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2022年WRCには電動走行の「HEVゾーン」が登場、「HY」マークやAIカメラの導入も

©FIA / Paulo Maria / DPPI

10月15日に行われたFIAワールドモータースポーツカウンシルのミーティングでは、WRC関連の規定について、2022年カレンダーの他にも様々な案件の承認が行われた。特に2022年から最高峰クラスに導入されるラリー1規定マシンでの参戦については、ハイブリッドシステムに対応しての新しい規定要素が承認されている。

そのひとつが「HEV(Hybrid Electric Vehicle Zones、ハイブリッド電動自動車ゾーン)」。2022年以降のWRC全戦でサービスパークやセレモニアルスタートエリアの周辺に設けられるゾーンで、ラリー1マシンで参戦するクルーにはロードブックで指定されたこのHEVゾーンでは、フル電動モードでの走行が義務づけられる。新世代のラリー1マシンではフル電動モードでの走行が鍵となる要素となっており、可能な限りこの機能が頻繁に披露されるようになると見られる。

このHEVゾーンの距離は現地の状況によって様々となり、各HEVゾーンの位置と距離は、イベント主催者とWRCプロモーターの間で合意され、FIAによって批准されることになる。ロードブックの記載どおりに走行を行わなかったクルーは審査委員会に報告される規則となっており、このHEVゾーンも含まれる。しかし、テクニカルトラブルでフル電動モードを使用することができなかった場合は、クルーは指定のHEVゾーンに入る前にFIA技術委員とFIAスポーツ委員に報告しなければならない。この場合も審査委員会には状況報告が提出され、トラブルの内容に応じて可能な措置が取られる。

このラリー1マシンにはプラグイン・ハイブリッドシステムが搭載されるが、2022年からラリー1マシンは、外見上から見分けられるようにするための、新しいマークを貼ることになる。これは、現在、世界耐久選手権(WEC)が採用している方式にヒントを得たもの。来季からラリー1マシンには、白地に赤字で「HY」と書いたロゴをフロントドアパネルに貼り付けることになる。また、カーナンバーも、ラリー1マシンは黒地ではなく赤地となる。これにより、同じイベントに参加する高電圧車両と従来のエンジンを搭載した車両を、オフィシャルやファンが区別できるようになる。WECでは、創設された2012年からこうした識別を採用している。

FIA / Antonin Vincent / DPPI

一方、安全面についても新しい試みが採用され、ラリー1マシンにはAI技術を使ったセーフティカメラの装着が義務づけられる。このFIA AIセーフティカメラ(AISC)は、FIAイノベーション・ファンドが資金を全額拠出。一方で、現在プライオリティ1ドライバーのマシンで使用されている高速カメラ(HSC)は、義務づけから推奨に変更となる。

FIA / Nikos Katikis / DPPI

その他のカテゴリーについても変更が承認されている。WRC2ではパワーステージポイントが改定され、パワーステージでポイントを獲得できるのは、現在のトップ5から2022年からはトップ3のみとなる。これは、パワーステージでライブ中継に選ばれたドライバーが、ライバルに比べてスタート順が早くなると不利になることがあるため。WRC2でトップ争いをしているドライバーが同じ条件で戦っていない場合、現在の採点方法では格差が大きすぎるという意見が出ていた。

FIA / Nikos Katikis / DPPI

なお、2021年のラリージャパンが開催キャンセルになったことで、2021年のWRC2のチームズ選手権に対する参戦義務づけは除外された。今季のWRC2選手権では、チームズ選手権にヨーロッパ外一戦の参戦が義務づけされていたが、WRCサファリに参戦したWRC2チームはなく、ラリージャパンの開催がなくなったことから、このタイトル獲得要件がなくなったもの。ラリージャパンの代替として、今季のWRCは11月18〜21日にラリーモンツァ(ターマック)で最終戦を迎えることになる。



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