TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加中の勝田貴元が、WRC第11戦ニュージーランドに、コ・ドライバーのアーロン・ジョンストンとともに参戦した。初めて挑んだニュージーランドの道でコースオフを喫し、今シーズン初のリタイアでラリーを終えた。
(以下チームリリース)
ラリー・ニュージーランドは今年10年ぶりにWRCとして開催され、多くのトップドライバーにとって初めて出場するラリーとなりましたが、勝田もそのひとりでした。ラリーはニュージーランド北島のオークランドを中心に行われ、牧場や森林地帯のグラベル(未舗装路)がステージに。路面は全体的にとてもスムーズで、アウト側が高くなり角度がついているバンク状のコーナーが多くあるため、思いきり攻めることができるラリーとして昔から高い人気があるラリーです。
しかし、ラリーウィークの週末は雨が続き、路面は全体的にウェットに。ステージの一部は泥状になりグリップレベルが大きく変化するなど、非常に不安定なコンディションでの戦いとなりました。特に金曜日のデイ2は、今大会の全ステージ距離の半分以上を走行する長い一日となり、勝田は苦戦。午前中の2本目のステージでスピンを喫するなどしてタイムロスをしましたが、それでも総合8位でデイ2を終えました。
土曜日のデイ3は天気がさらに悪くなり、雨が強く降る中での過酷な戦いに。多くのドライバーが苦戦し、ミスをする状況で勝田は徐々にクルマに自信を持って攻められるようになり、SS9で5番手タイムを、SS11では4番手タイムを記録し総合5位にポジションアップ。しかし、続くSS12でコースオフを喫し、リタイアとなりました。その際、ロールケージにダメージを負ってしまったため、競技を続けることができなくなり、日曜日のデイ4を走ることなくラリーを終えました。
勝田は前戦アクロポリス・ラリー・ギリシャまで、開幕戦から全戦でポイント圏内フィニッシュをしている唯一のドライバーでしたが、今回のリタイアによって、その記録は10で途絶えることになりました。
勝田貴元:ラリー・ニュージーランドに出るのは今回が初めてで、大きなチャレンジでしたが、とても楽しむことができました。難しいコンディションだったのですが、ステージ自体は良く、楽しんで走ることができました。金曜日はグリップレベルが雨に大きく影響され、グリップが安定しているときはクルマが乗りやすく感じられ、自信を持って走ることができましたが、安定しないときは充分に力を発揮できませんでした。土曜日は雨がさらに多く降って路面に泥が増え、ステージはよりテクニカルになりました。ペースはまだ少し足りていませんでしたが、午後は良くなっていきました。午後の最初のステージはフィーリングが良かったので、2本目のステージではプッシュしていきましたが、ハイスピードな右コーナーに高めのスピードで進入してしまい、続くタイトな左コーナーで減速しきれずに転倒してしまいました。ラリーを早く終えることになったのは残念ですが、それでも今後の改善方法に関して、多くを学ぶことができました。
ユホ・ハンニネン(インストラクター):貴元にとってはタフな週末になりました。金曜日はかなり苦戦しましたが、土曜日には良くなり、少し自信を持てるようになりました。しかし、SS12でブレーキングが少しだけ遅れ、コースオフしてしまいました。天候によるグリップレベルの変化は、貴元がこのクルマでここまで苦労してきた領域です。それについては明らかに改善の余地があるので、彼がもっと自信を持てるように、これから取り組んでいかなければなりません。ただし、今はまずこの週末のことは忘れ、残り2戦のターマック・ラリーに集中する必要があります。貴元にとってスペインは経験が豊富なイベントなので、良いラリーになると信じています。
ラリー・ニュージーランドの結果
1 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) 2h48m01.4s
2 セバスチャン・オジエ/ベンジャミン・ヴェイラス (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID) +34.6s
3 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +48.5s
4 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +1m58.8s
5 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン(ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID) +3m55.3s
R 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID)
次回のイベント情報
勝田の次戦は、10月20日から23日にかけて、スペインのバルセロナの南側エリアで開催される「ラリー・スペイン」です。2019年大会までは、ターマック(舗装路)とグラベルの両方のステージが設定されるミックス・サーフェスラリーとして開催されていましたが、昨年からは純粋なターマック・ラリーに。全体的にステージの路面はスムーズで、中高速の流れるようなコーナーが続き、WRCイベントの中ではサーキットに近い特性のステージが多くあることで知られています。