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全日本ラリーカムイ:勝田範彦/木村裕介のGRヤリスが接戦を制し今季初勝利

©Jun Uruno / JN1クラス優勝の勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス)

北海道虻田郡ニセコ町を拠点として開催された全日本ラリー選手権第7戦ARKラリー・カムイは、7月4日にすべての競技を終了し、TOYOTA GAZOO Racingから参戦する勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス)が今シーズン初優勝を飾った。2位にはスバルWRX STIの新井敏弘/田中直哉、3位には同じくスバルWRX STIの鎌田卓麻/松本優一が入った。

ラリー最終日は、競技2日目はSS7〜12の6SS、SS走行距離は62.18km。3SSを2度ずつ走行する構成となっており、なかでも大会最長SSのSS9/12のSCHUNK(15.23km)は路面も多様に変化するステージ。ここが最大の勝負どころとなる。ラリーは朝6時に先頭走者がサービスイン。15分間の整備を行ってステージへと向かっていった。

上位3台が6.4秒の中に接近するJN1クラスは、前日2番手の勝田と3番手の新井が一歩も引かぬ好バトルを展開。トップを獲り合う接戦の末に、0.7秒という僅差で勝田が今シーズン初優勝を決めた。勝田はこの日のオープニングステージであるSS7でベストタイムをマークして首位に浮上。続くSS8、SS9では前日のトラブルを解消した新井が一番時計をたたき出し、0.3秒という僅差ながら総合トップに躍り出る。先頭走者の鎌田は路面の浮き砂利に足をとられ、首位新井の9.3秒差で3番手となった。昼のサービスを挟んだSS10では、新井と勝田が同タイムをマーク。続くSS11では、勝田が新井に0.8秒差をつける渾身のベストタイムで首位に立った。オーバーオールでの差はわずかに0.5秒。ふたりの決着は最終SSに持ち越されることとなった。そして最終SSは、勝田が11分57秒6のベストタイム、追う新井は11分57秒8。この結果、勝田が0.7秒差でのウイナーとなった。勝田にとってはトヨタ移籍後初勝利、GRヤリスとしては初のJN1クラス勝利である。長年スバルでともに戦い、互いに手の内を知り尽くしたふたりの戦いは今後も続きそうだ。3位には鎌田、4位にはGRヤリスを駆る眞貝知志/安藤裕一が入った。

JN1クラス優勝の勝田範彦(トヨタGRヤリス) / Naoki Kobayashi


トップでサービスに戻ってきた勝田は、「まずは、ここまでの車両を用意してくれたエンジニアとメカニックに感謝したいです。最終日は、新井選手と毎ステージ、コンマ差の接戦が続き、お互いが限界まで攻めた結果、なんとか勝ち切ることができました」と、安堵の笑顔。2位となった新井も「あれだけ攻めて負けたなら、仕方がない」とコメント。「最終日はトラブルもありませんでしたし、今回は勝田選手が速かったですね。初グラベルでこのスピードを見せたことに、あらためてGRヤリスの潜在能力を感じました。WRX STIもまだ伸びしろがあると思うので、次から連勝できるようにしたいですね」と、新井は諦めていない。3位の鎌田は「最後は駆動系にトラブルが出てしまい、スピンもあって遅れてしまいました。それでも2戦連続で3位に入ることができましたし、今後に向けて準備していきたいですね」と、今後への意気込みを語った。

JN2クラス優勝のヘイキ・コバライネン/北川紗衣(トヨタGT86 CS-R3) / RALLY PLUS


ヘイキ・コバライネン/北川紗衣(トヨタGT86 CS-R3)と上原淳/漆戸あゆみ(ホンダ・シビック・タイプRユーロ)がトップを争うJN2クラスは、上原が最初の3SSすべてでベストタイムをマーク。コバライネンとの差を25.7秒まで拡大したものの、SS10でなんとコースアウトを喫し、リタイア。これでコバライネンが再びトップに立ち、今シーズン4勝目を飾った。上原のリタイアにより3番手を走っていた中平勝也/島津雅彦(トヨタGT86 CS-R3)が2番手に浮上したものの、中平もSS12でリタイアを喫し、中村英一/大矢啓太(トヨタ・ヴィッツGRMN)が2位を得た。

ターマックに続きグラベルでも勝利を得たコバライネンは「上原選手がコースアウトしてしまったことは残念だ。素晴らしい速さを見せていたからね。僕自身は、グリップレベルの低いグラベルでも成長も実感できた。全部には参戦できないから、選手権を考えるとすごく大きな勝利だよ」とコメント。次戦の横手とラリー北海道はSUPER GT出場のためスキップの予定だ。2位の中村は「久しぶりのグラベルで、SS1の前半でコースオフしてしまいましたが、そこからは慎重に走り切りました。もう少しクルマに慣れてスムーズに走るのが課題ですね」とラリーを振り返った。

JN3クラス優勝の大竹直生/藤田めぐみ(トヨタ86) / Jun Uruno


トヨタ86同士のバトルとなったJN3クラスは、2番手の大竹直生/藤田めぐみが首位の曽根崇仁/竹原静香を追走する展開に。しかし、1ループ目最後のSS9までを終えたところで大竹にミッショントラブルが発生。チームは20分間のサービスでギヤボックスを交換し、大竹を戦線に復帰させた。一方、首位の曽根は2ループ目最初のSS10でコースアウト、リタイアを余儀なくされた。これで大竹が今シーズン2勝目を獲得。2位には山口清司/山本磨美、3位に前戦勝者の長﨑雅志/秋田典昭という順位になった。

大竹は「諦めずにプッシュしていたのが良かったですね。サービスでクルマを直してくれたメカニックの皆さんに感謝です。ようやくグラベルの感覚がつかめたので、今後は今日のペースを最初から発揮できるように頑張ります」と、笑顔を見せた。2位の山口は初日のエンジントラブルを克服しての2位。「砂利の浮いているところでクルマを上手く動かせず、ラリーを走り切ってようやく入口にたったような感じですね」とコメント。横手と北海道はスキップするという。3位の長﨑は、「ターマックラリーからの切り替えが全然できておらず、上位のリタイアに助けられたかたちです。次戦に向けてドライビングをアジャストしていきたいですね」と意気込みを語っている。

JN4クラス優勝の香川秀樹/松浦俊朗(ホンダ・シビック・タイプRユーロ) / Jun Uruno


JN4クラスは、初日トップに立った香川秀樹/松浦俊朗(ホンダ・シビック・タイプRユーロ)が、この日の6SS中4SSでベストタイムをマークし、トップの座を譲ることなく快走を見せて今シーズン初勝利を挙げた。2位には須藤浩志/新井正和(スズキ・スイフトスポーツ)、3位にはスイフトで初グラベルの岡田孝一/河本拓哉が入っている。

2017年以来となる全日本選手権での勝利を飾った香川は「久しぶりの優勝です。ペース的には良かったですが、途中でクラッチが切れなくなるトラブルが出てしまいました。サービスが頑張ってくれて、チームの力でフィニッシュできました。グラベルは好きですし、クルマを見直して、次戦以降も少しでも良い順位を得られるように頑張ります」と、笑顔を見せた。2位の須藤は「この週末、ずっとセッティングが決まりませんでしたが、最後にようやく良くなったかなと。次は横手に出て、その成績次第で今後を考えるつもりです」と、ラリーを振り返った。3位の岡田は「徐々にクルマの動きをつかめているので、ここから自分流にセッティングを詰める感じですね。午後は無難にテストを兼ねて走りました。今後のラリーにつなげられればと思います」と語っている。

JN5クラス優勝の天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツGR) / Jun Uruno


JN5クラスは、初日をトップでまとめた天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツGR)が首位をキープ。初日に稼いだマージンを活かしながらリードを保ち続けて今シーズン2勝目を獲得した。2位にはレグポイントを狙い4SSでベストタイムを刻んだ地元北海道の松倉拓郎/尼子祥一(マツダ・デミオ)、3位には小川剛/梶山剛(ホンダ・フィット)が入っている。

トップの天野は「初日のマージンをうまく使えました。ちょっと遊びすぎてクルマをぶつけてしまったのは反省点ですが、ラリー全体を振り返って、自分をうまくマネージメントできたと思います」と、手応えを語った。2位松倉は、「アタックをかけて、前半3連続でベストを獲得できました。なんとかレグポイントを獲得できて良かったです」とのこと。次戦横手にも出走予定だ。3位の小川は「難しいコースでしたが楽しく走れました。タイムも改善できたので、ラリー北海道が楽しみです」と語った。

JN6クラス優勝の吉原將大/石田裕一(トヨタ・ヤリスCVT) / Jun Uruno


吉原將大/石田裕一(トヨタ・ヤリスCVT)がリードしているJN6クラスは、この日も吉原と2番手の水原亜利沙/竹下紀子(トヨタ・ヤリスCVT)がSSベストを獲り合う展開となったが、吉原が6SS中4SSでベストをマークし、リードを拡大して全日本デビュー以来5連勝を達成した。2位は水原、3位は海老原孝敬/蔭山恵(トヨタ・ヴィッツ)が入っている。

吉原は「最初の2SSでタイム差をつけることができたので、ペースをある程度コントロールしながらミスしないように心がけて走りました。今回、石田選手に色々と勉強させていただいたので、それをしっかり今後に活かしていきたいと思います」と語った。2位の水原は「ちょっと前半で危ないシーンが多かったので、後半抑えすぎてしまいました。最後のSS12は気合を入れて走ったら、タイムアップをすることができました。横手につなげられるよう頑張ります」と、ラリーを振り返った。3位の海老原は「初めてデフの入ったクルマに乗ったので、それに対応するのが難しかったんですが、慣れるとグラベルは走りやすいですね。最後はタイヤが厳しくなってしまって、差を広げられてしまいました」と語っている。

次戦は8月20日〜22日にかけて秋田県横手市を拠点に行われる第8戦横手ラリー2021(グラベル)。すでに公式ウェブサイト上では無観客での開催が発表されており、観客エリアの設置は行わないという。今後のグラベルラリーでも、トヨタvsスバルという図式で推移するのか、R5勢が巻き返すのか、目の離せない展開となりそうだ。

2021 ARK ラリー・カムイ レグ2終了時結果
1.勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス) 1:21:28.2
2.新井敏弘/田中直哉(スバルWRX STI) +0.7
3.鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI) +32.9
4.眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリス) +3:08.4
5.福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビアR5) +3:24.5
6.長江修平/中岡和好(三菱ランサーエボリューション) +4:40.5
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11.ヘイキ・コバライネン/北川紗衣(トヨタGT86 CS-R3) +7:11.5
12.天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツGR) +8:24.3
13.大竹直生/藤田めぐみ(トヨタ86) +8:44.8
15.香川秀樹/松浦俊朗(ホンダ・シビック・タイプRユーロ) +10:04.5
23.吉原將大/石田裕一(トヨタ・ヤリスCVT) +17:09.3



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