開催中のWRC第3戦クロアチアラリー(ターマック)は4月22日、デイ1の競技を終えたが、この日の22時50分(現地時間)、ラリーの審査委員会はヒョンデのティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)にリエゾンでの速度超過違反に対して1900ユーロの罰金と1分のペナルティを与えた。
ヌービルはSS4とTC4Aの間のリエゾンで規定速度を超えて走行。FIAのセーフティトラッキングの記録では、約11kmにわたって速度を超過していたことが示されていた。これが、2022年のWRCスポーティングレギュレーション34.3.1および2022年FIA国際モータースポーツ競技規則12.2.1.c、12.2.1.d、12.2.1.hに違反したとして、ヌービルに1分のペナルティが与えられた。またヌービルとコ・ドライバーのマルティン・ウィダグには、この日から12カ月以内に2日間、FIAの裁量による公益活動を行うことが義務づけられた。
ヌービルはこの日のSS4でオルタネーターにトラブルが発生。リエゾン中に2回ストップし、2回目はザグレブに設置されたサービスの目前だったという。このサービスへの到着が4分遅れ、この遅着により40秒のペナルティが科せられた。しかしヌービルは、このリエゾンで速度超過。時速80kmのところを156kmで走行していた。この時点で、クラークオブザコースはこの違反に対し1900ユーロ(約26万円)の罰金を科している。しかし、速度超過が著しかったことから、FIA国際モータースポーツ競技規則に違反する可能性があると判断。デイ終了後、クルーであるヌービルとウィダグ、チームマネージャーのパブロ・マルコスに聴聞を行った。
この聴聞でヌービルは、マシンに技術的な問題が発生したためTC4Aへの到着が遅れそうになっていたと説明した。さらに遅れを取り戻すために、交通規則違反であることは知っていたものの、「速度を上げざるを得なかった」とも弁明。一方で、その時点では道路に渋滞はなく、他者を危険にさらすようなことはなかったと説明している。
裁定書では、速度超過は上記のFIA国際モータースポーツ競技規則の条項に違反する重大な行為であり、今回の場合、記録された速度は制限速度の倍近くに到達しており、交通渋滞がなかったことも、TC4Aでの遅れを取り戻そうとする意図も考慮できるものではないとしている。また審査委員会は、クルーが計11kmにわたり速度制限に違反していたことを指摘している。
FIAは “FIA Action for Road Safety “や “3500lives “キャンペーンを通じて、常に交通安全を推進している。さらに、「制限速度を守ること」はFIAのゴールデンルールのひとつでもある。安全は常に重きを置く課題であり、FIAは運転マナーを改善するために可能な限りのことを行うことに全力を尽くしている。また、2022年WRCスポーティングレギュレーション34.3.1では、ラリー期間中、クルーは各国の交通法規を遵守しなければならないと規定している。
これらの状況および考慮事項のもと、審査委員会はふたつの累積ペナルティが相当と結論づけた。
現状ティエリー・ヌービルは首位のカッレ・ロバンペラに1分4秒の差で総合2番手となっていたが、この裁定による1分加算のペナルティによって総合4番手に後退するものとみられる。