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WRCモンテカルロ:オジエ「ヤリのことはもう“ボス”と呼んでいるよ」プレ会見まとめ

©Toyota Gazoo Racing WRT

1月21日の午前中に行われたWRCラリーモンテカルロでのプレイベントカンファレンスの内容(抜粋)。再びチャンピオンとしてWRCシーズンを迎えるオジエ。トヨタのチーム代表に電撃就任したラトバラのことを、すでに「ボス」と呼んでいることを明かし、その手腕に期待を寄せた。

●WRCプレイベントカンファレンス出席者

ACM / Patrick Domaine


セバスチャン・オジエ=SO(トヨタ・ガズー・レーシングWRT)
オィット・タナック=OT(ヒュンダイ・シェル・モビスWRT)
テーム・スニネン=TS(Mスポーツ・フォードWRT)
ピエール・ルイ・ルーベ=P-LL(ヒュンダイ2Cコンペティション)
テレンツィオ・テストーニ(ピレリ、ラリーアクティビティマネージャー)

Q:セバスチャン、マシンにNo.1をつけての登場だ。新しいシーズンを楽しみにしているか
SO:ドアにNo.1をつけるのは、カッコいいものだよ。前のシーズンが悪くなかった、ということだからね。でも、戦いはまたイチから始まる。今までにないほどトリッキーな開幕だ。モンテはビッグチャレンジになる。レッキでもそう感じたが、今では雨も降ってきたのでさらにチャレンジングになるだろう。タイヤチョイスはいつも複雑だが、今年は特に新しいタイヤなので経験が少ない。これまで以上にチャレンジングになると思うが、モンテをスタートするのはいつでもハッピーだよ。

ACM / Patrick Domaine

Q:新しいピレリタイヤはどう違うか
SO:ピレリの違いはシンプルな理由にある。マニュファクチャラーチームは、使えるタイヤの登録数に制限があり、それでは実際に直面する路面すべてをカバーできない。コンディションによって合うものもあれば、合わないものもある。だから、それを見極めなくてはならないし、限界点を学ばなくてはならない。これは、今回のビッグチャレンジのひとつだ。モンテでは、いつも同じ。正しいタイヤを選べば、難しい問題も少しは解けたようなものだが、今回はそれが例年よりも難しくなりそうだ。

Q:今回のルートに関してどう思うか
SO:新しいセクションが多い。自分がこれまでに見てきた最も素晴らしいモンテのルートの部分は必ずしも入っていないし、非常にナローでチャレンジングだと感じたセクションもあるが、難しいルートでこそトップなら差をつけなくてはならない。レッキではコースサイドに石がたくさん落ちていたのを見かけたので、パンクのリスクは通常よりも高そうだ。でも、何にせよ新しいセクションができて新しいノートを作るのは、いいものだよ。それこそラリーの醍醐味だ。

Q:自分にとって、今回のルートはどれくらい新しいのか
SO:たくさんだよ! 正直、日曜日のステージはすべて新しい。いや、全部ではないな。ステージのうちの1本は2007年にプジョーで走った。幸い、その時のノートは取っていなかったよ。金曜日はとても新しい。自分にしてみれば、多かれ少なかれみんな同じだ。ここで生まれた自分でさえ、行く必要がなければ行かないような場所だ。歩いたこともない場所もたくさんある、レッキは忙しかった。やることがたくさんあったが、それがうまくいったかどうかは、まもなく分かるよ。

Q:新しいボスとしてヤリ‐マティ(ラトバラ)が就任した。彼を「ボス」と呼んでみたか
SO:もう呼んでいるよ! 自分がクラッシュした後に電話をかけて「ごめん、ボス、クラッシュした」と言ったんだ。(ラトバラの就任には)たくさんの人が驚いたと思うし、自分もそうだ。でも、ヤリのように情熱のある人は、チームにたくさんのことをもたらしてくれると思う。チームは経験が豊富なので、何かがすぐに大きく変わるようなことはないはずだ。重要なことのひとつは、ヤリはとてもいい人だから、自分は彼との関係に不安はないということ。どのような効果が現れるのか楽しみだね。

Q:オィット、昨年はここでアクシデントに見舞われたが今回はどのようなアプローチで行くのか
OT:そうだね、昨年の開幕はあまりいい形ではなかったし、1ポイントも獲れなかった。今年はもちろん、ポイントを獲って滑り出せればうれしいね。それが目標だ。

ACM / Patrick Domaine

Q:昨年は17ポイント差でタイトルを逃した。どのポイントも重要か
OT:何も秘訣はない。タイトルを目指して戦いたければ、ポイントを獲るしかない。今回はひと筋縄ではいかないと思うが、ポイント獲得を目指すし、それができなくてはならない。

Q:グラベルクルーたちは、どれくらい苦労するだろうか
OT:いつも以上に重要な役目になる。レッキでのコンディションはかなり安定していてよかったが、今朝から雨が降り出したからね。すべてが変わっていっている。標高の高いところでは、たぶん雪になっているだろう。このような状況では、彼らの役目はとても重要だ。

Q:新タイヤについてどう思うか
OT:もちろん、できる限り学ぼうとしたが、一年を通して学んでいくことになるだろう。テストでは、何種類かのコンディションで走行できたが、今回のような週末ではもっと多様なコンディションに直面する。このラリーでは、どのステージもそれぞれに違うこともあるし、違うコンディションで路面も違ったりもする。飲み込みよく学ばなくてはならない。

Q:テーム、今季はフル参戦のプログラムではないがプレッシャーは大きくなるか
TS:今は6戦の計画だが、もちろん、フル参戦にふさわしいというドライビングを示さなくてはならない。得意なラリーを選んだので、来年どうなるか楽しみだね。

Q:モンテについてはどう感じているか
TS:ここ数年はいいタイムを出せているが、リザルトに結びつけられていない。今年は、オーバードライブせず、ミスをしないでベストを尽くすことに専念していきたい。それが、ここでいいリザルトを収めるための方法だ。もちろん、新しいタイヤのことは経験が少ないので重要な鍵になると思うが、タイヤの賭けは見応えがあると思うよ。

Q:一番気になるステージはあるか
TS:特にない。どのステージも違うし、かなりチャレンジング。初日の2本目はカットできる場所が多いから泥が出るし、その他のステージは雪やアイスのセクションが多い。どのステージもすごくトリッキーだ。

Q:目標は
TS:トップ5か6を目指して、クリーンなラリーをしたい。そうすれば、いいシーズンに向けてプッシュすることができる。

Q:ピエール、モンテに向けての準備は整っているか
P-LL:そう願うよ。願っているけど、分からないね。モンテは、コンパクトなマシンでも走ったことがない。初参戦だ。もちろん、ベストを尽くす準備はできている。

ACM / Patrick Domaine

Q:レッキではステージをどう感じたか
P-LL:難しいね。いいアイデアがないよ。どうラリーを戦えばいいのか、どんな感触になるのか分からないが、コンディションはみんな同じ。クレバーな走りを心がけて、走り切りたい。

Q:昨年WRカーで参戦して学んだことは
P-LL:昨年は、間違いなくアメージングな年だった。初めてWRカーで参戦した。たくさんのことを学んだが、もっと落ち着いてミスを減らさなくてはならないと学んだ。サルディニアはそう悪くなかったし、ミスも少なかった。今年は時間があるので、一年の終りに速くなることが目標。1本1本のステージをクレバーに走って、最大限の経験を積まなくてはならない。

Q:テレンツィオ、ピレリがWRCに戻ってきたことはとてもエキサイティングだ。ピレリは準備はできているか
TT:ピレリは、またシリーズに100%参戦できるようになったことを喜んでいる。ピレリとしてはWRCの参戦を止めたことはなく何らかの形で常に参戦していたが、今は100%、全力での参戦と言えるだろう。我々の戦略では、レベルは格段に高い。12月には3マニュファクチャラーとの作業を始めたが、チームにとっては我々のタイヤはまったく違うので簡単ではないだろうね。タイヤの限界を知らなくてはならないし、それは1日でできるものではない。このモンテは、タイヤが鍵になるラリー。正しいタイヤを選べば、勝つことができる。ここで勝者になるのは、ミスが少なかったドライバーだ。ひとつのステージに、我々が用意した4種類、ソフト、スーパーソフト、スタッド、ウインター、すべてを持っていく必要もあるかもしれないが、もちろん、全部を使うことはできない。うまい落とし所を見つけなくてはならない。チーム陣は、タイヤの動きを理解していかなくてはならない。それが(これまでよりも)いいとか悪いとかいうわけではない。別物なんだ。

Q:タイヤチョイスはどれくらい難しくなると思うか
TT:通常のターマックラリーなら、ウエットならウエットタイヤを履くし、ドライならスリックを履く。コルシカやスペインではそれが常套だ。でも、ここでは状況は複雑。ウエットの時にスタッドのないウインタータイヤを履く、それが我々のウエットだ。ドライバーにとっては難しい状況だ。通常のターマックでは、ウエットで何を使えばいいのかはとてもシンプルだが、ここでは、スリックとウインタータイヤでは、差が激しく大きい。我々にとっても簡単ではない。すでにもう、たくさん電話がかかってきて、どうしたらいいのか聞かれている。ここでのウエットは単純ではない、マッドもあることを留意しなくてはならない。

記者席からの質問
ボー・クリステル・ボフェル(Worldrally.se、スウェーデン)
Q:トレンツィオ、先週のアークティックラリーでは新しいSottozeroが登場していたが、来月の第2戦では投入するのか

TT:申し訳ないが、使わない。このタイヤはノルディック選手権で使用しているもので、WRCでは認められていない。あのタイヤのスタッドは(WRC規定よりも)2mm長くて、9mmになっている。世界で初めてだ。こんなに長いスタッドをつけたタイヤは、我々の製品しかない。WRCで使用するスタッドは7mmになっている。



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