WRCサルディニア:オジエ「不確定要素が多すぎて未知の世界に行くような気分」イベント前記者会見 – RALLYPLUS.NET ラリープラス
現地速報がすぐわかる! バックナンバーが読み放題。ラリプラLINE限定コンテンツ配信中

WRCサルディニア:オジエ「不確定要素が多すぎて未知の世界に行くような気分」イベント前記者会見

©Toyota Gazoo Racing WRT

WRCラリーイタリア・サルディニア、シェイクダウン後に行われたイベント前カンファレンスの内容(抜粋)。レッキから大雨に見舞われた今回のサルディニア。開催20回目の大会として名物ステージを50kmに延長したり、初回開催時に使用したステージを盛り込むなど記念ルートが用意されたが、不安定な天気とともに予想できない要素が多いことに、百戦錬磨のWRC8冠王者も懸念を見せた。

●WRCプレイベントカンファレンス出席者

FIA

セバスチャン・オジエ=SO(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
ティエリー・ヌービル=TN(ヒョンデ・シェル・モビスWRT)
ピエール-ルイ・ルーベ=P-LL(Mスポーツ・フォードWRT)

Q:ラリーイタリア・サルディニアは今回で20回目の開催。たくさん思い出があると思うが、一番の思い出は? Mr.オジエから
SO:素晴らしい思い出がたくさんあるね。もちろん、素晴らしい思い出を作るために優勝したいという気持ちもある。何年か前、ティエリーとバトルになって負けたのもいい思い出だ。あの頃は、まだ限界まで走れるんだと分かっただけで満足できたからね。プッシュしながら走り続けることができたのは大きな成果だったし、マシンをドライブするのも楽しかったから、いい時間を過ごせたと思っている。でも、アルゲーロの近くのパワーステージは、もういいかな。すごくラフで、あそこではいつもヒョンデが強かったから。今年は、パワーステージの前にもたくさんの試練が待ち受けているから、興味深い週末になりそうだ。
P-LL:自分はWRC2で勝つことがとても重要だった。サルディニアを終えた時点で選手権をリードしていないと、自分のシーズンは終わることになっていたから、すごく安心できたのはいい思い出だ。

Q:ティエリー、セバスチャンが言っていた0.7秒差で勝ったことは、一番の思い出か
TN:あの時にも言ったけど、セバスチャンとの戦いの中で、本当に誇りに思える成果はあの時だけ。誰が勝つのか、優位に立つのかなんて、誰にも分からない。少し張りつめた状況で、前のステージで彼のタイムカードにトラブルがあったのでリグループすることになったから、待たなくてはならなかった。ペナルティになるかもしれないとは思ったが、どれくらいになるかは分からなかったし、どれだけリスクを負って攻めなくてはならないかも分からなかったが、結果的にとにかく攻めた。ものすごい僅差だったけど、すごく安心したよ。ふたりともバトルを楽しんだと思うし、もちろん誰でも勝ちたいと思っても、いつでも勝てるわけじゃない。自分たちにとっては最高の思い出だし、これからもずっといい思い出として残ると思う。

Q:オジエはサルディニアで4勝、ティエリーは2勝、今週末は3勝目を狙っていると思うが、コンディションは雨にマッド、これまでのサルディニアでも最も過酷な大会になりそうか
SO:これまでにないほど予測不可能になりそうなのは事実。2年前の優勝はひとまず置いておいて、少なくともこれだけは伝えておきたい。初日の走行順がトップで優勝することは、このレベルの戦いの中では珍しい。今年は、走行順が大きな鍵となるかどうかは、分からない。様子を見なくてはならないが、天気予報を聞く限り、まずは適切なタイヤを選ぶことと、ロングステージでトラブルを避けることだと思う。今の段階で明確になっていない要素がたくさんあって、唯一ハッキリしているのは、自分たちとしては、クルーの準備はできていて、マシンのフィーリングもいいということ。この路面でのマシンの走りを前進させるためのステップを踏んだ。このラリーのスタートを迎えることにワクワクしているが、今のところは未知の世界に行くような気分だね。

Q:あなたがそんな風に言うと、ドキッとするね。ピエール-ルイ、昨年は素晴らしい結果を収めた。ポディウムも狙えたような感じだが、セブも言ったように今はすべてが未知数。今週の目標は
P-LL:セブも言ったように、今年は色々な要素がある。予想するのが難しいので、とにかくポルトガルと同じようなペースを出すためにベストを尽くして、石にぶつかるのを避けるだけ。いいリザルトになるといいね。

Q:ティエリー、先日チームから発表されたフランソワ-クサビエ(FX)・ドゥメゾンのテクニカルディレクター就任について。WRCで豊富な経験を持ち、最近ではF1にも関わっている。彼の就任はどれほど重要か
TN:これから分かると思うよ。セバスチャンの方が、自分より100倍、彼のことを知っているんじゃないかな。
SO:君のチームじゃなくて、ウチのチームに入ってほしかったね。
TN:つまり、そういうことだよね! おっしゃる通り、ヒョンデが新体制を作っていく中で、チームになかったポジションのひとつがテクニカルディレクターだった。ここ数年はクリスチャン・ロリオーがテクニカルアドバイザーとしてチームに参加していたが、プロジェクトをリードしていたわけではなく、主にWRCに専念していた。今回、FXが加わったことで、クリスチャンを手伝って、WRC部門を率いるために必要なエネルギーを得ることに貢献してくれると思う。FXは、もちろんラリーでの経験があるので、チームに多くのことをもたらしてくれると確信している。このコラボレーションを楽しみにしているし、これまで優れたドライバーたちと仕事をしてきた人なので、とんでもないほどの経験を持っているし、チームにも自分にも利益になるはずだ。うまく噛み合うことができれば、楽しくなるはずだよ。

Hyundai Motorsport GmbH

Q:セブ、モンテレルノ(49.90km)のステージについて。もっと長いステージも走ってきたが、ハイブリッドのラリー1マシンでこの長さ、この路面、この暑さの中を走るのは初めてだ。どうなると思うか
SO:少なくとも暑さに関しては、思っていたよりも少し気温が低くなるかもしれない。50kmのステージではもちろん、暑さの中を走るし、ブレーキのためにはすべての冷却システムがうまく機能することが重要だ。それでなければ、トラブルが起きる。でも、ロングステージが戻ってきたことはうれしいよ。自分の得意なポイントだし、タイヤマネージメントが重要な役割を果たすようになるが、これも自分の好きなところ。唯一、やっかいな要素はパンクで、これだけはどうにもできない。もちろん、できる限り衝撃が大きくなりすぎないようベストなラインに留まるように努めるが、このようなラフなコンディションでは、石や衝撃を受けることは分かっているので、クリーンな走りができることを願うよ。ここだけでラリーの3分の1を占めるので、もちろん重要なステージになる。

Q:ティエリー、このステージでいい走りをするための鍵は、何になると思うか。アプローチは変えるか
TN:成功の鍵がひとつのステージだけにあるとは思わない。この週末で成功を収めるための鍵は、安定した走りで、天気に関しては少し運も必要で、適切なタイヤを選んで生き残ること。ラフになるだろうからね。金曜日最初のステージは、すでにすごくバンピーになっているし、知っているステージもあれば、新しい区間や逆走で使う部分もあるので、新しくペースノートを作ったところがかなり多い。すべてのことをまとめなくてはならないので、大変な試練だ。ロングステージでは、最初のコーナーでうまく滑り出せればいいフィーリングをつかめるので、そうなればうまくいくと思うが、このような長いステージでは集中力を維持しなくてはならない。35分くらいかかると思うので、楽しく走れたらいいね。

Q:ピエール・ルイ、コルシカ島出身でこの島ともそう離れていない。この週末、天気はどうなると思うか
P-LL:コルシカは通常、いつも晴れているので、ここでどうなるかはハッキリとは分からない。自分の地元はここよりも過ごしやすいので、問題ないことを願っているが、この週末の天気はコルシカのようにはなりそうにないね。

M-SPORT

記者席からの質問
トム・ハワード(オートスポーツ/Motorsport.com、英国)
Q:生き残り戦という点について、ケニアのような感じなのか

SO:正直、ケニアのように見えるセクションもあると思うし、それに石が多い感じ。基本的に、ケニアを走るよりもハードなセクションがたくさんある。それに、2ループ目の走行でコンディションがどうなるのか、予想が難しい。全体として、もちろんケニア自体は試練として厳しいが、自分の見方としては、サルディニアで経験したコンディションはラフな方だ。
TN:セブも言ったように、ケニアのようなセクションもある。基本的に試練となるのは、コンディションがミックスされることで、レッキの時点ですでにそうだったし、ラリー中は、2ループ目はラフになる場所もあるのでトリッキーになるが、予想よりもいいコンディションのままかもしれない部分もあるので、そんなサプライズもある

ライナー・クーン(モータースポーツ・アクツエル、ドイツ)
Q:トヨタのほかの2台は新しいサスペンションをつけていると聞いた。君はなにか新しい点はあるか

SO:ないと思うよ。正直、新しいものは何もない。昨年、自分は出ていなかったけど、マシンのパフォーマンスがよくなかったので、このようなタイプのラリーのセットアップを進めてきたのは当然だと思う。ドライバーたちはグリップに関しての不満を多く挙げていたので、その点に重点を置いた。サスペンションは常に進化していると思うので、まったく新しい技術というわけではないが、常にバルブの動きを工夫している。新しいダンパーが入ることもあるようだが、なんとも言えない。もちろん、チームがこうしたコンディションで前進したことは確かだが、ライバルも同じなので、比較するのが興味深いね。

Q:メキシコの後か
SO:メキシコの後ではないと思うよ。メキシコはすごく独特だから。全体の作業は、シーズンの初めからこの方向で進められてきた。

マルコ・ジョルド(オートスプリント、イタリア)
Q:全ドライバーに、金曜日の一番難しいステージは、ロングではなく最初のタンタリレスだと思うが、どう思うか

SO:間違いなく一番ラフなステージだ。幸い、10kmしかないけどね。あれを50km走ったら、みんな生き残れるのかな。ラリーの滑り出しとして、確かにチャレンジングだ。
TN:自分も同じ。まず新しいステージだし、最初の2kmはいいけど、終盤に向けてかなりラフになって、少しバンピーで、コンプレッションもあって、ウォータースプラッシュもあって。あそこでは何も起きてほしくないから、慎重に行かなくてはならない。あのステージの後に何本も走るので、あそこでボディワークのパーツを失いたくはない。マシンバランスやエアロダイナミクスなどに影響が出るからね。
P-LL:ティエリーも言ったように、あそこでは何も起きてほしくない。その後に、重要なステージが控えているからね。すごくトリッキーで、ステージの終盤はかなり難しいかもしれない。レッキで雨が降った時はグラベルがものすごくスリッパリーになったので、本当に過酷なステージだ。



RALLY PLUS