サウジアラビアで開催中のダカールラリー2022は1月11日、ワジ・アド・ダワシールのビバーク周辺をループするステージ9の287kmを走行。南部のアシール州に向かって渓谷沿いに走りながら、ワジド高原を抜けるこのステージは、ここ2日間に比べて距離は短いが、標高800〜1200mまで上がるほか、半分以上が砂地で14%が砂丘と、まさに砂漠のラリーといったルートとなった。今大会も佳境を迎え残るステージ距離も限られてくるなか、最終順位を狙っての動きも激しくなってきた。
カー部門では、GRダカールハイラックスT1+を駆るトヨタ・ガズーレーシングのジニエル・ド・ヴィリエールが、自身18回目となるダカールでのステージ勝利をマーク。南アフリカ出身のド・ヴィリエールは累積順位でも5番手に浮上し、ダカールでの9度目のポディウムも視野に入ってきた。
「ここ2日間、ダンパーに問題があったので、昨晩はメカニックたちが本当にハードにがんばってくれた。今日のクルマは信じられないほど素晴らしく、本当に走りやすかった」とド・ヴィリエールは満足を見せた。
首位を走るチームメイトのナッサー・アル‐アティヤは、堅調なペースコントロールを維持。ステージ4以来、ステージでのトップタイムないが、ステージ1からリードを守り続けている。この日は3番手タイムをマークし、同じくチームメイトのヘンク・ラテガンも2番手タイムと、このステージではトヨタ・ガズーレーシング勢がトップ3を独占した。
「今日のステージは3番手タイムで総合でも充分なリードを築いているので、かなりハッピー。今日はチームの1-2-3タイムに貢献できて、よかった」とアル‐アティヤ。
一方、総合2番手でアル‐アティヤを追うBRXのセバスチャン・ローブ(プロドライブ・ハンター)も追撃の手を緩めてはいない。最初の35kmでは平均時速158kmというハイペースで滑り出したが、パンクを喫してアル‐アティヤに53秒遅れの5番手タイムでこの日を終えた。
「ナビゲーションのミスはなく、1回のパンクだけだった。タイヤ交換をしなくてはならなかったことを除けば、クリーンなステージだった」とローブ。
アウディ・スポーツ勢では、前日、ダカールでの初めてのステージウインをマークしたマティアス・エクストロームがこの日も4番手タイムと好調。カルロス・サインツ、ステファン・ペテランセルも、それぞれ6番手、8番手とトップ10圏内のタイムでステージを走り終えている。
「ダカールのステージで道を開いて走るのは、人生で初めての経験だった。あまりプッシュはしすぎなかったが、かなりいい走りができたと思う。ほかのマシンに先駆けて走行するのは、素晴らしい経験だった」とエクストローム。
12日のステージ10は、ワジ・アド・ダワシール〜ビシャ間に374kmが設定されている。
日本勢では、ステージ8、チームランドクルーザー・トヨタオートボデーが走らせる2台のトヨタ・ランドクルーザー200は、この日も三浦昂とロナルド・バソが市販車部門1-2タイムでフィニッシュ。累積順位をそれぞれ総合39番手、総合43番手に上げて、後半戦に入っても部門1-2体制堅守を続けている。
この日のステージについて三浦は「サウジアラビアに来てから一番難しい砂丘ステージだった。序盤の砂になる前にパンク。その後の砂丘がなんとも手ごわく、最後の難しいところでタイヤの空気圧を下げて何とかクリアした。スタックもしたのでちょっと悔しいが、無事にゴール出来て良かった」と語っている。
日野チームスガワラの菅原照仁は、トラック部門18番手タイムでこのステージを走り終え、累積順位は16番手に上げた。ターボのブースト圧が思うように上がらない症状を抱えながらの走行となったこのステージでは途中、砂丘の頂きで亀の子になりかける場面もあったが、菅原は、クルーである染宮弘和、望月裕司と協力して短時間で脱出に成功。ゴール手前約20㎞地点では右後輪がパンクするなど再びトラブルにも見舞われながらもこの日を乗り切った菅原は「柔らかい砂の抵抗が大きく、一度砂丘の頂点でスタック。後輪にジャッキをかけて6分ほどで脱出できた。ゴール手前では砂っぽい路面の中に石があったようで右後輪をパンク。ちょっと悔しい一日だった」と語っている。
2022ダカール暫定結果(ステージ9終了時点)
1 N.アル‐アティヤ(トヨタ) 30:10:04
2 S.ローブ(プロドライブ・ハンター) +39:05
3 Y.アル‐ラジ(トヨタ) +58:44
4 O.テラノバ(プロドライブ・ハンター) +1:36:09
5 G.ド・ヴィリエール(トヨタ) +1:45:01
6 J.ライゴンスキー(MINI) +1:46:04
7 V.バジリエフ(MINI) +1:48:33
8 M.プロコップ(フォード) +2:04:28