シュコダ・モータースポーツは、今季のWRC開幕戦ラリーモンテカルロにシュコダ・ファビアRSラリー2で参戦し、WRC2マスターズカップ部門で優勝を果たしたフランスの英雄的ドライバー、フランソワ・デルクールへのインタビューを公開した。様々なルートでチュリニ峠を走行しながら、モンテカルロの伝説的なコースへの思いを語っている。
かの有名なチュリニ峠を通過するSSは、ラリーモンテカルロとは切っても切れない要素。あらゆるドライバーの中でおそらく最もチュリニを走り込んだであろうフランソワ・デルクールが、この伝説の峠に潜む落とし穴や、チュリニ峠がラリーの歴史においてこれほど大きな存在感を誇る理由を語る。
幾度となくラリーモンテカルロに参戦され、プロバンス・アルプの丘陵地帯をここまで熟知しているドライバーは、おそらくほかにはいない。これまでの間に、ラリーモンテカルロはどのように変化しましたか。
フランソワ・デルクール(FD):ラリーモンテカルロは、この何年もの間にすっかり変わってしまった。昔はステージの総距離は800〜900kmはあったが、いまは300kmといったところだろう。最初から最後までスプリントだ。ラリーも、以前に比べればひとつの地域に集中している。最後のステージ以外は、昔はひとつステージを2回走行するなんて珍しいものだったが、今年はチュリニ峠を3回も走ったからね。昔のモンテの面影はもうない。でも、それがいいとか悪いとかではなく、単に、まったく違うラリーになったということだ。
このラリーで最も象徴的なステージは文句なしに、すでに言及されたチュリニ峠と言えます。なぜ、ここのステージがそれほどまでに特別なのでしょう。
FD:チュリニ峠はモンテカルロで“最も美しいステージ”というわけではないが、最も伝説的な存在だ。チュリニは、シンプルにラリーモンテカルロとは切っても切れない関係なんだ。このステージの魔法は、ここで起こったドラマからも分かる。ジャン‐リュック・テリエは、スペクテイターがコース上に投げ入れた雪でリタイアに追い込まれた。ジャン-クロード・アンドリュエがオベ・アンダーソンを追撃したシーンも素晴らしかった。自分自身も、チュリニで総合優勝を逃したことがある。あの最終ステージが始まる時点で40秒以上もリードしていたのに、あそこで大量ロスをして3位に終わったんだ。とにかくマジカルな場所だよ。フランス人とイタリア人のスペクテイターが雪合戦していたことも覚えている。もちろん、あの峠の頂上にある有名なホテル・デ・トロワバレーも忘れられない。チュリニは文字どおり、ラリーモンテカルロのシンボルなんだ。
チュリニ峠の走り方は3方向あります。ソスペル、リュセラム(ペイラ・カバ経由)、そしてラ・ボルーネ・ベジュビーから。それぞれ、どのように違うのでしょう。
FD:どこからスタートするかは、私にとっては重要な部分じゃない。チュリニの頂上にたどり着き、フィニッシュまで下ることが重要だ。ソスペルとリュセラムの下りは、どちらも素晴らしい。チュリニ峠の駐車場とペイラ・カバの村の間の頂点を通過するのも、面白い。ものすごく速くて、標高が高いので完全に雪に覆われていることも多い。
お気に入りのルートやセクションはありますか?
FD:ラ・ボルーネ・ベジュビーからスタートしてチュリニを経てソスペルに行く組み合わせが好きだ。自分個人の意見としては、これが真のチュリニ峠のステージだと思う。なかでも、ソスペルに向かうダウンヒルが一番チャレンジングだ。坂が北側を向いているので、道がいつも凍っていて氷の固まりがあったり、すごくトリッキーになる。
様々なマシンでチュリニ峠を走っていますが、一番のお気に入りは?
FD:プジョー306マキシで走ったのは、いい思い出だ。チュリニまでの間に、どこかのステージで何かをヒットしてしまい100%の状況ではなかったが、チュリニでベストタイムをマークした。あの時は完全にドライで、NAのFFマシンで4WDターボのWRカー勢を全部やっつけたんだ。
今年のラリーモンテカルロでは、シュコダ・ファビアRSラリー2での初ラリーで、チュリニ峠の3本をすべて制しました。新しいファビアのラリーマシンは、ドライブしやすかったですか?
FD:正直に、新型のファビアRSラリー2は最初からフィーリングが素晴らしかった。とにかくドライブしやすいように作られたマシンだ。そしてもちろん、限界までプッシュしなくてはならない時も、ステアリングが素晴らしいし、シャシーも優れている。WRC2規定ではエンジンの規制がかなり厳しいが、ファビアはトルクが太い。でも本当に関心したのは、ファビアが道の上でどのようにハンドリングできるかや、どのようなブレーキとダンパーを備えているかという点だった。
チュリニ峠でのファビアの強さはどういった部分でしょう。
FD:ファビアRSラリー2は非常に機敏なマシンで、チュリニ峠で十分なトラクションを得ることができる。息を抜ける場所があまり多くないし、常にタイヤにトルクをかけることができるのはものすごく助かる。無駄なキックバックもないから、コーナーリングの効率は抜群だ。
ここで走ったほかのマシンと比較できますか?
FD:どうかな。この最新マシンは、シャシーの面で大きく進歩しているからね。旧世代のマシンは、新型ファビアRSラリー2ほど路面をつかむことができなかったと思うよ。