今季WRC第6戦として開催されるWRCラリーサルディニア(6月1〜4日、グラベル)は、ラリーガイド1を発行し、アイテナリーを公開した。大会20回目の記念として、名物ステージ、モンテ・レルノを49.92kmというロングステージで設定する。WRCのイタリアラウンドとしては、最高記録にも迫る長さ(2014年は約60kmに達した)であり、2023年WRCの最長ステージとなる候補になりそうだ。
このモンテ・レルノはラリーサルディニアの代名詞とも言えるステージだが、その象徴的なポイントが、ミッキーズ・ジャンプ。この場所には、毎年何万人ものファンが集まる。このジャンプの写真は世界中に知れ渡っており、このイベントの人気を高めている。そのステージが今年は50km近い距離で設定されるとあって、さらに注目を集めることになりそうだ。
このステージは、ほぼループのようなレイアウトになっており、アラ・デイ・サルディの高台からスタートして、モンテ・レルノの頂上に達した後に戻り、スタートからわずか数kmほどの場所でフィニッシュする。近年使用されたモンティ・デ・アラのステージの区間も含んだ新しい構成となっている。
モンテ・ラーノの歴史は、ラリーサルディニアの歴史でもある。最初に設定された2回は、モンテ・レルノとは呼ばれていなかった。2004年には現在のステージが、土曜日に設定されるサス・モラス、ル・サグヘレ、タンダロの3本のステージで、逆方向に走行されていた。2005年にはこのステージはタンダロの名前となり、現在と同じ方向の走行で設定された。モンテ・レルノの名前としてアイテナリーに入ったのは、2006年。直近2年は通過するエリアに合わせて名前が少し変わり、2021年はモンティ・デ・アラ、昨年はモンテ・レルノ・ディ・パターダと呼ばれた。
長い歴史の中で、レイアウトも様々に変化し、IRCラウンドとして開催された2014年は規定によりわずか11.89kmで有名なジャンプも外されたが、2014年には圧巻の59.13kmの超ロングステージとして設定された。このステージは土曜日に設定されることが多く、2012年、2013年以外は土曜日に走行。10年後の今年は、再び金曜日の開幕ステージとして予定されている。
2006年からのべ34回使用されているこのステージで最も勝利を挙げているのは、セバスチャン・オジエの9回。2013年のフォルクスワーゲン・ポロR WRCで初めてステージウインをマークし、最近では2021年にトヨタ・ヤリスWRCでトップタイムをマークしている。セバスチャン・ローブ、ヤリ‐マティ・ラトバラがそれぞれ5回、オィット・タナックが4回、ティエリー・ヌービルが3回、ミッコ・ヒルボネンとパオロ・アンドレウッチが2回となっている。アンドレウッチは、S2000マシンでこのステージを制した唯一のドライバーだ。そのほか、ペター・ソルベルグ、ダニ・ソルド、マッズ・オストベルグ、エサペッカ・ラッピも、モンテ・レルノでステージウインを挙げている。
ラリーサルディニアのジェネラル・マネージャー、アントニオ・ツリットは「2023年のルートは、伝統と革新の融合という発想で誕生した」と語っている。
「モンテ・レルノを再びほぼ50kmのバージョンで提案するというアイデアは、大きな目玉となる。我々はこのイベントの進化をたどってきたが、モンテ・レルノはそうした努力の象徴している存在。毎回、ミッキーズ・ジャンプを通過するのはスリリングだ。マシンが空に向かうと、目の前には青空が広がる。タイヤがジャンプの頂点に達した時、初めてその反対側に何があるのかが分かるんだ。2023年も、ラリーサルディニアが20年の歴史の中でラリーに与えてきたものに対する素晴らしい賛辞を得ることになるだろう」