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セントラルラリー:勝田範彦が初日の差を活かして優勝、全日本と通算で5戦負けなしの強さ

©Jun Uruno

フォーラムエイト・セントラルラリー2021は11月14日(日)、すべての競技を終了。トヨタGRヤリスの勝田範彦/木村裕介が前日のリードをさらに拡大して優勝を果たした。2位には新井大輝/小坂典嵩(スバルWRX STI)、3位にはシュコダ・ファビアR5の福永修/齊田美早子が入った。

ラリー2日目は岐阜県恵那市もステージに含む、5SS、36.73kmでの戦い。2019年のセントラルラリーと一部セクションを共有するEna City short(13.16km)、そこから南下したAsahi Kougen(3.84km)、Inabu Dam short(2.13km)を1回ずつ走り、サービスを挟んでEna City shortとAsahi Kougenを2度走行する構成となっている。最終SSのAsahi Kougenでは、SSフィニッシュ直後にポディウムが設けられるなど、WRCに似た取り組みもなされている。

R-1クラスは、前日2番手の新井が勝負どころと語っていたSS8からチャージ。続くSS9も制し2連続ベストタイムをマークして、この日のスタート時点で7.7秒あった首位勝田との差を5.7秒に削ることに成功した。一方の勝田もSS10から一番時計を重ねて、最終SSもベストタイムで締めくくり、追いすがる新井を突き放して優勝を飾った。3位は福永、4位に柳澤宏至/保井隆宏(シュコダ・ファビアR5)、5位に眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリス)というオーダーになった。

Naoki Kobayashi


勝田は「ワンミスで終わりという戦いが続いていましたが、2ループ目の恵那(SS11)が予想以上にクリーンで走りやすく、それが大きかったですね。今回、カムイから数えて5連勝を飾ることができましたが、勝てたのは僕だけの力じゃなくて、コ・ドライバーの木村選手やチーム、そして応援してくれたファンの皆さんのサポートあってのものです。ありがとうございます」とコメント。ポディウムで木村とともにGRヤリスのルーフにあがり、高々と拳を突き上げた。2位の新井は「午前中はタイヤがばっちり当たり、そのアドバンテージが大きくベストを獲れました。ギリギリで走っているのですが、まだ届かないのかって感じです。それでも今回はデータ取りを含めて、クルマの得手不得手がはっきりし、改善点が明確になったラリーでした。これを今後につなげていきたいですね。2021年シーズンは速さというより強さで上位に残っていた感じですが、今回は強さと速さをアピールできたと思っています」と振り返った。3位の福永は「午前中のセクションは朝露で少し湿っている部分もありました。クルマはセッティング変更を重ねて、色々と試しながら走ってきました。気温や路面温度も含め、もっともっとタイヤのマネージメントを考えないと」と語っている。

Jun Uruno


R-2クラスはヘイキ・コバライネン/北川紗衣(トヨタGT86 CS-R3)が前日のリードを活かして優勝。2位に西川真太郎/廣田幸子(スズキ・スイフトスポーツ)、3位には、須藤浩志/新井正和(スズキ・スイフトスポーツ)との接戦を制した長﨑雅志/秋田典昭(トヨタ86)が入った。コバライネンはSS9でジャンクションを間違えるミス。順位に影響はなかったものの、このSS9は西川がクラスベストタイムを奪うことに成功した。須藤と長﨑による3番手争いは、終盤SS11で長﨑が須藤をかわし、そのマージンを活かしてフィニッシュ。全日本ラリー最終戦の久万高原では最後にクラッシュしてしまったが、きっちりとマシンをゴールまで運んだ。

コバライネンはこれで2021年のラリーに7戦出場し7勝。「とてもいいラリーだったね。大きな問題もなかったし、パフォーマンスも良かった。今年は7つのラリーを走って、7勝を獲得して、まさに“クリーン”なシーズンになったね。とてもいい気分だよ。素晴らしいクルマを準備してくれたアイセロ、そしてラリーを開催してくれたオーガナイザー、そして素晴らしい仕事をしてくれたコ・ドライバーの北川選手にも感謝したい。次は2週間後の富士だね。SUPER GTは厳しいシーズンになっているけど、いい締めくくりをしたいね。ハードに作業を続けてきた努力が報われるよう頑張るよ」とコメントしている。2位の西川は「同じクラスになって、本当にコバライネン選手の実力を見せつけられた大会になりました。自分ももう少しタイムを出せたはずですが、力を出しきれなかったのは、技量不足だと自覚しています。全日本ラリーでは須藤選手と張り合っていたので、今回走ることができて、勝ててうれしかったです。ただ、須藤選手は足まわりにトラブルを抱えていたので、また勝負できたらいいですね」と笑顔を見せた。3位の長﨑は、「(クラッシュしてしまった)前回の全日本のリハビリという感じです。結果、僅差で3位争いができました。2ループ目はそこそこ乗れている感覚は取り戻せましたが、ちょっと1ループ目は恐る恐るでしたね。感覚をようやく戻せたと思います」と安堵の表情で振り返った。

Jun Uruno


R-3クラスはGRヤリスRSで初優勝を果たした大倉聡/豊田耕司。2位に天野智之/井上裕紀子(トヨタ・ヴィッツ)、3位にはトヨタ・ヤリスCVTを駆る清水和夫/山本磨美が入っている。2番手の天野は序盤のSS8、SS9とベストタイムを並べて大倉を追うが、大倉も不具合を抱えつつ踏ん張り、SS10ではクラスベストタイムをマーク。この日のスタート時点で23.4秒あったふたりの差は17秒に縮まっていたが、大倉はマージンを活かして逃げ切り、そのままの順位でフィニッシュとなった。

大倉は「朝イチはけっこうコンディションが難しかったですね。ロングステージで不具合が出て、大きくタイムロスしましたが、下り主体のコースだったので、天野選手に数秒差ですみました。その後の登りのSSですごくやられすぎてしまったのは、反省です。2ループ目は対策したことがうまくいって、きれいにタイムが出ました。攻め切ったので、納得しています。クルマはまだまだですが、ポテンシャルは高いと思います」と、全日本ラリーの開幕戦新城以来の勝利に笑顔を見せた。天野は「今日はもっとプレッシャーをかけていこうと思っていたんですが、なかなか詰められませんでしたね。最後の2SSは全開で走りましたが、GRヤリスがついてきたので、クルマの進化を感じました。(GRヤリスRSの)足まわりやシャシーの完成度は高いと思います」と語っている。3位に入った清水は、「やっぱり楽しいですね。レースは終わるとあっけないんですが、ラリーは余韻がある。今日の午後はフロントタイヤを少し固めに変えて少しタイヤの使い方も分かってきました。コ・ドライバーとの連携も、8段階までコーナーを分けることができるようになりました。中学校卒業くらいですかね(笑)。タフな道でも気持ちで負けるとペースが上がらない。でも調子に乗っていると、ガクっと落とされる。そのギリギリのところを、自分とクルマをコントロールしていかければならないのが、レースとは違いますね」と、振り返った。

フォーラムエイト・セントラルラリー最終結果
1.勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリス) 1:02:37.3
2.新井大輝/小坂典嵩(スバルWRX STI) +10.9
3.福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビアR5) +1:02.7
4.柳澤宏至/保井隆宏(シュコダ・ファビアR5) +1:59.5
5.眞貝知志/安藤裕一(トヨタGRヤリス) +2:00.3
6.ヘイキ・コバライネン/北川紗衣(トヨタGT86 CS-R3) +2:17.7
9.大倉聡/豊田耕司(トヨタGRヤリスRS) +6:37.6

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