トヨタ・ガズーレーシングWRCチャレンジプログラムの育成ドライバーとして、今季のWRC全戦にトヨタ・ヤリスWRCで挑む勝田貴元。プログラムの初戦ラリーモンテカルロをWRCでの自己ベストとなる6位でフィニッシュした好結果を受けて、インストラクターを務めるユホ・ハンニネンは、第2戦アークティック・ラリーフィンランド(2月26〜28日)では、さらに自信を高めてスタートできると考えている。2017年にトヨタのワークスドライバーを務めたハンニネンは、2021年は勝田の育成を担当している。
ワールドラリーカー勢にとって新しいピレリタイヤで臨む初戦となったこのモンテカルロは、タイヤに慣れていないうえにグリップの低いコンディションとなったが、その状況に対応した勝田に、ハンニネンはアークティックでの好走に期待を寄せる。
「タカのラリー展開には、本当に満足している」とハンニネン。
「あのタイヤでのターマックでの経験はまったくない状態で、あのラリーをスタートした。12月に行ったテストは100%ウインターコンディションで、スタッドタイヤでの走行だったから、モンテカルロの初日は本当に大変だったと思う。でも、コンディションが変わりウインタータイヤを履いてからは、一気に自信を高めて、それに合わせてSSタイムも格段によくなった」
「昨年のモンテカルロでは自分はグラベルクルーを務めていたが、その時と比べれば、彼のペースノートにはコンディションについてより詳細を盛り込めるようになっていた。自信が高まり、経験を積んだからだ。シーズンの滑り出しとしては、とてもいい形になったし、この自信を持っていけばアークティックも楽に臨めるようになる」
勝田は「トリッキーなコンディションでたくさんのことを学び、経験を積んだ」とコメントしている。
「スピードが高まっていき、自信もついてきた。正直、最初は自信はゼロだった。タイヤのことを理解しなくてはならなかったし、コンディションや路面が変わった時は慎重になりすぎた場所もたくさんあった。でも、グラベルクルーの活躍でペースノートにも情報を加えることができたし、これでドライビングへの自信も高まった。週末の間、悔しかった部分もあったが、ラリーをフィニッシュしてこのような形でシーズンを始めることができてよかった」
アークティック・ラリーフィンランドはWRCとして初開催だが、勝田はベースとなるアークティック・ラップランドラリーにはこれまでに3回参戦しており、2018年は3位でフィニッシュしている。フィンランド国内戦の開幕戦として知られるラップランドラリーは、WRCと同じロバニエミが本拠地となり、ラップランドラリーでおなじみのステージの多くが、WRCでも設定されると見られている。
(Graham Lister)