2023年シーズン全日本ラリー選手権第2戦「新城ラリー2023 Supported by AICELLO」は、3月5日(日)に最終日の5SSを走行した。トップカテゴリーのJN-1クラスは、ヘイキ・コバライネン/北川紗衣(シュコダ・ファビアR5)が福永修/齊田美早子(シュコダ・ファビア・ラリー2 Evo)に1分50秒1差をつけて、今季初参戦ラリーでの勝利を飾った。2分11秒4差の3番手には鎌田卓麻/松本優一(スバルWRX STI)が入っている。
ラリー2日目は、前日の逆走となる「Onikubo Rev(3.56km)」と、WRCラリージャパンでも使用されたルートの一部を走行する「Nukata(9.96km)」の2本を、県営新城公園でのサービスとショートステージ(SS9)を挟んでリピートする27.64kmで争われた。
首位のコバライネンは、初日に行われた全ステージを圧倒的なスピードで制覇。オープンクラスで参戦するトヨタGRヤリス・ラリー2の勝田範彦/木村裕介に1分8秒6もの大差をつけてみせた。JN-1クラスでのライバルとなる福永は1分10秒3、新井敏弘/保井隆宏(スバルWRX STI)は1分30秒4と大きく離れており、よほどのことがない限り、コバライネンの優位は動きそうにない。また、3番手の新井敏弘の5.8秒後方には、2輪駆動のプジョー208ラリー4をドライブする新井大輝/金岡基成が迫っている。
午後から雨の予報がでているなか、「不安定なコンディションだが、良いアドバンテージを持ってスタートできる」と語ってサービスを後にしたコバライネンは、ドライとなったSS7 Onikubo Rev 1でも余裕のベスト。1.2秒差の2番手タイムは前日セッティングに悩まされた鎌田。4.6秒差の3番手タイムで新井敏弘、5.8秒差の4番手タイムで新井大輝が続く。
多くのクルーが勝負になると事前に指摘していた、この日最長の9.96kmを走るSS8 Nukata 1。コバライネンはSS2番手タイムの新井大輝に20秒差のベストタイムをたたき出しクラス2番手につける福永にこのステージだけで21.8秒のマージンを築いてみせた。このステージでセカンドベストをマークした新井大輝は、ペースの上がらない新井敏弘をとらえて3番手に浮上している。
サービスを挟んだ午後のセクション、予報どおり雨が降り始め、コンディションはウエットに。すでに安全圏のリードを持っているコバライネンはSS9とSS10でもきっちり一番時計。雨を予想してタイヤを温存していた鎌田は、SS10でコバライネンに0.7秒差にまで迫り、新井敏弘をとらえて4番手に浮上する。さらに鎌田はSS11で最後の最後にコバライネンを上まわり、ついにベストタイムを奪取。新井大輝が2輪駆動には不利なウエットコンディションに苦しむなか、鎌田が最後に3位表彰台を獲得した。
このSS11では、オープンクラスながらも4番手相当の位置につけていた勝田が、ステージ中盤でコースオフ。フロントにダメージを負って、ラリー続行を断念している。
午後のセクション、クレバーにペースをコントロールしたコバライネンが、2位の福永に大差をつけてシーズン初勝利。全日本選手権連覇に向けて、上々のシーズン滑り出しとなった。「とてもいいラリーが戦えたよ。今回はチームがファビアR5のセッティング進めてくれたこと、そしてダンロップの新しいタイヤが素晴らしく、特に初日自信を持って攻めることができた。今年は2連覇を目指しているけど、ノリさん(勝田範彦)のトヨタGRヤリス・ラリー2がかなり強敵になりそうだね」と、コバライネンはフィニッシュ後に笑顔を見せている。
ニューマシン、ファビア・ラリー2 Evoで2位表彰台を獲得した福永は、最終ステージにパンクを喫しており「最後はリム落ちの状態で半分くらいのステージを走りましたが、なんとか逃げ切った感じです。唐津は得意なラリーですし、なんとかヘイキに迫りたいです」と、次戦での巻き返しを誓う。
最終ステージで3位に滑り込んだ鎌田は「予報どおり雨になってくれて、3位までポジションを上げることができたので上出来です。今回は軽量化も含めてJP4マシンのポテンシャルを実感することができました。あらためて、ニューマシンが楽しみになっています」と、納得の表情で振り返った。
4位は二輪駆動ながらも表彰台圏内にまで迫った新井大輝。8速AT仕様のGRヤリスで走り切った眞貝知志/安藤裕一が5位。初日表彰台圏内を走りながらも、ウエット路面で大きくペースを落とした新井敏弘は6位に終わった。JN-2クラスは、スタートからラリーをリードした奴田原文雄/東駿吾(トヨタ・GRヤリス)がシーズン初勝利を手にしている。