今週開催されるWRCサファリラリー・ケニア(グラベル)、Mスポーツ・フォードはガス・グリーンスミスとアドリアン・フルモーをフォード・フィエスタWRCのドライバーに起用する。
ほかのライバルチームと同様、Mスポーツ・フォードの若手ドライバーたちにとって、このレジェンドグラベルイベントへの参戦は初めての体験。Mスポーツとしては、1999年にコリン・マクレーがフォード・フォーカスにとって初めての勝利をもたらし、その3年後の2002年にもサファリを制した。マクレーがこのサバイバルラリーを慎重なアプローチで攻めたことに加え、コ・ドライバーのニッキー・グリストのベテランらしい仕事も勝利の鍵になった。さらに、メカニックの力も重要な鍵となるのは、今回のサファリでも同じことが言える。
規定でヨーロッパ外でのテストが禁止されているため、チームのエンジニアは、今季から採用されているピレリタイヤでの初グラベルラリーとなったポルトガル、サルディニアでのデータをプリペアに活用した。
一方、新型コロナウイルスの影響によるロジスティクスの混乱により、予定されていたテーム・スニネンのWRC2参戦はキャンセルとなり、Mスポーツ・フォードからはマルティン・プロコップのみがWRC2に参戦する。
前戦サルディニアでフォード・フィエスタ・ラリー2 MkIIをドライブしたフルモーは、初参戦のサファリで再びフィエスタWRCを駆る。ワールドラリーカーで出場したクロアチア、ポルトガルで見事なパフォーマンスを披露したフルモーは、サファリではこのマシンでのグラベル経験をさらに高めることに努める。
「WRCが再びケニアで開催されるのはとてもいいことだ」とフルモー。
「本当にビッグなチャレンジになると思うし、過去の内容を見てもどれだけ難しいラリーかは分かる。今回は以前よりも距離は短くなるが、それでもとてもハードだし、自分たちが知っているラリーとはまったく違うものになるだろう。動画は見たことがあるし、フロントにバーを追加したフォード・フォーカスは素晴らしかったよ。今回のマシンにはこうした保護パーツはないが、ステージでキリンや象を見られると思うので、本当に楽しみだし、十分に注意しなくちゃね!
主催者から配信された動画を観たが、本当にラフでほとんど止まるような速度で走らなければならないような場所もあった。こういうところでは抑えて、ここでは攻められる、と賢明に判断できなくてはならない。WRCとして開催された最後のサファリで勝ったのが、Mスポーツのフォーカスを駆ったコリン・マクレーだったと聞いて、うれしかった。同じリザルトを収めるのはすごく難しいことだが、このイベントではいろいろなことが起こるから、どうなるかは分からない。でも、自分は謙虚に攻めていきたい。このラリーに参戦できることはとても光栄だし、この機会を与えてくれたMスポーツに感謝したい。ケニアに行けるだけでも最高なのに、WRカーで参戦できるのは夢のよう。ラリーだけでなく、ケニアの人々や景観に出会えることが待ち切れない」
フルモーはプライベートでモロッコを訪れた経験があるが、グリーンスミスはアフリカ大陸に上陸するのは初めてだ。グリーンスミスのコ・ドライバーズシートには、今回からクリス・パターソンが復帰する。
「コリン・マクレーがMスポーツでサファリを勝った時、自分は5歳だったし、その時はラリーというものを知らなかった」とグリーンスミス。
「でも、彼が果たしたことは間違いなく素晴らしいことだし、Mスポーツのメインホールにはコリンがサファリで勝ったフォーカスが飾ってあるので、自分がMスポーツに行く時には、いつもこのマシンの前を通る。マルコム(ウィルソン、マネージングディレクター)やチームにとって大切な思い出であることは明らかだし、また好リザルトを収められたら最高だね。
マルコムには、サファリについてたくさん質問をしたが、当時はオープンロードでの戦いだったり、ステージがとてつも長く長かったりと、まったく違う内容だ。今は違うチャレンジになるし、選手権で参戦した経験のあるドライバーはいないので、みんなにとって新しい経験になる。自分にとっても、未知への冒険だ。アフリカ自体、行くのが初めてだからね。でも、主催者から配信された動画は何度も観た。通常、こうした動画は、ペースノートを作る時に役立てるようステージを徹底的に観るのだが、あまりにも漠然とした道なのでいつもとは違う準備の仕方をしている。でも、現地に入ったらもっと明確にしていきたい。
ここまで観てきた感じでは、サファリラリーは今まで自分が参戦したどのイベントとも比較できないと思う。でも、モンテカルロやトルコでWRC2優勝をした時のように、コンディションに合わせて必要なドライビングができることを自分は見せてきている。クロアチア以来、確実に前進している手応えがあるんだ。今回はクリスが復帰してくれるので、彼の知識も支えになるだろう。今季、ここからの自分の目標は、安定してトップ5に入り、自分のペースを上げていくこと。それが不可能である理由はどこにもないよ」