2019年のERCチャンピオン、英国のクリス・イングラムが、9月のWRC第9戦アクロポリス・ラリーギリシャにトク・スポーツWRTからの参戦が決定。「今季はこれから始まる」と語る。
2019年のERCで、トルコ人が所有するトク・スポーツWRTから参戦しタイトルを獲得したイングラム。2020年は新型コロナウイルスの感染流行の影響で参戦プログラムが白紙となっていたが、チームと2年間の参戦契約が合意に達し、今季はWRC3、2022年にはWRC2の7戦に参戦することが決まった。トク・スポーツWRTとの契約により、4月のWRCクロアチアから加入したベルギーのSXMコンペティションとの関係は終了する。5月のWRCポルトガルではSXMにポディウムフィニッシュを献上したが、翌サルディニアではテクニカルトラブルによりリタイアしたことで、2018年から良好な関係を築いていたドイツ拠点のトク・スポーツとの関係復活が加速した。
「自分たちがほかのチームに行くとまもなく、(トク・スポーツは)自分たちの復帰を希望した」とイングラムは独自の取材に答えている。
「今季は3つのラリーで経験を積んでいるが、自分のシーズンはこれから始まるような気分だ。アクロポリスとスペインに参戦し、来季、モンテから7戦に参戦する活動に向けてしっかり準備を積んでいく」
トクスポーツは今季のWRC2ではノルウェーのアンドレアス・ミケルセンとチリのエミリオ・フェルナンデスが駆る2台のシュコダ・ファビア・ラリー2 Evoを走らせているが、イングラムの復帰を熱望していた。
「すべてのことを軌道に戻して自信を高めたいし、ここから参戦する一戦一戦をこれまでにないほどいい形で備えて迎えて、ちゃんとした形のチャンスにしたい。クロアチアとサルディニアでは苦労したからね」
「トク・スポーツはドリームチームのようなもの。お互いにうまくやっていたし、離れていたからこそ、失っていたものに気づくことができたのかもしれない。トク・スポーツは家族的な感じで、離れるのは悲しかった。一緒にいるべき存在で、そのようなことになってはいけなかった。プライベートチームだが、ファクトリーチーム然としている。自分はトク・スポーツのドライバーとしては初めて、トルコ人でも中東出身でもなかったが、セルカン(ドル、チームオーナー)やメカニックたちと素晴らしい関係を築いていたし、これはとても大切なことだ」
格安の契約で加入したSXMを離れることについてイングラムは「来年末までトク・スポーツから参戦するチャンスが巡ってきたことは、自分にとってベストだと感じた。お互いに合意したうえでの決断だが、SXMから参戦できたこと、ポルトガルでポディウムに上がったことに感謝したい。チームのみんなの今後の活躍を祈っているよ」
イングラムは今後トク・スポーツから、今季のギリシャとスペインでWRC3選手権に参戦した後、2022年は開幕戦のモンテカルロを皮切りにWRC2選手権7戦に参戦。モンテの参戦はイングラムとコ・ドライバーのロス・ウィトックにとって初めての挑戦となる。トク・スポーツは8月のWRCベルギーをスキップしていたため、イングラムはイープルのイベントには他チームからのワンオフ参戦を勧められていたが、長期的なWRC参戦計画が進んでいたことからこの提案を断ったという。
「今後のチャンスを最大限に活かすために、これからの数戦はすべてのことをしっかり整えて来年に向けて備えていくと決めた。イープルに参戦できればとてもよかったと思うが、来年、選手権に加わるかどうかも分からなかったので、長期的なプランのためにも(ベルギーは)スキップした方がいいと考えたんだ」
(Graham Lister)