WRCにタイヤを単独供給するピレリは、今週開催されるWRC第2戦ラリースウェーデンに、ソットゼロ・アイススタッドタイヤの最新版を投入する。このソットゼロ・アイスJ1Bは、ハイブリッドエンジンを搭載するラリー1マシンの要求が高まったことに対応して設計されたという。
また、このスウェーデンではジュニアWRCも開幕。ワンメイクシリーズとして戦われる同選手権は、若手のステップをさらに高めるために、今季初めて4WDマシンのラリー3で戦われる。スウェーデンでは、8人の若きドライバーがフォード・フィエスタ・ラリー3にピレリタイヤを履いて初戦に挑む。
ラリースウェーデンはシーズンで唯一、スノー&アイス路面のイベントであり、ラリーの週末は氷点下5〜10度と極寒での戦いとなる。完全にアイスのステージもあれば、場所によってはグラベルが出ている場合もある。ラリースウェーデンで使用する専用のタイヤは、特殊な設計のスタッドが路面に食い込みドライバーに最高のグリップを与えるため、ウインターコンディションでは欠かせない存在だ。
Sottozero Ice J1B:規定では、ラリースウェーデンでは各クラス1タイプのスタッドタイヤを使用することを認めている。ソットゼロ・アイスJ1Bは昨年のJ1Aを改良したもので、ラリー1、ラリー2マシンに供給される。1本のタイヤには合計384のタングステン鋼スタッドが埋め込まれている。1本のスタッドは、トレッドブロックから7mmほど露出している。このスタッドは後からラバーに挿入するのではなく、ピレリの特許である加硫プロセスを用いてそれぞれの位置に固定されている。
Sottozero Ice WJA:ジュニアWRCで使用されるパワーの低いラリー3マシンには、ソットゼロ・アイスWJAが供給される。このタイヤにはJ1Bにも用いられている特色が多く流用されている。スタッドも同じく7mm露出し、ピレリ独自の加硫技術が採用されている。
テレンツィオ・テストーニ(ピレリ・ラリーアクティビティマネージャー)
「新しいラリー1マシンではパワーや車重が増加していることから、WRC用のタイヤも全レンジで対応することが求められた。ラリースウェーデンでは新しいソットゼロ・アイスタイヤであるJ1Bをデビューさせる。前行型と同様に、このタイヤでは信じられないほどのグリップを得ることができる。今回のラリースウェーデンは開催エリアが新しくなったことから、より安定してスノー&アイスのコンディションが得られるとみられ、スタッドもしっかり食い込むだろう。しかし、気温が上がってグラベルが砂利が多く露出してきても、当社の特殊な加硫加工によりスタッドは常に固定するようになっている。今年はスタッドの保持能力を試すことになるかもしれないが、それは始まってからの注目点だ。また、今季は初めてジュニアWRCが4WDマシンで戦われることも楽しみにしている。若手ドライバーたちが、トップレベルを目指すための素晴らしいステップとなり、長年サポートしてきたピレリとしても誇らしいことだ。スウェーデンで、また新たなステップに踏み出すことをうれしく思う」
ピレリが今回のスペインに持ち込むタイヤの本数は約1400本で、そのうちおよそ1200本がラリー1用と、WRC2に登録しているラリー2用のソットゼロ・アイスJ1B。ラリー中に各ドライバーが使用できるタイヤ本数は、ラリー1が26本、ラリー2は24本。シェイクダウンでは別途、タイヤが割り当てられる。
ジュニアWRCには、176本のソットゼロ・アイスWJAを供給。各ドライバーが使用できるタイヤは、シェイクダウンを含めて22本。