開催中のWRC第3戦クロアチアラリーは、今季からWRカー勢にタイヤを供給するピレリが初めて迎える純粋なターマックラリーだ。
クロアチア自体、WRC戦が開催されるのは今回が初めて。ラリーモンテカルロ、アークティック・ラリーフィンランドと開幕からウインターコンディションが2戦続いたWRC。首都ザグレブを拠点とする多彩な舗装路が待つこの第3戦でも、ピレリはWRカー勢にP Zeroタイヤを単独供給する。
ピレリがクロアチアで供給するタイヤは次のとおり
P Zero RA:ピレリのターマックタイヤは、クロアチアやそのほかのターマックラリーでも2種類のコンパウンドを用意する。今季初めて投入するRA Hハードコンパウンドタイヤは、ロングステージや気温が高いコンディションに対応するために設計されたもの。RA Sソフトコンパウンドは、すでにラリーモンテカルロでも使用されており、気温が低かったりスリッパリーなコンディションでの使用を意図したものだ。
Cinturato RWB:ターマックでの超ウエットコンディションのために用意されたレインタイヤで、水はけの効率が高くハイドロプレーニングの発生を抑えるための、独自のトレッドパターンとなっている。
テレンツィオ・テストーニ(ピレリ・ラリーアクティビティマネージャー)
「ターマックでのテストは、2021年用のP Zero RAのテストプログラムの鍵となる部分なので、今季のWRCターマック3戦、それぞれの路面に対して好パフォーマンスを発揮する自信を持っている。最新版の舗装用タイヤは、ソフトとハード、いずれのコンパウンドも、F1を含むほかのモータースポーツのトップレベルでの活動で我々が学んだ教訓が活かされている。
クロアチアは誰にとっても新しい冒険となるので、どのようになるのかハッキリとした予想を立てることは難しい。ステージ自体もかなり多彩だし、天気に関しても同様だ。しかし、テストでのドライバーからのフィードバックは非常にポジティブなので、クロアチアでの週末を楽しみにしている。イタリア拠点の我々だが、クロアチアラリーの本拠地ザグレブは、WRCのイタリア・サルディニアよりも我々の拠点から近く、クロアチアは自分たちにとってシリーズの中でも第2のホームイベントも同然だ!」
ピレリは、このクロアチアラリーに2700本近くのタイヤを持ち込んでおり、うちWRカーに使用されるのはおよそ700本。各WRCドライバーがラリー中に使用できる本数は24本までとなっており、それとは別にシェイクダウン用に4本が用意される。
各マシンに用意されるタイヤの種類と本数は次の通り。
P Zero RA Hard:28本
P Zero RA Soft:20本
Cinturato RWB:8本
ピレリは、WRC2にエントリーする7台、WRC3にエントリーする15台を含め、このイベントに参戦するそのほかの4WDマシンに1700本を供給する。2018年からピレリがタイヤを供給しているジュニアWRCは、このクロアチアが開幕戦となり、8人の将来有望な若手がフォード・フィエスタ・ラリー4のワンメイクシリーズに挑む。この部門に用意される合計本数は300本。
WRC初開催でイベントの情報や知識が少ないクロアチアラリーでは、適切なタイヤチョイスを判断するのがさらに難しくなり。さらに路面のタイプも多彩で、スムーズで高速、リズミカルな路面から、摩耗が激しくテクニカルでナローな道と幅広い。天候も戦況に大きな影響を与える可能性が高い。
主催者によれば、このラリーでは6種類のターマック路面が登場するといい、いずれもグリップレベルが異なる。この要素も、タイヤやドライバーにとって過酷なものになるだろう。
セバスチャン・オジエは「ラリー前に動画を観た限りでは、クロアチアの道はかなりチャレンジングで、場所によっては少しダーティでナローかもしれない。様々なドラマが起きるだろうと確信しているよ」