全日本ラリーカムイ:スバルの鎌田卓麻が競技初日をトップで終える – RALLYPLUS.NET ラリープラス
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全日本ラリーカムイ:スバルの鎌田卓麻が競技初日をトップで終える

©RALLY PLUS / JN1クラス首位の鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI)

7月3日(土)、全日本ラリー選手権第7戦2021 ARKラリー・カムイの競技初日が行われ、スバルWRX STIの鎌田卓麻/松本優一が首位に立った。2.4秒差の2番手には初グラベルのトヨタGRヤリスを駆る勝田範彦/木村裕介、6.4秒差の3番手にはスバルWRX STIの新井敏弘/田中直哉というトップ3になっている。

ラリーは北海道虻田郡ニセコ町を拠点として、初日に6SS、2日目に6SSの計12SSで争われる。今シーズン初のグラベルラリーであり、2019年以来の有観客開催となった。主催者は各日100人限定でSSに観戦エリアを設置、ラリーファンは久しぶりの観戦を楽しんだ。

競技初日は3つのステージを2度ずつ走行する6SS。SS総距離は46.66kmでの戦いとなる。なかでもこの日最長のSS3/6のORCHID SHORT(11.91km)は草が生い茂り、走行ラインが限られてしまうなど、スタート前に各選手が難しいステージとして挙げていたSS。コースは前日の雨で湿った部分はあるものの、おおむねドライと言っていい状況だ。

JN1クラス首位の鎌田卓麻(スバルWRX STI) / Naoki Kobayashi


JN1クラスは序盤からスバル勢のふたりが速さを見せた。SS1を鎌田、SS2とSS3を新井が獲る展開となり、昼のサービスを迎えた時点では新井がトップ。鎌田が1.4秒差、GRヤリスの勝田が7.1秒差の3番手で続く。2ループ目は、SS4とSS5を勝田が連取し2番手に浮上。新井はインタークーラーウォータースプレーの不調が出て順位を落とし、代わって鎌田が首位の座につくこととなった。また、序盤は様子見と語っていた福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビアR5)は4番手、同じくファビアR5で初のグラベルラリーに挑む柳澤宏至/保井隆宏は5番手、SS1でコースオフを喫しタイムロスした眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリス)が6番手につけて初日を終えた。なお、奴田原文雄/東駿吾(GRヤリス)はSS5までを走り切ったものの、ギヤボックストラブルでレグリタイアを喫している。

トップの鎌田は「最初の3SSはうまくいかず色々とセッティングを変えて走っていましたが、今日最後のSS6は思ったとおりに走ることができました。でも、コンマ差なので接戦ですね。明日は先頭走者になりますが、クルマも調子が良いですし、思ったように走らせられているので、このままのペースで行きたいと思います」と笑顔で初日を振り返った。2番手の勝田は「最初はクルマがどんな動きをするのか手探りの部分もありましたが、2ループ目は動きが分かってきました。フィーリングは悪くありません。明日は最初のループは無理せず、2ループ目にプッシュしたいですね」とコメント。GRヤリスでのグラベル初実戦に手応えを感じたようだ。3番手に後退した新井は、「かなり真剣に攻めていますが、午後はインタークーラーのウォータースプレーの不具合が出てしまいました。ハンドリングはまったく問題ないので、トラブルをしっかり直して明日に挑みたいです」と、気持ちを切り替えて最終日に臨む。

JN2クラス首位のヘイキ・コバライネン/北川紗衣(トヨタGT86 CS-R3) / RALLY PLUS


JN2クラスはトヨタGT86 CS-R3のヘイキ・コバライネン/北川紗衣がトップ、1.3秒差でホンダ・シビック・タイプRユーロの上原淳/漆戸あゆみが2番手につける展開。3番手には少し遅れてトヨタGT86 CS-R3の中平勝也/島津雅彦。1ループ目は上原が大きくリードを築いていたが、2ループ目でコバライネンが大きくペースアップ。この日最後のSS6で上原をとらえ、1.3秒という僅差ながらJN2クラストップに浮上した。
コバライネンは「予想していたとおり、グラベルではFF車が速いね。轍が掘れているようなところは、僕のようなFRマシンはトラクションが掛からなくて厳しい。それでも2ループ目には路面もクリーンになって、ドライブもずいぶん楽になったよ。プッシュして上原選手をキャッチすることができた。でも、明日は彼もこのままでは済まないはずだ。曲がりくねった低速ステージでは、すごく手強かった。明日は低速ステージが中心だし、僕らにとっては難しい状況になるかもしれないね」と語り、実質的に2位が現実的なラインではないかとも言及した。上原は「予定どおり、クネクネした道では勝つことができますが、ハイスピードなSSでは負けてしまいますね。明日はヘイキ選手の後ろで走れるのでOKです。1周目は勝てると思うんですが、ポイントは2周目ですね」と語っている。

JN3クラス首位の曽根崇仁/竹原静香(トヨタ86) / RALLY PLUS


曽根崇仁/竹原静香(トヨタ86)が首位を走るJN3クラス。2番手には大竹直生/藤田めぐみ(トヨタ86)、3番手に山口清司/山本磨美(トヨタ86)という順位となった。ラリーは序盤から曽根がベストタイムを連発し、この日の6SSすべてを制している。とはいえ曽根も順風満帆だったわけではなく、SS1ではコースオフを喫し、その影響かインカムが聞こえにくくなるトラブルも発生。昼のサービスで予備のシステムに交換して事なきを得、リズムをつかめず悩む大竹を23.7秒引き離して2日目に臨む。久々のグラベルラリー参戦となった山口は後半のセクションでエンジン不調に見舞われ、曽根から1分以上の遅れを喫してしまっている。
トップの曽根は「SS1で最初の高速コーナーでコースオフしてしまいましたが、戻ることができてラッキーでした。午後は道が掘れていたところもありましたが、全体的に楽しく走れました。明日のロングステージは好きなコースなので、大竹選手のペースを見ながら、しっかり判断したいと思っています」と、初日を振り返った。2番手につける大竹は「前半は林道の走り方が探り探りになってしまいました。後半は走っているフィーリングは悪くなかったのですが、ペースが作れずどうしたら良いのか悩んでいます」とコメントした。

JN4クラス首位の香川秀樹/松浦俊朗(ホンダ・シビック・タイプRユーロ) / Jun Uruno


JN4クラスは、スズキ・スイフトスポーツ勢と真っ向勝負を繰り広げるホンダ・シビック・タイプRユーロの香川秀樹/松浦俊朗がトップ。30.6秒離れた2番手には須藤浩志/新井正和(スズキ・スイフトスポーツ)がつけた。西川真太郎/本橋貴司(スズキ・スイフトスポーツ)は昼のサービスに戻った時点で3番手につけていたが、SS5で岡田孝一/河本拓哉(スズキ・スイフトスポーツ)が逆転に成功。西川に対し13.9秒のリードでこの日を終えた。
トップに立つ香川だが、午後最初のSS4からマシントラブルが発生。「クラッチが切れないトラブルが出ています。FD2のシビックでもラリー北海道で同じトラブルが出たことがあって。もしかしたら熱に弱いのかもしれません。今日のサービスでやれることをやって、明日に臨みます。うまく発進さえできればというところですね」と状況を説明した。2番手の須藤は「午後はいくらかセットアップを変更してマシになりましたが、序盤はセッティングが合わず、超オーバーステアになってしまっていました。香川選手はトラブルを抱えているようですが、セッティングを探りつつ、明日も追いかけます」と落ち着いたコメントを残している。3番手の岡田はスイフトスポーツに乗り換えて初のグラベルラリー。「私にとっては初のFFターボです。午後はセッティングをガラリと変えたら、ずいぶん良くなりました。少しずつ良い方向を目指して、ドライバーも少しずつ慣れていくことですね」と語った。

JN5クラス首位の天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツGR) / RALLY PLUS


JN5クラスは天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツGR)がトップ。2番手には地元北海道の松倉拓郎/尼子祥一(マツダ・デミオ)、3番手には小川剛/梶山剛(ホンダ・フィット)という順位になっている。SS1では松倉がベストタイムをマークしたが、天野がSS2以降でベストタイムを連発する快走を披露。天野はグラベルラリーではキャリパーサイズの関係で、GRヤリスRSではなくヴィッツGRで出場する。
トップの天野は、「ちょっと失敗もありましたが、楽しく走れています。明日は同じペースで行くつもりですが、距離も長いですし、選手権を考えて2位までに入ればよいという気持ちでいくつもりです。あまり無理をせず、とにかくリタイアしないように頑張ります」と、笑顔で初日を振り返った。26秒差で2番手につける松倉は、「SS1ではベストを獲得できましたが、SS5では少し落ちかけたり、取りこぼしがありましたね。クルマは悪くないですし、ドライバー側の精度を上げるしかないので、明日も頑張ります」とのこと。3番手の小川は「前後の差はありますが、クルマの調子が良いので思い通りに走れています。本州にはないような高速コーナーが多く、思い切って踏めないとタイムが出ないですね。明日もあるので、チャレンジしつつポジションを守りながら走りたいです」と初日を振り返った。

JN6クラス首位の吉原將大/石田裕一(トヨタ・ヤリスCVT) / RALLY PLUS


今回、コ・ドライバーに石田裕一を迎えた吉原將大(トヨタ・ヤリスCVT)がリードを築くJN6クラス。2番手には水原亜利沙/竹下紀子(トヨタ・ヤリスCVT)、3番手に海老原孝敬/蔭山恵(トヨタ・ヴィッツ)というオーダーになっている。目下4連勝中、今回がヤリスでのグラベル初参戦という吉原は、1周目の3SSを終えた段階でふたつのベストタイムをマーク。後に続く水原はSS2でベストタイムを刻み、2.8秒という接戦を展開していた。午後の2ループ目は吉原がペースアップし、最終的にその差を16.4秒にまで拡大してみせた。
トップの吉原は「ちょっとずつこのクルマでの走り方も分かってきました。今回コンビを組んだ石田選手からは、ペースノートについて本当に勉強させてもらっています」とコメント。2番手の水原は「クルマは事前テストで乗りやすくなったので、あとは自分がどう合わせられるかです。高速コーナーで踏み切れていないので、そこが課題です。今回はギャラリーの皆さんが入っていますが、やっぱりテンションも上がりますね」と語っている。3番手の海老原は、今回アクアからヴィッツにスイッチしての参戦。「ぶっつけ本番なので置いてかれてしまいました。でもセッティングを変えて少し良くなった部分もあります。道はすごく走りやすいですがとにかく滑るので、そこは注意したいですね」

競技2日目はSS7〜12の6SS、SS走行距離は62.18km。初日よりもSS走行距離が長く、大会最長SSのSS9/12のSCHUNK(15.23km)は路面も多様に変化するステージ。ここが最大の勝負どころとなる。

2021 ARK ラリー・カムイ レグ1終了時結果
1.鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI) 34:20.4
2.勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス) +2.4
3.新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI) +6.4
4.福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビアR5) +15.3
5.柳澤宏至/保井隆宏(シュコダ・ファビアR5) +49.3
6.眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリス) +1:42.5
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8.ヘイキ・コバライネン/北川紗衣(トヨタGT86 CS-R3) +2:21.9
15.天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツGR) +3:31.4
16.曽根崇仁/竹原静香(トヨタ86) +3:32.3
19.香川秀樹/松浦俊朗(ホンダ・シビック・タイプRユーロ) +4:14.1
30.吉原將大/石田裕一(トヨタ・ヤリスCVT) +7:31.9



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