トヨタのヤリ‐マティ・ラトバラ代表は、今季、絶大な安定感を見せる勝田貴元を賞賛し、次のステップに進む時期に来ていると考えているようだ。wrc.comが伝えている。
8月21日にフィニッシュを迎えたWRC第9戦イープル・ラリーベルギー(ターマック)では、トヨタGRヤリス・ラリー1に頻発するテクニカルトラブルを乗り越えて、総合5位でフィニッシュ。今季の勝田はここまでの全戦でトップ8圏内に入っており、ラリー1マシン勢では最も安定感を見せている。
2021年は、ケニアで自身初のポディウムフィニッシュをマークした後、4戦連続でラリーをリタイアするなど厳しい時期を過ごしていた勝田は躍進を見せている形だ。
「彼は本当に素晴らしい仕事をしてきている」とラトバラは熱弁する。
「結果を残してラリーをフィニッシュしているという流れは本当に見事で、一歩前進したと思う。これからは、さらにもう一歩前進して、もっと頻繁にポディウム争いをすることに挑む時期だ」
勝田がどうすればそのステップを踏めるかという問いにラトバラは、「若手を追い込むつもりはない」と言い切った。
「それは自然な形で進んでいかなくてはならない。自分の自信を高めなくてはならないし、それと同時に速さもついてくる」
勝田自身も、チーム代表の考えに応えている。今季、安定してラリーをフィニッシュしていることに満足を見せる一方で、現在29歳の勝田はもっと表彰台を獲得したいと考えているようだ。
「ここまでいい形で進んできていますが、もっとペースや速さを高めたいと思っています」と勝田。
「もちろん、安定感があるのはいいこと。でも、次のステップは、できる限りポディウムを争えるようになることです。その一方を踏むためには、もっと大きなリスクを負わなくてはなりませんが、それが次の目標。でも、一歩一歩進んでいきますし、少しずつ近づいています」
「昨年のエストニア、フィンランド、イープルは、自分には残念な内容に終わってしまいました。こうしたラリーでは、できる限りスマートな展開でフィニッシュしたかったのです。それができて良かったと思います」
WRCの次戦、アクロポリス・ラリーギリシャ(9月8〜11日、グラベル)は、勝田にとって初参戦となるが、ドライビングスタイルには合っているイベントと見られている。2021年は、コ・ドライバーのキートン・ウィリアムズが一身上の都合により参戦できなくなり、直前で取りやめている。しかし、勝田にとって最もエキサイティングなラリーとなるのは、11月のラリージャパンだろう。ここでは、ビッグプッシュをかける勝田の姿が期待される。
「ベルギーの週末を終えて、フィーリングがよくなりましたし、ターマック路面でもより走りやすくなりました。ラリージャパンに向けてすごくいいことだと思いますが、その前にスペインがあります。スペインの道でもっとペースを上げて、ラリージャパンに備えたい。大きな期待をかけてもらっていますし、みんなに注目されます。自分の地元でもあるので、プッシュしなくては」
11月10〜13日に開催されるラリージャパンは、2022年の最終戦を務める。2010年以来となる日本のWRC戦開催は、2020年、2021年にも予定されていたが、パンデミックの影響によりキャンセルとなっている。