2月2日(木)に開催されたTOYOTA GAZOO Racingプレスカンファレンスのために来日したヤリ‐マティ・ラトバラ。日本のファンのために、RALLYPLUS.NETの単独インタビューに応じてくれた。今日はその後編をお届けする。
インタビュー前編はこちら。
ヤリ‐マティ・ラトバラ緊急インタビュー【前編】
──チームの雰囲気はいかがですか?
「たぶんフィンランド人はオープンな性格なんだと思う。チームの誰もがリラックスして働いているし、ピリピリして仕事をしている人はあまりいないんだ。確かにロジスティック面を考えると、フィンランドにベースを置くことは不利かもしれない。でも、逆にテストに適したコースが豊富にあるからね。実際、日本に来る前にも2日間、フィンランドでスノーテストをしてきたよ」
──ボスのトミ・マキネンをはじめとして、チームにはフィンランド人が多いようですが、あなたにとっても居心地がいいのでは?
「本当に居心地がいいチームだよ。初めてテストをした日、マシンに関することをスタッフから流暢なフィンランド語で伝えられたのは、ちょっと不思議な気分だったな(笑)。どこのチームでも、基本的には英語で話していたからね」
──トヨタはまだ若いチームですが、課題を挙げるとすると?
「メカニックたちはモータースポーツの経験はもっているけれど、WRCでの経験が足りていない。例えばメキシコは2000m級の高地イベントだよね。だから、いつもとは違う方法でマシンを準備しなくてはならないんだ。ラリーは様々な環境で行われるから、それに対応する必要がある」
──もともと、フィンランドラリー選手権を戦っていたメカニックが多いようですね。
「そうだね。彼らはフィンランドでの経験は豊富だけど、フィンランドには高地イベントなんてないんだ(笑)。英国から来たエンジニアやメカニックもいるから、彼らはWRCのイベントをよく知っている。でも、全員がセッティングを理解してるわけじゃないんだ。それこそ、ライバルチームはこれまで蓄積してきたメキシコでのデータを持っている。そもそも、トヨタはメキシコに参戦したことすらないからね。トヨタがWRCに参戦していた時代には、メキシコでWRCをやっていなかったんだから仕方がないけど(笑)」
──あなたはこれまでMスポーツやフォルクスワーゲンでの参戦経験を持っていますが、それらのチームとトヨタを比較すると?
「新しいチームだからというのもあると思うけど、トヨタはすごくモチベーションが高い。一度いい結果をおさめた後は、さらにモチベーションが高くなるものだしね。フォルクスワーゲンがそうだったけれど、成功を続けると、期待もどんどん高まっていく。あまりに勝ちすぎると、次に目指すものがなくなる。そして、勝たなくてはならないというプレッシャーだけが大きくなっていくんだ。リラックスすることが一切できなくなってしまう。だからリラックスして、もっとマシンの開発に集中しようと頑張っていた。それでも、『チャンピオンにならなくてはならない』というプレッシャーはキツかったよ」
──チームメイトのユホ・ハンニネンとの関係はいかがですか?
「ユホとはとてもいい関係だよ。友達だしね。彼はいまスウェーデンに向けたテストの真っ最中なんだけど、テストが終わると、SMSで状況を送ってくれるんだ。彼とはラリーについていつも話し合っているし、情報交換もうまくいってると思う」
──モンテカルロのスタート前、あなたは今シーズンの目標はポディウムだと語っていました。すでに2位という結果をクリアしてしまいましたが、目標は変わりましたか?
「いや、変わらない。表彰台を獲得したからこそ、自分のターゲットを高めすぎないように言い聞かせている。最初のラリーでポディウムという、最高の美酒を味わってしまったからね。油断や期待のしすぎは禁物さ。さっきも言ったように『スウェーデンでの目標は5位。ポディウムに乗れたら御の字』ってことにしておくよ」
終始リラックスした表情が印象的だったラトバラ。次戦、WRCラリースウェーデンは日本時間2月10日(金)早朝4:08にスタートする。