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インタビュー:ヘイキ・コバライネン「今後も日本のラリーで戦っていきたい」

©Naoki Kobayashi

2021年の全日本ラリー選手権でJN3クラスのチャンピオンを獲得したヘイキ・コバライネンに、最終戦の久万高原ラリーでインタビューを行った。今シーズンの振り返り、ドライビング、そして今後……。さらに、“かつてのラリーファン”としての一面も垣間見せてくれた。

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──チャンピオンおめでとうございます。今シーズンを振り返っていかがでしょうか。
全体としては上出来のシーズンだったと思う。最も重要な点は、すべてのラリーをミスなく走り切ったこと。チームもマシンも、今季はとてもコンペティティブだったと思うし、セッティングもとても良かったと思う。マシンもドライブしやすかったので、それがタイトル獲得というリザルトにつながったと思っているよ。

Jun Uruno


──先日のSUPER GTオートポリスでは大変な戦いでしたね。
ビッグチャンスだった。レースでのマシンはとても良かったしね。レース前半は戦略も完璧でマシンもすごく速かったけど、残念ながらレースの後半はすごく大変だった。オートポリスでは勝てるチャンスがあったと思うけど、今回は運がなかったね。でも、今週のもてぎではまたチャレンジしていくよ。

──今季を振り返って、良かったラリー、悪かったラリーを教えてください。
いいラリーはたくさんあった。ターマックはどれも速かったし、特に雨や湿ったコンディションで、自分たちの強みを発揮できた。ドライやツイスティなステージでは、中平(勝也)選手やほかのドライバーともっと僅差になってしまったけど、ハイランドマスターズは自分を信じられたし楽しむこともできたので、素晴らしいラリーになった。

悪かったラリーは、グラベルラリーのカムイじゃないかな。ツイスティでタイトなグラベルは、GT86にはチャレンジング。初日は良かったけど、2日目最初のループは残念な内容で、すごくタイムをロスした。たぶん23〜24秒はロスしたと思う。あれはハッピーじゃなかったし、たぶん2位かな、と考えていたけど、上原(淳)選手がミスをしてしまった。自分たちが勝てたのはラッキー。でも、将来的にはグラベルでの走りを改善しなくてはならない。特に1ループ目、ステージがスリッパリーなのは自分には難しいし、自分のドライビングはまだ少し慎重すぎるので、将来的にグラベルでの走りを改善させたいね。今後の課題はグラベルラリーと、でも、1ループ目から、もっと速く走れるようになりたい。

──今季、最も改善できた点はなんでしょうか。
ペースノートだと思う。ペースノートの作り方が良くなったことが、とても役立った。今は1ループ目から、ほぼほかのみんなと同じくらいになった。ペースノートは一番、成長できた部分。今後はもっとペースノートに情報を入れられるようにして、もっと正確に、細かい部分まで表現できるようにすれば自分の助けにもなると思っている。

──北川紗衣選手とのコンビネーションはいかがですか。
とてもいいよ。彼女は、とても重要な役割を果たしてもらっている。日本人の選手にとって、僕のノートを読むのは簡単ではないと思う。日本の選手はコーナーを数字で表すよね。でも僕は、数字は距離にしか使わないんだ。コーナーは言葉で表す。スロー、ファースト、ミディアム、フラット、イージー……まったく違うから、それに合わせるのは大変だと思う。でも、彼女は自分のノートシステムをしっかり学んでくれて、読むタイミングもピッタリだ。

それに、僕にとって重要なのは声のトーン。高速でも低速でも、同じトーンで読んでもらうのが好きだね。選手によっては高速では叫んで低速では静かに読む人もいるけど、僕には合わない。彼女は、スピードにかかわらずコンスタントに読んでくれる。ここは、自分にとって重要なところで、自分のドライビングに集中できる。とても大切なことだ。

Naoki Kobayashi


──フィンランドに住んでいた頃は、ラリーを観に行ったりしていましたか?
フィンランドでは何度もラリーに行ったよ。父がドライバーとして国内戦に出ていたからね。いつも観てはいたけど、自分自身で出ることはなかった。サイン帳を持ってるんだ。ユハ・カンクネン、コリン・マクレー、トミ・マキネン、アリ・バタネン……たくさんラリーを観たよ。でも、自分ではレーシングカートからF3、F1と、ラリーからは少し離れたけど、ずっと観ていたし、いつも興味をもってチェックしていたよ。

──子ども時代に好きだったラリードライバーは誰ですか?
マルク・アレン。アレンはいつでもマキシマムアタックだからね! 彼はいつもすごく速かったけど、ミスも多かった(笑)。大ファンだよ。

──ラリーの練習はフィンランドでもやっていたのでしょうか?
ラリーの練習はみんな日本。日本以外でラリーに出たのは2回だけなんだ。日本のナローでツイスティな道の方が、僕にとってはいい練習になると思っている。速度が高すぎないし、ペースノートが正確でないといいタイムが出せないんだ。もう日本の道の方が馴染んでいるから、フィンランドのラリーを走る方が難しいと思うよ(笑)。もしラリーフィンランドに出たら、すごく遅いだろうね(笑)。

──ヨーロッパのラリーには出てみたいですか。
そうだね、出てみたいかなとも思うけど、もっともっと練習が必要だ。今は日本での活動に専念しているし、SUPER GTではサードやトヨタからサポートを受けて、ラリーではアイセロがサポートしてくれている。だから、自分にとっては日本がいい場所だし、今後も日本のラリーで戦っていきたいと思っている。

──R3車両でチャンピオンを獲りました。次のステップが気になりますね。
R5車両は、自分にとって一番スムーズなステップアップになると思う。シーケンシャルギヤボックスや左足ブレーキの使い方など、R3ととても似ているからね。いまJN1クラスで走っているGRヤリスやスバルWRX STIはギヤボックスが違うし、マシンも少し重くなる。だから、自分はR5がいいかな。自分のスタイルとして合っていると思う。だから牧野(太宣)監督と交渉しないとね!

Naoki Kobayashi



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