5月22日(土)〜23日(日)、京都府・京丹後市を拠点に開催された全日本ラリー選手権第5戦「RALLY丹後2021」において、TOYOTA GAZOO Racingの勝田範彦/木村裕介が2位、眞貝知志/安藤裕一が6位でそれぞれ完走を果たし、勝田/木村組がチーム加入後初の表彰台を獲得した。勝田は初日のSS1、SS2でR5車両を上まわるスピードを披露し、GRヤリスのポテンシャルを示している。
(以下チームリリース)
モータースポーツの厳しい環境の下で「人を鍛え、クルマを鍛える」ことを目的に、2015年から全日本ラリー選手権に参戦するTOYOTA GAZOO Racing(以下、TGR)。2021年からはGRヤリスをベースとする「GR YARIS GR4 Rally」を投入し、最上位カテゴリーであるJN1クラスへの挑戦をスタートしました。
チームは5月の第4戦久万高原ラリーが延期されたことを受けて、GR YARIS GR4 Rallyのテストを実施。今回の第5戦丹後では、テストやこれまでの実戦データから得た知見をもとに、デファレンシャルや足まわりの仕様に改良を施した新仕様のGR YARIS GR4 Rallyを勝田選手がドライブしました。
ラリー初日は晴れの予報となっていたものの、SS1のスタート直前に小雨が降り、路面は乾いた部分と濡れた部分が混在する難しいコンディションに。ここで勝田選手は巧みなドライビングでベストタイムを記録。SS2も連続して制し、ラリー序盤でJN1クラスの首位を走行します。
その後、勝田選手は2番手に順位を落としますが、ラリー2日目のSS10で大会通算3度目となるベストタイムを獲得する速さを見せ、2位でフィニッシュ。チームはGR YARIS GR4 Rallyで初の表彰台を獲得しました。眞貝選手も着実なペースで6位完走。今後につながる様々なデータをチームにもたらしました。
チームは従来、スポット参加枠として社内各部署の社員をメカニックとして受け入れてきており、今回は初めて女性社員がメカニックとして参加しました。モータースポーツにおける人づくりの活動においても、多様な人材がいきいきと活躍できる環境を整備しています。
■豊岡悟志(チーム監督)
今大会は緊急事態宣言化の開催で、全員に抗原検査をして、宿泊や道中や食事でも密にならない様に感染予防を徹底して参加させていただきました。ラリーではデータを比較すべく、勝田選手と眞貝選手で異なる仕様で走ってもらいました。改めて勝田選手の並外れた速さや、眞貝選手の繊細なフィードバックなど、クルマと向き合ってくれる4人のクルーには感謝です。これからもチーム一丸となり、ラリーという最高の舞台で「人とクルマを鍛える」を進化させて行きます。
■勝田範彦(ドライバー)
エンジニアやメカニックの頑張りで、GR YARIS GR4 Rallyは本当に良くなりました。集中的なテストも行っていただき実戦に対してのノウハウも増えました。もちろんテストと本番はまったく違います。テストでノウハウを生かし、更に実戦で鍛えることが、このマシンにとって本当に有効だということでしょう。今回のラリーを終えて、良かった部分を土台としてさらに変化をつけていけば、クルマはもっと速くなるはずです。次のモントレーは各SSの距離が長いので、ひとつひとつ課題をクリアにして挑みたいです。
■眞貝知志(ドライバー)
最終日にはタイムアップもできましたし、とても前向きなイメージを得ることができました。チームにはセクションごとに、エンジンやサスペンション、ブレーキ、タイヤなど、様々なことをフィードバックしていますし、逆にチームからは、即座に分析したデータを基に、私がこのクルマをより速く走らせるためにはどうするべきかというアドバイスを、次のセクションのSSが始まる前に頂けました。こうした連携もあって、チームと一緒に戦っているという実感がありますね。今後も一丸となって成長を続けていきたいと思います。
■宮本昌司(チーフメカニック)
今季はメカニック全体として経験値が浅いのですが、徐々にスキルが上がり、できることも増えてきました。各車両の担当間で議論や交流が活発化していますし、こうした点は2台体制の大きな長所だと思います。今後はシーズン後半のグラベル(未舗装路)ラリーに向けた準備も進めますが、まずはターマック(舗装路)ラリーのひと区切りとなる次戦モントレーで、これまで得たものをしっかり反映させて好結果を目指します。
■行木宏(エンジニアサブリーダー)
前戦 唐津で得たデータを分析し、丹後に向けたショックアブソーバーやデファレンシャルなど、多くのセッティングを見直してきました。今回は勝田選手/木村選手に良いタイムを記録して頂きましたし、眞貝選手/安藤選手にはモントレーに向けて貴重なフィードバックを頂けました。次戦モントレー及びグラベル初戦の次々戦カムイに向けて準備を進めて行くとともに、全日本ラリーの実戦でクルマを鍛えることで得られた知見を、今後の市販車両にも活かしたいと考えています。