全日本ラリー選手権第3戦ツール・ド・九州2021 in 唐津は4月11日(日)の競技最終日を終えて、総合5番手からの追撃を図っていたSUBARU WRX STIの新井敏弘/田中直哉は、この日5本目となるSS9でエンジントラブルによりストップ、残念ながらリタイアとなった。
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■挽回期した猛追も実らず
SS5~SS10の計6SS、SS走行距離35.38kmという構成のラリー最終日、連日の快晴の下、新井敏弘は前日のスピンでの遅れを取り戻すべく、この日も限界ギリギリの走行を続けました。SS5は強力なR5勢2台に次ぐ総合3番手タイムで上位との差を詰め、SS6では5番手タイムに留まったものの続くSS7でも諦めずにアクセルを踏みました。
そんな新井敏弘を不運が襲ったのはステージフィニッシュまであと約3kmの地点でした。突然のガス欠症状に見舞われたWRX STIはペースダウンを余儀なくされて大きくタイムロス、ここで順位挽回の望みは断たれてしまいます。このトラブルの影響が出たのが、サービスを挟んで迎えたラリー最終セクションでした。SS8を総合3番手タイムでまとめて臨んだフィニッシュまであと2SSとなったSS9、スタート後1km地点でエンジンがまさかのストップ。新井敏弘はここで無念のリタイアとなってしまいました。
なお、JN3クラスに出場しているSUBARU BRZは鈴木尚/山岸典将がクラス2位、加納武彦/横手聡はクラス8位でフィニッシュしています。
■新井敏弘「足まわりの改善などポジティブな面もあった。次も頑張りたい」
前戦の優勝からまさかのリタイア、無得点という結果となった新井敏弘は「SS7でのガス欠は原因の分析はこれからですが、昨日も燃料計の表示がおかしい兆候が出ていたので、スピンして左リヤをヒットした影響があるのかもしれません。SS9のエンジンとトラブルは、そのガス欠でエンジンがダメージを受けていたようです。今回は厳しい展開にはなりましたが、前戦でフィーリングがよくなかった足まわりに関しては対策が合っていいタイムも出ましたし、ポジティブな面もありました。ライバルは強力になってきていますが、WRX STIの持ち味である操縦安定性の良さなどを武器に、できる限りのことはしっかりやっていきたいと思っています。次のラリーも頑張ります」と気丈にコメント、今後の挽回を期しています。
■ディーラーメカニックコメント「学んだことを、お客様とのやりとりにも活かしていきたい」
・担当車両:富士スバル AMS WRX STI
・小左井勝輝
・熊本スバル株式会社 玉名店 メカニック
人気漫画の『イニシャルD』がきっかけでクルマに興味を持ち、専門学校を経て入社した小左井は、入社のきっかけとSUBARUの魅力を「AWDといえば、やはりSUBARUというイメージですし、モータースポーツをやっている会社は多いですが、クルマのカッコ良さと言えばSUBARUでした。昔のラリーの映像を見ていると、すごく迫力もありますしね」と語ってくれました。
4年前にTOYOTA GAZOO Racing 86/BRZワンメイクレースのディーラーメカニックにも参加するなどモータースポーツへの興味は深く、レースとは違うラリーの現場を体験すべく今回の参加となりました。
「左リヤを担当し、締め付けチェックなどを行いました。土曜日に左リヤをヒットしてWRX STIが戻ってきましたが、経験者の皆さんが傷んだ箇所を迷うことなく作業していたのが印象的でした。店舗ではリフトでの作業が当たり前ですが、ラリー現場では馬台(ジャッキスタンド)をあててジャッキアップするというだけの体制でこれだけのパーツが変更できてしまう。足まわりやマフラーの変更が気づいた頃には終わっていましたし、その手際の良さ、判断力、時間内で行う作業に感動しました。ディーラーとしても点検時間をしっかり守るのが大事ですし、応急処置の仕方などは非常に勉強になります」
新しい発見や刺激ばかりで本当に楽しかったという小佐井。
「チームでのコミュニケーションも、お客様とのやりとりにも活かしていきたいですし、合間の時間も無駄な時間は一切なかったです」と多くのものを得た濃密なチャレンジを振り返ってくれました。
次戦は5月2日~3日に愛媛県久万高原町を拠点として開催される「久万高原ラリー」です。2020年大会は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中止となっており、2年ぶりの開催となります。ロングステージでのタイヤマネージメントも重要となるなど、これまでの2戦とはひと味違う舗装ステージでのSUBARU勢の活躍にご期待ください。