WRCは今季の第2戦をスウェーデンで迎える。
スウェーデン北部の学園都市ウメオを拠点とする今回のラリースウェーデンは、開催70回目。シリーズ唯一のウインターイベントとして知られている。氷った林道を高速で駆け抜けるなど、迫力あるアクションも魅力だ。
開催エリアはここ数日、大雪と氷点下の気温に見舞われており、北欧らしい冬のイベントとなりそうだ。またこのWRCスウェーデンでは、今季のジュニアWRCが開幕。Mスポーツ・ポーランドが製作するフォード・フィエスタ・ラリー3にピレリタイヤのワンメイクシリーズで若手たちが今年も鎬を削る。
昨年のラリースウェーデンは、FIAの枠組みで最高となる3つ星の環境認定を受けており、サステナビリティは大会運営チームの主要な焦点となっている。ラリー1のマシンに100%化石燃料を使用しないこと、2023年までの新しい規定によってタイヤの量を減らすことは、FIAがラリーをより持続可能なものにするために段階的に取り組んでいることのほんの一例にすぎない。
一方、ルート面では、昨シーズンから構成を一新し、新たに3つのステージが追加されている。
■エントリー状況
-トヨタ・ガズーレーシングWRT:開幕戦のモンテカルロでは、総合2位、パワーステージ勝利でWRCタイトル防衛のシーズンをスタートした22歳のカッレ・ロバンペラは、昨年のラリースウェーデンでシーズン初勝利をマークしている。勝田貴元は、初めてマニュファクチャラーズ選手権ポイント獲得の対象ノミネートでの参戦となり、ワークスドライバーデビューを迎える。もうひとりのノミネートドライバーは、エルフィン・エバンス。イタリアのロレンツォ・ベルテッリは、プライベーターとして初めて、トヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッドでの参戦を果たす。
-ヒョンデ・シェル・モビスWRT:ティエリー・ヌービルと今季からチームに加わったエサペッカ・ラッピに加え、ヒョンデi20Nラリー1ハイブリッドのサードカーをドライブするのは、チームに復帰したクレイグ・ブリーン。3人とも、ラリースウェーデンではポディウムに上がった経験を持っている。
-Mスポーツ・フォードWRT:フォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1を駆るのは、オィット・タナックとピエール・ルイ・ルーベ。ヒョンデのラッピとトヨタの勝田がフィンランドのラリークオピオに参戦したのと同様に、タナックは母国エストニアでウインターラリーのオテパア・タルベラリーに参戦。タナックは優勝を飾っている。
■サポートカテゴリー
WRC2部門には25台がエントリー。ディフェンディングチャンピオンのエミル・リンドホルム(トクスポーツWRT、シュコダ・ファビアRSラリー2)は、このスウェーデンが初戦となる。今季はトクスポーツから参戦する地元スウェーデン出身のオリバー・ソルベルグ(ファビアRSラリー2)も、WRC2部門へのエントリーはこのスウェーデンが今季最初。さらにノルウェーのオーレ・クリスチャン・ベイビー(フォルクスワーゲン・ポロGTI R5)、フィンランドのテーム・スニネン(ヒョンデ・モータースポーツN、ヒョンデi20Nラリー2)の強豪に加え、2022年にジュニアWRCタイトルを獲得した特典で参戦するエストニアのロベルト・ビルベス(Mスポーツ・フォードWRT、フォード・フィエスタ・ラリー2)もWRC2部門に挑戦する。
そのほか、WRC2部門にはエストニアの若手ゲオルグ・リンナマエ(i20Nラリー2)、トクスポーツWRT2のニコライ・グリアジンとマルコ・ブラシア(ファビアRSラリー2)、フィンランドの若手サミ・パヤリ(トクスポーツWRT、ファビアRSラリー2)、ラウリ・ヨーナ(ファビア・ラリー2 Evo)も名を連ねる。イタリアのマルオ・ミーレは、昨年タイトルを獲得したWRCマスターズカップにノミネートしている。
WRCスウェーデンで開幕するジュニアWRCには、ベルギー、フランス、アイルランド、ケニア、ルクセンブルグ、パラグアイ、スペインからエントリー。注目のひとりは、昨年のジュニアERCチャンピオン、ローレン・ペリエ。昨年もジュニアWRCを戦ったモータースポーツ・アイルランドラリーアカデミーのウィリアム・クレイトンや、ルクセンブルグのグレゴワール・ミュンステールもシーズンを戦う。
■ラリールート
今回のWRCスウェーデンには18SS・301.18kmが設定されているが、うち62%が昨年から変更された。2月9日木曜日夜に、観戦しやすいフォーマットのステージ、5.16kmのUmea Sprintで開幕。大観衆が集まることが予想される。
金曜日はウメオの西部と北部にステージが設定。Brattbyはステージを修正。25.81kmのBotsmarkは新ステージとなる。これにSarsjolidenを加えた3本を、ウメオでのサービスを挟んで2ループ。その後、Umea Sprintでこの日を締めくくる。
土曜日はウメオの北部と東部を走行。この日は3SSをサービスを挟んで2ループし、計126.22kmを走行するラリー最長の1日となる。12.54kmのNorrbyは新登場のステージで、サービスの前と後に走行する。この日のFlodaは、28.25kmとイベント最長ステージとなる。この日は、Umea Sprintのロングバージョン、Umea(10.08km)で締めくくる。
最終日の日曜日は3SSでの構成。新ステージのVastervik(26.48km)をサービスを挟んで2回走行した後、Umeaの2回目の走行がパワーステージに指定されている。
■ラリーデータ
開催日:2023年2月9日〜12日
サービスパーク設置場所:ウメオ
総走行距離:1194.16km
総ステージ走行距離:301.18km(SS比率25.2%)
総SS数:18
■開催選手権
WRC
WRC2
WRC3
JWRC
■マニュファクチャラーズ選手権ノミネートドライバー
[トヨタ・ガズーレーシングWRT]
カッレ・ロバンペラ(#69)
エルフィン・エバンス(#33)
勝田貴元(#18)
[ヒョンデ・シェル・モビスWRT]
ティエリー・ヌービル(#11)
エサペッカ・ラッピ(#4)
クレイグ・ブリーン(#42)
[Mスポーツ・フォードWRT]
オィット・タナック(#8)
ピエール・ルイ・ルーベ(#7)
■2022年ラリースウェーデン最終結果
1 K.ロバンペラ/J.ハルットゥネン(トヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッド) 2:10:44.9
2 T.ヌービル/M.ウィダグ(ヒョンデi20Nラリー1ハイブリッド) +22.0
3 E.ラッピ/J.フェルム(トヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッド) +30.6
■近年のウイナー
2022年 K.ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッド)
2020年 E.エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)
2019年 O.タナック(トヨタ・ヤリスWRC)
2018年 T.ヌービル(ヒョンデi20クーペWRC)
2017年 J-M.ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)