電気自動車を用いたスマートグリッド関連システムの開発に着手
−NEDO共同研究事業「蓄電複合システム化技術開発」の契約締結−
三菱商事株式会社(以下「三菱商事」)、三菱自動車工業株式会社(以下「三菱自動車」)及び三菱電機株式会社(以下「三菱電機」)は、新エネルギー産業技術総合開発機構(以下「NEDO」)の共同研究事業に参画し、東京工業大学(以下「東工大」)の指導を受けながら、電気自動車(以下「EV」)に搭載された蓄電池を有効活用するスマートグリッド関連システムの開発に着手することと致しました。
三菱商事、三菱自動車及び三菱電機の3社は、本年3月より、今後需要の急拡大が見込まれているEVに搭載された蓄電池を有効活用するためのシステムと、必要な要素技術の研究開発に取り組んできており、この取組みの一環としてNEDOの共同研究事業「蓄電複合システム化技術開発」に応募をした結果、8月24日付にて採択され、今般、共同研究契約を締結するに至りました(研究開発費用の2/3をNEDOが負担)。
本研究開発では、三菱自動車の名古屋製作所に、太陽光発電システム、EVおよびEVから回収されたリユース蓄電池を設置し、太陽光による名古屋製作所への電力供給と共に、EVおよびリユース蓄電池に蓄えられた電力を必要に応じ充放電することで、名古屋製作所におけるエネルギー収支の最適化に寄与するエネルギーマネジメントシステム(Energy Management System、以下「EMS」)の開発、有効性の検証に取り組んで参ります。
また、これと同時に、EVの蓄電池を電力源として使用するにあたり、EVとしての利用に支障がなく、かつ電力供給制御等に有効に活用できるよう、充放電可能量を適切に設定していく技術(Electric Vehicle Integration System、以下「EIS」)についても開発を行うこととしており、今年度よりこれら装置・設備を順次開発、設置、来年度下期以降に本格運用の上、実証データを取得・検証していく予定です。
三菱商事、三菱自動車及び三菱電機は、互いに連携しながら本研究開発の事業化について早期に結論を出し、新興国を中心に加熱するスマートグリッド整備等の事業に展開していきたいと考えております。
1.本研究開発の背景・特徴
今後、我が国のみならず世界各国において、太陽光発電・EV等の分散電源が、各家庭や事業所、工場等電力の「需要側」において大量導入されると予想されておりますが、これらの分散電源の余剰電力や再生可能エネルギーの出力変動により、電力供給網(いわゆる「系統」)が不安定化するのではないかとの懸念がなされております。
これを受け、NEDOでは分散電源の大量導入に対する電力安定化対策に資するエネルギーマネジメントを、電力供給網側と相互補完する個々の需要地点レベル又はそれよりやや大きな地域レベルで行うための蓄電池の技術開発・実証を行う事を目的として、共同研究事業「蓄電複合システム化技術開発」を実施・推進しています。具体的には、
1需要側のEMS用蓄電池技術の開発
2当該蓄電技術を用いたEMSの実証
3国際展開をも視野に入れたシステム化としての評価技術、規格標準化等推進
の3つの課題に取り組むこととなっております。
三菱商事、三菱自動車及び三菱電機で取組む本研究開発では、再生可能エネルギーやEVの大量導入に伴い発生するであろう問題に対応し、NEDOの共同研究事業で掲げられた課題の解決に資するため、各家庭や工場等電力の需要側に蓄電池を設置することの有効性検証と、それに必要な制御技術等の開発を行います。
*1:PCS(Power Conditioning System)とは
電力入出力(電流・電圧・周波数)の制御装置。
*2:FEMS(Factory Energy Management System)とは
名古屋製作所における電力給配電系統と、リユース蓄電池、PV、EVとの電力需給を
調整する装置(電力需給情報の処理を含む)。
2.役割分担
本研究開発は、以下の役割分担により進めていく予定です。
1三菱商事
様々なスマートグリッド形態(Vehicle to Home、Factory等、以下「V2X」)での蓄電池のユースケース等の検討、V2Xを実施する際に必要となる共通基盤モデルの検討、国際展開等を担当。検討に際しては、東工大の指導を受ける予定
2三菱自動車
同社製品である電気自動車「i-MiEV」を中心としたV2Xの検討、V2Xを実現するための車両側からの情報発信の検討、EVからの放電機能の開発、車両と機器を接続する際の規格(CHAdeMO規格の拡張)検討等を担当
3三菱電機
工場や家庭におけるEMS及び汎用性の高いEV向け情報システムの開発を担当
3.契約期間、研究開発の開始時期等
NEDO「蓄電複合システム化技術開発」事業は本年度から2014年度までの予定ですが、本研究開発については、当面2011年度末までの契約を締結しています。
尚、本研究開発は、今秋から着手し、2011年度末のNEDO共同研究事業中間評価までに一定の成果を得たいと考えております。また、研究開発成果の海外展開に関しては、各国におけるビジネスチャンスを踏まえ、随時検討していく予定です。