フォードが、フォード・フィエスタが2023年に生産を終了するという発表を受け、Mスポーツはフィエスタをベースとするラリーカーの生産・開発を継続することを表明。この状況を迎えることを見据えて以前から準備を進めてきたことを強調している。
フィエスタは、Mスポーツのラリー活動を支えるバックボーンであり、ハイブリッドとなったトップカテゴリーのラリー1マシンはフォード・プーマがベースとなっているが、現在供給しているラリーマシンの80%はフィエスタベース。FIAのラリーピラミッドの中で、カスタマーマシンの全カテゴリーに存在する唯一のモデルだ。先週開催されたWRCラリージャパンにも、エーモン・ボランド、ルーク・アネアがフォード・フィエスタ・ラリー2 MkIIでWRC2に参戦している。
長年、フォードと密接な関係を築いてきたことで、Mスポーツはフィエスタの生産がいつか終了することは以前から把握していた。Mスポーツは、フォードの協力と支援を受け、フィエスタのボディシェルの在庫を包括的に増やし、英国とポーランドの両国で今後数年間にわたり全モデルの生産を継続できる体制を整えているという。フィエスタをベースとするMスポーツのラリーカーはすべて開発も継続するほか、この先12カ月の間にラインナップ全体で数々のアップデートも計画されている。
フィエスタは、Mスポーツの輝かしい功績と成功を象徴するモデル。2017年と2018年には、フィエスタWRCがMスポーツに5つの世界タイトルをもたらしている。Mスポーツとフィエスタの関係は2005年、フォード・フィエスタSTグループNカーから始まり、多くの選手やファンに愛され、手頃な価格のホモロゲーションラリーカーを世に送り出してきた。
以来、Mスポーツが製作するフィエスタベースのラリーカーは存在感を高め、草の根レベルからラリーを始めて頂点に立つまでを同一モデルでカスタマーに提供できるようになった。フィエスタによるMスポーツの総合優勝回数はのべ2000回を超えており、まさにMスポーツのカスタマー事業の人気と成功を反映した驚異の数字だ。
Mスポーツのマネージングディレクター、マルコム・ウィルソンは「フィエスタはMスポーツのビジネス活動の中心となる部分であり、この20年間、わが社の成功を支えてきた存在だ」と語る。
「フォードとの長く歴史のある関係により、 フィエスタの生産終了に向けての準備もかなり前倒しで進めることができた。これからも、フィエスタのラリーマシンを英国とポーランドで作り続けることを、すべてのお客様にお約束したい」
「フィエスタは、Mスポーツがカスタマーに特化して開発した最初のマシンであり、2000回の総合優勝がそれを物語っていると思う。フィエスタベースのマシンについても開発が続いており、フィエスタ・ラリー2、ラリー3、ラリー4で徹底的な開発プログラムを実施しているところだ」
「自分個人としても、フォードが長年に渡ってフィエスタをサポートしてくれたことに感謝したい。フォードとフィエスタのおかげで、Mスポーツはカスタマープログラムによってビジネスとして成長することができ、フォードが我々を信頼してくれていることで、その活動を継続することができる」
フォード・パフォーマンスのディレクター、マーク・ラッシュブロックは「フィエスタがラリー界で素晴らしい成功を収めてきたのは、Mスポーツが10年以上にわたって取り組んできた包括的な“チャンスの階段(Ladder of Opportunity)”の信念によるところが大きい」と語る。
「フォード・パフォーマンスは、フィエスタをベースにしたすべてのプログラムにおいて、当初から誇りを持ってMスポーツをサポートしており、ともに素晴らしい成功を収めてきた。我々はこの成功を継続させたいと思っており、フィエスタベースのラリーカーの様々な開発プログラムにおいてMスポーツのサポートを続けていく」