フォーラムエイト・セントラルラリー2021は、11月13日(土)の競技初日を終えてトヨタGRヤリスの勝田範彦/木村裕介がトップに立っている。2番手には新井大輝/小坂典嵩(スバルWRX STI)、3番手にはシュコダ・ファビアR5の福永修/齊田美早子がつけている。
ラリー初日は愛知県を中心としたステージ構成。豊田市の額田や三河湖といったエリアのワインディングロードと、岡崎市乙川河川敷のギャラリーステージが主な舞台となる。初日はSS1〜SS7の7SS、46.59kmが予定され、61台が出走した。ラリーは13日の9時に豊田スタジアムからスタート。今大会は久々の有観客ラリーということもあり、多くのギャラリーが集まった。
R1クラスは、2021年の全日本ラリーチャンピオン、勝田はSS1から好調ぶりをみせて3連続ベストタイムをマーク。2番手につける新井もSS4、SS5で一番時計をたたき出すなど一歩も譲らない接戦を展開してみせた。午前中のSSで競技の進行が遅れたことなども影響し、主催者は14時に公式通知を発行、この日最後のSS7を安全上の理由によりキャンセルすることを明らかにした。この日最後のSSとなったSS6を制したのは勝田。一時5.3秒まで縮まっていた新井との差を7.7秒に押し戻してみせた。なお、このSSでは3番手につけていた奴田原文雄/藤田めぐみ(トヨタGRヤリス)がマシントラブルでストップ。福永が3番手に繰り上がった。
首位の勝田は「岡崎のSSは観客の方が多くてすごかったです。沿道でクルマの中から応援してくれる人もいましたね。全体的に順調だとは思いますが、ちょっと午後はタイムが伸びなかったですね。かなりプッシュしたんですけど、新井大輝選手すぐ後ろですから、明日は全力でプッシュします」と力強くコメント。2番手につける新井は、今大会のために大幅な軽量化を施したスバルWRX STIで参戦。「軽量化がすごく効いていますね。軽くなった分、セットアップの方向性も少し変える必要があるので、自分の乗りやすい方向に調整していこうと思っています。駆動系の調子が少し悪かったのですが、最終サービスでしっかり直して最終日も頑張ります。今回はギャラリーの皆さんが入っているので、ドライバーとしてはモチベーションになりますね」と振り返った。3番手の福永は「午後のセクションに向けてタイヤを変えたことで少し良くなったんですが、ベストタイムが出せないですね。最後のステージ(SS6)はランプポッドは不要かと思いましたが、ディレイが影響したこともあり必要でしたね。日が落ちてしまったので視界が厳しかったです。明日はとにかくベストを尽くせるよう、セッティングを少し変えてみるつもりです」と振り返った。
R-2クラスのトップはヘイキ・コバライネン/北川紗衣(トヨタGT86 CS-R3)が全SSでベストタイム、総合順位で4番手に食い込むスピードを見せている。クラス2番手は全日本ラリー選手権JN4クラスチャンピオンの西川真太郎(スズキ・スイフトスポーツ)。今回は廣田幸子とのコンビで出走している。クラス3番手にはスタート前からリヤの足まわりに問題を抱えながらも、須藤浩志/新井正和(スズキ・スイフトスポーツ)がつけている。
トップのコバライネンは「SS1の序盤で少しクラッシュしかけてしまったけど、ボディを擦っただけでラッキーだったね。ステージのコンディションは久万高原とはあまりにも違うラリーだから、そこは少し戸惑ったかな。久万高原はかなり荒れたターマックだけど、ここはクリーンだ。どちらかというと、ハイランドに似ている。グリップレベルは少し低いけど、大きな問題じゃないし、いいフィーリングだよ。特にハイスピードセクションが良かったね。SS6は暗くなってたし、初めてだったから、注意深く走った。ここで少しタイムロスしたけど、OKだ。明日はロングステージもあるし、午前中はスリッパリーだろうから、注意が必要だろうね」と笑顔を見せた。2番手につける西川は「出るからには優勝したいんですが、コバライネン選手が同じクラスなので。SSごとに30秒ずつ離されています(苦笑)。クルマのセッティングは完璧に決まってるので。久々にお客さんの前で走れてうれしい反面、恥ずかしい走りをしていないか心配です(笑)。とにかく今回は完走をしっかり目指します」と振り返った。3番手の須藤は「ギャラリーステージは頑張りましたが、西川君には全体的に置いていかれてしまいましたね。それでも楽しんでいます。久々にお客さんがいて盛り上がりましたね。リグループでは、選手とお客さんのコミュニケーションもできてよかったです」と語っている。
R-3クラスは大倉聡/豊田耕司(トヨタGRヤリスRS)が3SSでベストタイムをマークする力走でトップ。ラリー参戦数はまだ少ないGRヤリスRSだが、特性をつかんでスピード上げてきている。2番手には大倉とベストタイムを分け合った天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツ)。3番手はトヨタ・ヤリスCVTを駆る清水和夫/山本磨美が入っている。
大倉は「かなり攻めたのですが、けっこう危ないシーンもあったりして、なんとかクルマをぶつけずに帰ってこられました。スピンまではいかなかったんですが、タイムをロスしてしまいました。午後から路面温度が下がったことで、タイヤがかなり難しかったのですが、とりあえずまとめられたので良かったです。ギャラリーの人もたくさんいましたね。楽しんでもらえて良かったです」とコメント。今大会がヴィッツを走らせる最後のラリーと決めていたという天野は「選手権もかかっていませんし、このヴィッツは10年間使ってきたので、チームみんなで最後を飾ろうと。加速度やヨーイドンは、圧倒的にこっち(ヴィッツ)が速いですが、低μ路は(GRヤリスRSの)CVT制御が上手に働いている印象ですね。明日に向けて、もう少し足まわりをソフトして、舵のインフォメーションを出すための変更をしようと思っています」。3番手の清水は「クラス3位だけど、天野さんと大倉さんがいるので、ラリーの大先輩との差をどれくらい詰められるかですね。お客さんが入ったのは素晴らしいんですが、WRCをやる場合は交通環境が厳しいかなという印象です。マシンは問題ないですが、タイヤの使い方、ペースノートなど、やらなければならないことがたくさんあります」とこの日のラリーを振り返った。
14日(日)は5SS、36.73kmで争われる。この日は岐阜県にも足を延ばして恵那市にもステージが設けられる。秒差のトップ争いに注目が集まる。