FIA副会長という要職にあるモハメド・ビン・スライエムは、来季のWRCカレンダーにアブダビをエントリーさせるためならば、私財を投入することもいとわないと言っている。彼はかつて14度の中東ラリー選手権(MERC)チャンピオンに輝き、近年ではF1マシンのルノーR28をドバイでクラッシュさせて話題となった人物だ。
アブダビはラリーヨルダンと代わるかたちで来季のWRCカレンダーへのエントリーを目指している。
いっぽう、バーレーンで開かれたモータースポーツ評議会ではカレンダー承認の先送りが発表された。さらにアブダビはカレンダーエントリーに必要なFIAの審査をまだ受けていないため、現時点では候補地として立候補することはできない(12月にこの審査は行なわれる予定)。
またFIA会長ジャン・トッドが、ヤス・マリーナF1サーキットを拠点とする、この新規ラリーに対し拒否権を行使するのではないかという見方が根強く存在する。しかし中東ラリー選手権で幾度もチャンピオンに輝いているスライエムはアブダビでのラリー開催を切望している。また、先日行なわれた第2戦のクウェートで勝利を飾ったハリ・アルカシミのフィエスタS2000にはアブダビがメインスポンサーとしてついており、並々ならぬ気合いを感じさせる。
「今こそWRCをアブダビで開催する時だ。UAEでのラリー開催はWRCにとっても有益だと思う。なぜなら中東でラリーを行なえば、モータースポーツ全体の振興のための良いプロモーションになるからだ。主催側の色々な意見を吸収して再編成することによって、WRCのプロモーションをよりよいものにしていくべきだと考えている」
スライエムはWRCプロモーターであるノースワン・スポーツのローテーションシステムについて現状が厳しい旨を理解したうえで、それでもアブダビを推したいと願っている。一方のトッドはカレンダーの固定化に固執しているという情報もある。
2011年カレンダーについてはラリージャパンの今後も気になるところだが、どのタイミングで決定がなされるのかには触れられていない。