全日本ラリー選手権第3戦ツール・ド・九州2021 in 唐津は、競技最終日が4月11日(日)に行われた。ストップ&ゴー的なターンが続くSIRAKIKOBA(SS5/10:3.82km)と、上り区間が連続するHACHIMAN(SS6/9:6.05km)とテクニカルなダウンヒルステージのBIZEN(SS7/8:7.82km)というそれぞれキャラクターが異なるステージを2ループする35.38kmが設定されている。
初日はGRヤリスを投入した奴田原文雄/東駿吾がトップを奪い注目を集めたが、2日目はR5勢が奴田原に襲いかかった。まずオープニングとなるSS5は、1.4秒差で奴田原を追いかける福永修/斎田美早子がベストタイムをマーク。奴田原が5.4秒差の5番手タイムとなったため、ここで福永が4.0秒差のトップに立つこととなった。SS6は奴田原がベストを奪い福永との差を1.7秒に縮めるが、SS7で福永がこの日2回目のベストタイムをマークし、その差を3.8秒差に広げる。その後も福永はSS8でベストを重ね、後続を振り切りフィニッシュ。自身にとっては2017年の初優勝以来、4年ぶりの優勝を飾った。また、2位にはSS9と10でベストタイムを重ねた柳澤宏至/保井隆宏(シュコダ・ファビアR5)がトータルで奴田原を0.1秒かわし、福永に3.0秒差の2位でフィニッシュ。初日にGRヤリス旋風が吹き荒れた第3戦は、R5勢が1-2フィニッシュを飾る結果となった。
「今回はパンクがあったり、タイヤ的にも厳しいラリーでしたが、なんとか無事に戻って来ることができました。正直、今回のGRヤリスのスピードは、シリーズ後半には伸びて来るなと感じました。そういった意味でも、シーズンを考えると大きな1勝だったと思います」と福永。2位に入った柳澤も「頑張りましたが、惜しかったですね。やっとクルマのリズムが分かってきました。収穫のあるラリーだったと思います」とラリーを振り返った。
JN2クラスは、初日トップの石井宏尚/竹下紀子(レクサスRC F)が、SS5、6、7、8で4連続ベストタイムをマーク。SS8を終えた時点で2番手につける中平勝也/石田裕一(トヨタGT86 CS-R3)との差を一気に18.8秒差に広げた。残る2SSはマージンを保ちながら走った石井は、「最初のループでタイムを稼ぐことができたのが良かったです。最後はタイヤも厳しかったんですけど、逃げ切ることができました」とトップの座を守り切りフィニッシュ。待望の全日本初優勝を獲得した。また2位には「本当は最終SSで逆転しようと思っていたら、その前のSSで捉えることができた」とプッシュし続けた上原淳/漆戸あゆみ(ホンダ・シビック・タイプRユーロ)が入賞。「2日目はセッティングが合いませんでした」という中平が3位に入賞した。
20歳の大竹直生が初日に快走したJN3クラスは、その大竹がこの日オープニングとなるSS5で総合6番手に食い込むクラスベストタイムをマーク。2番手の鈴木尚/山岸典将(スバルBRZ)との差を20.3秒差に広げた。その後の大竹は後続とのタイム差を見ながらペースをコントロール。マージンをしっかりと使い、20歳9カ月という若さで全日本初優勝を飾った。
「今日は無理をしないで最後まで走り切ろうということが目標だったんですけど、最後はペースを落としすぎてしまいました。ペースコントロールは難しいですね。20歳になってから初優勝なので、本当にうれしいです」と笑顔をみせる大竹。全日本ラリー選手権での最年少クラス優勝記録を更新した。2位にはスバルBRZの鈴木尚/山岸典将、3位に曽根崇仁/竹原静香(トヨタ86)が入った。
JN4クラスは、初日の最終SSでサスペンショントラブルに見舞われ、トップの座を明け渡した西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ)が快走。SS5でトップの座を取り戻すと、その後は一度もトップの座を譲ることなく最後まで走り切り、今季2勝目を飾った。
「初日にサスペンションが折れた時にはどうなるかと思いましたが、しっかりと修復してくれたサービスの皆さんのおかげです。今シーズンはこのまま突っ走りたいですね」と、タイトル獲りにも意欲をみせた。2位には、「初日が悪すぎました。今日はガンガン攻めてます。まだまだ行けます」とペースを上げた鮫島大湖/船木佐知子(スズキ・スイフトスポーツ)が最終SSで「クルマのセッティングができていないので、2日目はクルマが耐え切れない状態になってきた」という岡田孝一/河本拓哉(スズキ・スイフトスポーツ)を捉え入賞している。
初日に天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツ)が独走態勢となったJN5クラスは、「完全なドライ路面のターマックを走るのは久々。いつもであれば僕たちが走る時は路面に泥とかが乗っていることが多いんですが、今回はタイヤに攻撃性の強い路面コンディションとなっているので、タイヤを温存させながらペース配分して走っています」と、しっかりとペース配分しながら走り切った天野が今季初優勝を獲得。2位には「トップ(天野)と3位(渡部哲成)との差が大きいので、無理をしないでポジションキープに徹しました。個人的には昨年リタイアが多かったので、やっと梅雨が明けたような気持ちですね」という小川剛/梶山剛(ホンダ・フィット)が入賞した。
JN6クラスは、「今年はしっかりと成績を残すことを目標に戦っています。2ループ目はペースコントロールしたつもりでしたが、かなり追い上げられました」という初日のトップを奪った吉原將大/佐野元秀(トヨタ・ヤリスCVT)が逃げ切り2連勝。2位には「自分的には一生懸命走ったつもりでしたが、タイムが出ないのはクルマの問題なのかもしれません。タイム的には昨年と遜色ないタイムが出ているので、ヤリスが速いということなんでしょうね……」という明治慎太郎/立久井大輝(トヨタ・ヴィッツCVT)が入賞。3位には2日間合わせて2本のSSでベストタイムを奪った水原亜利沙/美野友紀(トヨタ・ヤリスCVT)が入賞した。
ツール・ド・九州 2021 in 唐津 最終結果
1.福永修/斎田美早子(シュコダ・ファビアR5) 54:12.4
2.柳澤宏至/保井隆宏(シュコダ・ファビアR5) +3.0
3.奴田原文雄/東駿吾(トヨタGRヤリス) +3.1
4.勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス) +12.4
5.眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリス) +1:59.7
6.石井宏尚/竹下紀子(トヨタ・レクサスRC F) +2:18.7
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9.大竹直生/藤田めぐみ(トヨタ86) +2:37.5
14.西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ) +3:55.0
16.天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツ) +3:58.9
31.吉原將大/佐野元秀(トヨタ・ヤリスCVT) +7:52.2