WRCアクロポリスのフィニッシュ後に行われたイベントカンファレンスの内容(抜粋)。上位3選手と優勝チーム代表への会見では、ギリシャ国内での災害を乗り越えて無事ラリーを終えたことへの感謝のコメントが各選手から寄せられた。またタイトルを争うカッレ・ロバンペラ、エルフィン・エバンスは、ここでの戦い方やこの先の展開についての質問に答えている。
●WRCイベント後記者会見 出席者
1位ドライバー:カッレ・ロバンペラ=KR(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
1位コ・ドライバー:ヨンネ・ハルットゥネン=JH(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
2位ドライバー:エルフィン・エバンス=EE(トヨタ・ガズーレーシングWRT)
3位ドライバー:ダニ・ソルド=DS(ヒョンデ・シェル・モビスWRTT)
カイ・リンドストローム=KL(トヨタ・ガズーレーシングWRT、スポーティング・ディレクター)
Q:カッレ、ラリー開始で一番最初にコースに出て1位でラリーをフィニッシュ、大変な結果だ
KR:。ギリシャのようなラリーで先頭走者になると、何が起こるか分からない。優勝することがとてつもないチャレンジだったのは、間違いない。レッキでの雨の様子から、いくらか戦いやすくなるかもしれないという希望を持ち、ありがたいことにそのとおりになった。争いに生き残ることができ、とてもクレバーに、でも速くドライブすることができた。
Q:そして、パワーステージで勝利を収めた。かなり大変だったのでは
KR:午前中をクルージングで通すのは簡単なことではなかったので、パワーステージで最大限プッシュした結果、うまくいったのは良かった。
Q:ポイント差を広げることができたが、タイトル争いについてどう見ている?
KR:フィンランドではエルフィンが大量にポイントを獲ったので、ここで良い結果を収めたことで、フィンランドの後よりは落ち着いている。ここでもエルフィンはポイントを多く獲りそうだったので、可能な限りポイントを獲得するためにパワーステージで必死に攻めた。
Q:ヨンネ、カッレと同じ質問だが、デイ1の先頭走者になることは、コンディションがどうなっているのか分からず大変なので、勝利は満足なのでは?
JH:ラリー期間中にたくさんの変更があり、キャリアの中で一番大変だったイベントだと思う。発行されたブルテンは11通だったかな、正確には数えていないけど、たぶん、コミュニケーションは100通、そんなには出ていないかな。でも、ドライバーだけでなく、コ・ドライバーも大変だった。多くの変更に対応しつつも、普段行うべき作業もある。だから変更への対応も含め、いつもどおりの行動に落とし込む必要があった。コ・ドライバーにもタフだけど、もちろんマシンにとってもタフだ。チームもカッレも素晴らしい働きだった。そして何より、このような状況下でイベントを無事に終えた主催者の働きは素晴らしい。大変な時を迎えている地元の人々のことを思うと、心から喜ぶ気持ちになれないが、こうして皆さんが週末を通じてラリーへのサポートをしてくれたことには感動している。
Q:エルフィン、今日はダニとの壮絶な戦いがあったが、昨年の最終日もダニと7秒差で順位を争う似たような展開だった。昨年は残念な結果になったが、今年はより良い展開となった
EE:チャンピオン争いを考えると、カッレに勢いがあり差を広げられたので、手放しでは喜べないが、土曜日のトラブルから生き残って、ダニと戦い2位になったのは良かった。少なくてもあと3戦争う権利が残った。
Q:カレンダーには、セントラルヨーロッパという新しいラリーもあり、簡単ではないと思うが、次戦チリは過去に開催されたイベント。どのような印象を持っている?
EE:チャレンジングだけど良いイベントだったと記憶している。前回とは開催される季節が違うし、新しいステージもたくさんあるだろうから、ノウハウを活かすというよりは新規のラリーとして捉える方がいいと思う。そうは言っても楽しみにしている。
Q:タイトル争いについては? さっき言ったようにカッレが差を広げているが
EE:まだまだ多くの戦いが残っている。可能性が残っていてシーズンが続いている限り、全力を尽くす。カッレの速さに追いつくのは簡単ではないが、だからといって諦める理由にはならない。
Q:ダニ、最初のステージではエルフィンが勝ち、その後はあなたが勝って、最後のパワーステージでの勝負となった
DS:最初のステージでエルフィンはとてつもなく速く、ベストを尽くしたけど2位止まりだった。次のステージは少しでもタイムを上げようと頑張った結果、勝ったが、彼との差はわずかしかなかった。パワーステージでも頑張ったが、彼は再び良いタイムをマークした。
Q:過去のアクロポリスでも良い走りを見せていたが、表彰台に上がったことについては?
DS:もちろん表彰台を獲得することは、いつだって素晴らしい。ラリー中のパフォーマンスについては、すごくウエットなところがあった。ラリー序盤の路面コンディションの影響もあり、グラベルラリーで得られるアドバンテージがなく、ベストとは言えなかったかもしれない。それでも、こうしてフィニッシュできたことはうれしい。
Q:次はどこで姿を見ることができる?
DS:たぶん、最終戦のジャパン。
Q:過去に比べて、今年のアクロポリスラリーのチャレンジをどう見ている?
DS:非常に難しい路面コンディションだった。今年は最初から最後まで大変だった。マディなところ、岩が転がっている場所、速いステージ、すべてが揃っていて、一番難しいイベントのひとつだと言えると思う。幸運にもパンクやトラブルに見舞われずフィニッシュまで生き残れたので、ドライビングを楽しむことができた。
Q:カイ、今週末は、普段のスポーティング・ディレクターの役に加えてヤリ-マティ・ラトバラの代理でチーム代表も務め、1-2という結果を収めた。どのチームにとっても大変な週末だったと思うが、素晴らしいリザルトでは?
KL:選手たちが述べたように週の始まりからチャレンジングな状況下で、主催者は無事に開催できるように取り仕切った。とても素晴らしい働きだったし、結果についてもうれしい。ラリー自体も大変だったので、ここにいる選手全員を称えたい。お見事だ。そしてチームの働きも称賛したい。
Q:パワーステージの結果も素晴らしかった。サービスのチーム拠点では、何を思っていたか?
KL:目が離せない展開だった。ダニが先にステージを走り終え、次にエルフィンがダニを抑えるタイムを出し順位を守り切った。(ソルドを見ながら)ダニには申し訳ないが。それからカッレの最初のスプリットタイムが入ってきて、これはいい、という感じだった。
Q:すでに話があったように、開催地域にとって困難な週にラリーを迎えたにもかかわらず、地域の人々のサポートにより無事にイベントが終えられたのは素晴らしいことではないか
KL:そのとおり。地元のニュースで伝えられている北部での大変な状況は、想像を超えるものだと思う。だから、ここでラリーを無事開催できたこと、そして人々が楽しんでくれている姿を観ることができ、救われる思いだ。