WRC第4戦クロアチアはすべてのSSを終えて、トヨタのエルフィン・エバンスが今シーズン初勝利を獲得した。2位にはMスポーツ・フォードのオィット・タナック、3位にはヒョンデのエサペッカ・ラッピが入った。4位にカッレ・ロバンペラ、5位にセバスチャン・オジエ、6位に勝田貴元と、上位陣にはトヨタ勢が名を連ねるかたちとなった。
競技最終日はザグレブの北部、スロベニア国境にほど近い丘陵地帯を舞台とするSS17〜SS20、54.48km。ハイスピードな林道と、集落の中を通過するコースが連続するステージ2本を、2度ずつ走行する構成となっている。競技2日目終了時点で、トップ3はそれぞれややタイムが開いた状況ではあるが、4番手のオジエと5番手ロバンペラの差はわずかに2秒と、予断を許さない状況だ。
この日のオープニングステージとなるSS17では、追う立場のロバンペラがベストタイムをマーク。3.7秒差でSS2番手タイムとなったオジエをかわして、ロバンペラが総合4番手に浮上した。このステージではトヨタ勢がトップ4を占めるスピードを発揮している。続くSS18では、前日リタイアを喫し再出走に回ったヌービルが一番時計。SS2番手にはロバンペラが入り、SS3番手タイムをマークしたオジエとの差をじわじわと広げにかかる。
SS17の再走ステージとなるSS19では、再びロバンペラがベストタイムをマーク。オジエは0.1秒差でSS2番手タイムとなり、反撃の糸口がつかめないまま最終ステージへと臨むこととなった。ここまでロバンペラとオジエ以外に上位陣の順位変動はなし。首位エバンスと総合2番手タナックは28.1秒、タナックと総合3番手ラッピは34.6秒と差が開いており、順位キープの線が濃厚と見られている。
そして最終ステージ、SS20がスタート。まずはラリー2勢のトップ6がコースインしていく。WRC2は、連日リードを守ってきたシトロエンのヨアン・ロッセルが勝利、モンテカルロに次いで今季2度目の優勝を挙げた。続くラリー1勢は、再出走を果たしたヌービルからコースイン。これにMスポーツ・フォードのピエール-ルイ・ルーベ、トヨタの勝田貴元が続く。ここまでの暫定ベストは渾身のアタックを見せたヌービルだ。
勝田に続いてコースインしたオジエはヌービルのタイムに3.4秒およばずフィニッシュ。これで5番手以上を確定させた。続いて走行したロバンペラは、ヌービルのタイムを塗り替えることはできなかったが、オジエのタイムを上まわり4番手以上を確定。続くラッピは表彰台フィニッシュを最優先として、リスクを避けてアタック。暫定5番手タイムで最終SSをまとめ、3番手以上を確実なものとした。タナックもラッピと同様に慎重なドライビングでSSを走り切り、2番手以上を決めている。上位陣の最終走者となったエバンスも、危なげない走りできっちりとフィニッシュ。これで今シーズン初勝利を手中に収めた。エバンス自身としてはキャリア通算6勝目、21年のラリーフィンランド以来となる久しぶりの勝利だ。
これで最終SS終了時点での総合順位はエバンス、タナック、ラッピ、ロバンペラ、オジエ、勝田、ルーベというトップ7に。パワーステージは、ヌービル、ロバンペラ、オジエ、勝田、ラッピがトップ5に入り、ボーナスポイントを獲得することとなった。
この第4戦までを終えて、ドライバーズランキングは首位オジエが69点、エバンスが同じく69点、ロバンペラが68点、タナックが65点、ヌービルが58点というトップ5。トヨタ勢がほぼ横並びでトップ3を占めている。マニュファクチャラーズランキングはトヨタが161点、ヒョンデ132点、Mスポーツ・フォードが108点となった。
パワーステージの直後に実施された恒例の暫定表彰式では、クレイグ・ブリーンへの追悼としてアイルランド国歌が流され、黙祷が捧げられた。次戦は5月11日〜14日に開催される第5戦ポルトガル。北部のマトジニョスを拠点として開催されるグラベルラリーで、『ファフェのジャンプ台』には毎年多くのギャラリーが集まることで知られている。22年はトヨタのロバンペラが勝利を挙げた。勝田も2年連続で4位を獲得しており、ワークスドライバーとして臨む今シーズンも好成績が期待される。
WRCクロアチア 暫定結果
1. E.エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2:42:35.2
2. O.タナック(フォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1) +28.1
3. E.ラッピ(ヒョンデi20Nラリー1) +1:02.7
4. K.ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +1:30.0
5. S.オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1) +1:36.3
6. 勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) +2:27.9
7. P-L.ルーベ(フォード・プーマ・ハイブリッド・ラリー1) +3:51.1
8. Y.ロッセル(シトロエンC3ラリー2) +7:41.3
9. N.グリアジン(シュコダ・ファビアRSラリー2) +7:54.7
10. E.リンドホルム(シュコダ・ファビアRSラリー2) +9:09.4