ダカールラリー2023年大会は1月12日、シャイバ〜エプティクオーター間にステージ11・273kmが設定された。クルー陣はこの日をスタートした後はメカニックたちと離れステージ12のフィニッシュまで合流できない、マラソンステージ。様々なタイプの砂地を乗り越えていかなくてはならないうえ、この日の夜はアシスタンスが受けられないことからメカニカル面でも気を配らなくてはならない。
ここまで見事なパフォーマンスを披露しているリーダーのナッサー・アル-アティヤ(トヨタGRダカールハイラックス)は、マラソンステージの前半でも好走を見せてこの日は5番手タイムでフィニッシュ。1時間21分のリードを残している。
「今日、必要だったのはフィニッシュすることだけ。無茶をする意味はまったくないから、状況をコントロールしなくてはならなかった」とアル-アティヤ。
総合2番手は、初のダカール参戦に挑んでいるブラジルのルーカス・モラエス(トヨタ・ハイラックス)。この日も、ダカールルーキーとは思えないほどリラックスしてフィニッシュラインを越えた。
「エンプティ・クオーターは砂丘同士がすごく近くて、深さもあった。サウジアラビアの北部の砂漠とは、かなり違うね」とモラエス。
そのモラエスを猛追するのは、バーレン・レイド・エクストリーム(BRX)のセバスチャン・ローブ(プロドライブ・ハンター)。この日、4本連続でステージウインを奪取し、2番手モラエスとの差を10分にまで詰めてきた。
「砂丘でホイールを一本、交換しなくてはならなかず、いい場所を見つけるのが大変で少しタイムをロスした。それ以外はリズムがよく、ハードにプッシュした。砂丘は全体としては、ものすごくトリッキーな区間を除けばそれほど複雑ではなく、最終的にいい一日になった」
1月13日のステージ12も、シャイバのビバークまで185kmの砂丘を走るルートが設定されている。マラソンステージの後半では、競技コンディションでマシンを完璧にキープできるか、手腕が問われる。
ダカール2023 暫定結果(ステージ11終了時点)
T1 Car Class
1 N.アル-アティヤ(トヨタGRダカールハイラックス) 39:16:33
2 L.モラエス(トヨタ・ハイラックスオーバードライブ) +1:21:04
3 S.ローブ(プロドライブ・ハンター) +1:30:41
4 H.ラテガン(トヨタGRダカールハイラックス) +1:49:17
5 G.ド・ヴィリエール(トヨタGRダカールハイラックス) +2:14:18
6 M.プロコップ(フォード・ラプターRSクロスカントリー) +2:53:59
7 R.デュマ(トヨタ・ハイラックス) +3:03:54
8 B.バラグワナス(センチュリーCR6-T) +3:24:31
日本勢は1月11日のステージ10、チームランドクルーザー・トヨタオートボデーのトヨタ・ランドクルーザー300 GR SPORTの2台は、三浦昂がこの日はスタックもパンクもなく、順調に走行。4輪部門総合113番手・市販車部門トップのタイムでステージをフィニッシュした。ロナルド・バソは、砂丘を越えた先に停車していた車両を避ける際にリム落ち1本を喫したが、それ以外は問題なく、総合120番手/部門2番手のタイムで走り切った。累積順位ではバソが総合94番手/部門首位、三浦が同123番手/2番手につけている。
三浦は「今日のSSではランクル300の走りやすさを感じながら走り、スタックなしで砂丘を抜けられました。タイヤの空気圧も低めに設定しましたが、パンクもリム落ちもなく、気持ちよく走り終えることが出来ました」と手応えを感じさせた。
ハイブリッドシステムを搭載した日野600シリーズで参戦している日野チームスガワラの菅原照仁/染宮弘和/望月裕司組は、依然として水温上昇のトラブルを抱えながら力強い走りを続け、トラック部門総合9番手タイムでこの日をフィニッシュ。累積順位も総合9番手に上げた。
菅原は「最初は小さめ、最後は大きな砂丘を越えるステージで砂も柔らかかったです。水温のことがあるので無理はしていませんが、集中して走って、良い結果が出ました」とコメントしている。