その驚異的なまでのプロフェッショナリズムを感じずにはいられなかったようだ。

●WRCイベント後記者会見 出席者
2020年ドライバーチャンピオン:セバスチャン・オジエ=SO(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
2020年コ・ドライバーチャンピオン:ジュリアン・イングラシア=JI(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
2020年マニュファクチャラーチャンピオン代表:アンドレア・アダモ=AA(ヒュンダイ・シェル・モビスWRT、チーム代表)

Q:激動の2020年シーズンだったが、結末を迎えた。7度目のタイトルを獲得! 今回は、チームメイトのエルフィン・エバンスに続いて、候補2番手だったと言えるだろう。この週末は、ステージ上ではジェットコースターのようにドラマの連続だった。タイトルNo.7を決めた、いまの気分は
SO:もちろん最高の気分だ。おっしゃる通り、今回、自分たちは候補の筆頭ではなかった。このシーズンは間違いなく特別なものだったし予定よりも短くなったが、今日フィニッシュラインを越えたことはもちろんハッピーだ。でも、飛び上がるほどは喜べない。そんなことを言っている時ではないし、世界全体が難しい状況でたくさんの人々が苦しんでいるので、相応の態度をとらなくてはならないと思うんだ。もちろん、自分がやってきた仕事には満足しているが、できれば近いうちに、もっと心から喜ぶことができるようになることを願っている。
この、短くなってしまったシーズン……ジュリアンと自分は、パフォーマンスにはかなり満足していた。もちろん、悪い場面もあった。自分たちの場合はラリートルコで、ここで選手権リードを譲った。その後は、あと何戦開催されるのか分からなかったから、取り戻すのは簡単ではなかった。僕らは14ポイントのギャップを追うかたちで最終戦を迎えたので、唯一のチャンスは、エルフィンに最大限のプレッシャーを与えてラリーに勝ち、チームとしてリードを維持したければ彼にも高ポイントを獲ってもらうことだった。結果的には、自分たちに関してはうまくいったが、この点でも心からは喜べない。チームメイトのコースオフで起きたことであり、この時点でマニュファクチャラーズタイトルを失ったようなものだったからね。でも、個人的には、今回自分の仕事をまっとうできれば、7度目のタイトルを獲得できるということでもあった。だから、チームのためにもハッピーだ。

TOYOTA

Q:今回は、本当にチャレンジングなイベントになった。モンツァが最終戦になると決まった時、多くの人はサーキットだけを使うラリーショーのようなものだろうと思ったのではないか。ドライバーにとってはラクなイベントになるだろう、と。でも、実際はまったくそうではなかったのでは
SO:まったく違ったね。自分も同じように考えた時もあった。世界選手権としてちゃんとしたイベントになるのかなって。だから、主催者をおおいに讃えなくてはならないと思う。このイベントの実現を果たし、僕らにこの週末、戦うチャンスを与えてくれた。終わってみれば、本当にチャレンジングな週末になったんだからね。また、サーキットでのショーに、山岳部での本当に素晴らしいステージを組み合わせて僕らに戦う機会を与えてくれたと思うし、自分的には世界選手権にふさわしいイベントだと思う。だから正直、将来、またここで開催したっていいと思う。もっと準備する時間があれば、リピート走行もいい走りができるようになるんじゃないかな。今回は、グラベルセクションはかなりヒドいことになったかもしれないけど、主催者に贈る言葉はお見事、だと思う。僕らは、安全な形で選手権を締めくくるチャンスを与えてもらった。

Q:ジュリアン、最終戦が本当に行われるのか誰にも予想できなかったが、シーズンを終えて今の気分は。イベント数の点でも、複雑なシーズンだった。イベントに向けて準備をする度に、イベントがキャンセルになった。あなたの立場からは、どのような難しさがあったか
JI:どのチームでも、チームで働いているみんなにとっても、同じだったんじゃないかな。テストやラリーの準備はしなきゃならないけど、通常なら半年前には予定が分かっている。例えば、家族と週末を過ごしたりしたければ、5カ月前には予定を決めなくてはならない。いつもなら、それ以外の週末は仕事をしているからね。だから、間違いなく面倒だったし、それはあなた方も同じだったんじゃないかな! 何年間も続けてきた同じ流れが、そのとおりに進められなかったのは奇妙なものだった。同時に、たくさんラリーが開催されることはなさそうだったことも分かっていたし、運良く開催されるイベントをうまくこなす以外に選択肢はなかった。セブも言ったとおり、どこかでポイントを逃せば、それを挽回するチャンスはあまり多くはなかった。
エストニアでラリーが再開した時のセブのペースには、ものすごく驚いた。新しいラリーで、超高速だ。あのコンディションの中で、たとえテストでうまくいったとしても、マシンやそれ以外のことにしっかり合わせ込まなくてはならない。時速180kmは、100kmとは大違いだからね。何週間もドライビングから離れていたのに、最初のコーナーからすぐにペースに乗れる準備をしてきていたことに本当に感心した。だから、みんながスタートラインに立っていた時、戦いを再開する準備はできていたと思う。

TOYOTA

Q:興味深い話だね。今年は7戦しかなかったが、それでもみんなは一戦一戦を全開で戦い抜いた。戦数が少ないからミスは命取りになる。このシーズンを振り返り、この7度目のタイトルはどれだけの意味を持つか
JI:セブも触れていたとおり、今シーズン、新しいチーム、新しいマシンとなったが、それに対応した自分たちのペースをとても誇らしく思うし満足している。対応しなくてはならないことはたくさんあるし、マシンのセッティングにも時間がかかる。チーム自体の動きも理解しなくてはならないし、彼らとうまくやっていくことも必要だ。でも、これまでの経験を、すべて活かしてきた。今夜は本当にうれしい。今年は数戦しかなかったが、それでもビッグファイトだった。ライバルたちはみんな手強かったから、このタイトルも、チームと一緒に戦い抜いてきたことが本当に誇らしい。

Q:ふたりにとも、誇らしいことだろう。ふたりにとって、素晴らしいシーズンだった
SO:フランスにいるミシュランの仲間に伝えたい。長年、WRCにタイヤを供給し、今日が最後になる。ポディウムの上で、自分はちょっとしたミスをしてしまった。いろいろあって、ミシュランの帽子を被っていなかったんだ。自分は、ポディウムの上だけで被ることのできるキャップが大好きなんだ。いい仕事をしたという証だからね。ミシュランは長年、僕らとともに本当にいい仕事を続けてきてくれたから、みんなから感謝されるにふさわしい。Grand merci à vous tous et à très bientôt peut être(みんな、心から感謝しているよ)!

Q:ミシュランのみなさんも喜んでいるでしょう。次はアンドレア・アダモ。ヒュンダイのマニュファクチャラーズ選手権連覇、おめでとう。信じられないシーズンだったし、チーム一丸となって挑むことも壮大だった。決まった時は感無量だった様子だったが、今なら振り返ることはできるのでは。今の気分は
AA:ジェットコースターのような日々だったので、正直、まだあまり振り返られていない。たぶん、家に戻ったら、そんな時間も取れるかもしれないね。まあ、ここから家まであまり離れてもいないんだけど。
セブも言ったとおり、奇妙な1年だった。状況はよくなりそうだったところに、第二波が押し寄せてきた。特にこの数カ月は、多くの人々にとって厳しい状況だったり、親しい人を失った人もいた。前にも言ったと思うが、同じ状況に戻るのは難しいから、特別な感じだった。それが楽しくなるのか、辛いこともあるのか分からないが、でも戻ってきた。でも、もし、ラリーがファンに向けて少しでも楽しめる週末を過ごしてもらい、選手権を続ける努力ができるなら、みんなが置かれている問題から少し気持ちをそらせて……ここは誤解しないでもらいたいのだが、そういう意味では、自分たちの仕事をしてきたことはとても幸運だったと思う。
世の中には苦しんでいる人がたくさんいるが、我々の情熱は、そんなみなさんのために向けられている。だから、そんなみなさんのために、少しでもリラックスしたり、楽しむ時間を与えることができたのなら、そのこともうれしいよ。

HYUNDAI

記者からの質問
ライナー・クーン(モータースポーツ・アルクテル、ドイツ)
Q:世界戦の最終戦でモンツァのサーキットコース周辺のステージ、特にパワーステージでのレイアウトとコンディションも含め、今日のステージについてどう考えるか

SO:世界的な状況の中で、誰もができる範囲の中で最善を尽くしていると思う。でも、もちろん、グラベルセクションは……たぶん、週末を通してこのような天気になるとは、誰も予想していなかったんじゃないかな。今回は、ずっと水の中だった。クレイジーだったね。だから、グラベルセクションにも影響したし、パワーステージの一部のセクションは、グラベルスペックのマシンだったとしてもラフだったと思う。だから、マシンがこのコースで持ちこたえてくれることを祈っていたよ。だから、またここで開催されることがあれば、改善できる余地は多いにあると思う。いつでも改善はできる。初開催としては、とてもよかったし、みんなも同じように言っている。でも、もしまたここで走るなら、改善は必要だね。またここで開催できるポテンシャルはあると思うし、さらにいいイベントにすることもできるはずだ。



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