ジュニアWRCを運営するMスポーツ・ポーランドは、2022年から4WDマシンのフォード・フィエスタ・ラリー3でのシリーズ展開を行うことを発表。現在のフォーマットで2024年までの契約が合意に達した。またチャンピオンの賞典については、ラリー2マシンでラリー経験を積むほか、テストも加えられるという。ジュニアWRCはこれまで2WDマシンのワンメイクシリーズとして行われていた。2021年はMスポーツ・ポーランドが製作するフィエスタ・ラリー4が使用され、フィンランドのサミ・パヤリが史上最年少の19歳325日でタイトルを獲得している。
コスト効率の高い4WDマシンとして誕生したラリー3規定に合致するフィエスタ・ラリー3は、Mスポーツ・ポーランドがポーランドのクラクフにある施設で設計、開発を行ったマシンで、ジュニアWRCの新しい時代を象徴することになるモデル。ラリー3は、より身近で手頃な価格で4WDマシンへの最初のステップを提供することを意図してFIAが設定したカテゴリー。このフィエスタ・ラリー3を2022年のワンメイクモデルに採用することは、2001年に設立されたジュニアWRCにとって大きなステップとなる。ラリー3カテゴリーによる選手権になることで、これまでにないほど格段に低いコストで世界レベルのラリーに4WDマシンで参戦できる機会を提供することになり、ジュニアWRCをより重要な選手権にすることにもつながる。
2022年のジュニアWRCチャンピオンに贈られる賞典もアップデートされ、ここには将来のジュニアWRCチャンピオンがラリー2マシンでの貴重なイベント走行距離やテスト経験を積めることができるように、との思いが込められているという。2022年からは、最も大きな賞典には、WRCのヨーロッパ戦4戦に現場に来るだけで参戦できる「アライブ・アンド・ドライブ」体制でのプログラムのほか、各イベントの月曜日にはテストも行うことができる。また本人が追加予算を提供することができれば、FIAが合意・設定したコスト上限付きのオプションとして、月曜日のテストを含めて参戦数を2戦、追加することもできるという。
2022年FIAジュニアWRCは、世界選手権レベルで4WDマシンで戦うための最も費用対効果の高い方法となり、Mスポーツ・ポーランドが「アライブ・アンド・ドライブ」(一括でワンメイクマシン車両を準備・運営)のシステムは継続。全5戦の選手権参戦にかかる合計費用は、19万9999ユーロ(約2650万円、税抜)。
ジュニアWRCマネージャーのマチェク・ボダは「ジュニアWRCの歴史の中で、最も大きくエキサイティングな変更だ!」とアピールする。
「FIAラリーカーピラミッドとMスポーツの“ラダー・オブ・オポチュニティ”(機会のハシゴ)のおかげで、このシリーズは世界選手権レベルのラリーに手ごろな価格で4WDマシンで参戦できる恵まれた環境という立ち位置となる。これは、ラリーのトップレベルが高性能化する中で、近年、WRCに欠けていた重要な要素であり、ジュニアWRCが国際的なラリーへの入門編選手権となるための完璧な方法。我々は、ジュニアWRCのチャンピオンがWRCで活躍できるようにするため、ここ数年、タイトル獲得の特典を開拓してきた。来季からの特典にはテストやイベントが確保されているため、受賞したクルーは、参戦ラウンドに集中できるようになる」
Mスポーツのマネージングディレクター、マルコム・ウィルソンは「ジュニアWRCはMスポーツのラリー活動において非常に重要な役目を担っており、 今回の動きは、世界で活躍する若い才能を育てるという弊社のコミットメントを示すもの」と語る。
「新しいフィエスタ・ラリー3を前面に押し出したいと思っているし、ジュニアWRCはこのマシンが存分に輝きを見せる場だと考えている。クルーにとっても、WRCのステージの知識を築き始めながら、WRCのイベントがどのようなものかを学び、理解することができる。しかし、最も重要なのは、これからはクルーが4WDマシンで道の知識を得られるようになること。これは、今後のラリーキャリアに非常に役立つことになり、ラリー2マシンへの移行も格段にスムーズになることにもつながる」
「ジュニアWRCは、WRCでドライブすることを目指すすべての若手ドライバーにとって素晴らしい機会であり、国内戦レベルの2WD選手権からの次に上がるための、完璧なステップだ」